この春、東京都で一気にドラフト候補に浮上した投手がいる。それが八王子米原 大地。昨夏は左腕の早乙女 大輝とともに二枚看板として活躍を見せて、初の甲子園出場に貢献した。昨夏から140キロ前後の速球を投げ、注目を浴びていた米原は、一冬超えて、大きく成長を果たしていた。今春の練習試合で、最速147キロを計測。その後も、コンスタントに最速は145キロ前後を計測するなど、NPBのスカウトから注目を浴びている米原の成長の軌跡に迫った。

昨夏の甲子園で味わった悔しさを糧に

 覚醒のきっかけは、昨夏の甲子園の日南学園戦だ。6回表から登板した米原は、日南学園打線につかまり、6回表には5失点、7回表にも1点を失い、計6失点でマウンドを降りた。八王子の安藤徳明監督は、
「あまり語りませんが、本人にとっては相当悔しい試合だったと思います」と語る。

 昨秋もチームは準々決勝で都立日野に破れ、自身も目立った活躍することはできなかった。

 このままではいけないと感じた米原は、肉体改造とフォーム改造を決意した。体の線が細かった米原は、食事の回数を増やし、さらにウエイトトレーニングを行う頻度を増やし、68キロから72キロまで増量。そしてフォーム改造では軸足の使い方にこだわった。
「今までの自分は軸足がしっかりと使えていませんでした。さらに球速を上げるためにこだわったのは、投球時に、体を鋭く回転できること。そのために軸足の内転筋をうまく使うといいますか、意識を下半身と軸足に置いて、全体の投球動作も良くしようと思ったんです」

 そして対外試合解禁となった3月。初の練習試合で米原は最速147キロを計測。その後も、最速145キロ前後のストレートを投げ込むなど、投手としてワンランクレベルアップを遂げた。
「実際に投げていても感覚が違います」と米原自身、手ごたえを実感していた。変化球もスライダー、チェンジアップ、カーブを磨き、三振も多く取れるようになった。迎えた春季都大会ではリリーフを中心に好投を続けた。まず2回戦の東亜学園戦では、5回裏から登板し、1回無失点。3回戦の桜美林戦では6回からリリーフ登板して、4回1失点。敗れた4回戦の駒大高戦では、5.1回を投げて9三振を奪う好投。どの試合でも140キロ台を計時し、リリーフとしての役割をしっかりと果たした米原は、昨年よりも成長した姿を見せた。

 連日、NPBのスカウトが視察に訪れ、注目度が上がっている投手となった米原だが、「まだ自分はそこまでの投手ではないです。まずはチームの勝利に導ける投手となることが第一です」と語る。この春はベスト16に終わり、残りは夏だけとなった。

 チームを勝たせたい一心で投げる米原。2年連続の夏の甲子園を目指して、最後の夏で真価を発揮したピッチングを見せる。

(文=河嶋 宗一

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