Interview

智辯学園高等学校 福元 悠真選手「4番打者として選抜優勝も自分の未熟さを実感した」【前編】

2017.01.20

 これまで高校通算35本塁打を放ち、近畿地区を代表するスラッガーとして注目される福元悠真智辯学園)。昨年の選抜では主力打者として本塁打を放つなど優勝に貢献。夏も甲子園に出場。昨秋は近畿大会準々決勝大阪桐蔭に敗れたが本塁打を放ち、強烈な印象を残した。三季連続甲子園出場を決めた福元に、これまでの歩みと今後の意気込みを語っていただいた。

小坂監督の男気に憧れて智辯学園の門を叩いた

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福元 悠真選手(智辯学園高等学校)

 プロ1年目から2軍で2桁本塁打、1軍でも本塁打を放つなど活躍し将来の主軸候補として期待されている廣岡大志(東京ヤクルト関連記事)、大黒柱としてチームを引っ張り選抜制覇に導いた岡澤智基(3年)に続いて現在は福元悠真(2年)が智辯学園のキャプテンを務めている。奈良葛城ボーイズ出身の福元が智辯学園に進んだきっかけとは何だろうか。

「奈良出身なので、奈良の高校で甲子園へ行きたい気持ちがあったので」と名門の門を叩いた右のスラッガーは入学前、グラウンドでプレーする選手だけでなく小坂 将商監督の姿に憧れを抱いていた。

「監督さんの野球が強く感じられましたし、智辯学園の野球を早く自分もやりたいと思ってました。尊敬するのは男らしさ。日本一になると決めたら『言葉だけじゃなく背中でわかる』ぐらいでした。『背中で分かる』ということはよっぽど自分で持っていないとなれないと思いますので、そういうところが尊敬できるところです。智辯学園は全力疾走、カバーリング、指示の声、この三つを徹底しなければなりませんが、中学校の時はそんなに意識せずにやっていたので、そこが高校野球との違いだと一番感じました」

 バッティングが持ち味でインパクトの強さに自信を持つ。しかし意外にも入学前は長距離砲ではなかったという。「中学校の時はほとんどホームランを打ったことなかったんで。どちらかと言えばレフト前ヒットとか、間を抜く打球が多かったです。高校に入ってからホームランを打てるようになったんですけど、なんで打てるようになったのでしょうか」

 高校初本塁打は入学して一ヶ月後、1年5月の段階で早くも飛び出した。
「びっくりしました。あの時、これは入ったという確信がありました。中学校の時も打ったことはあったんですけど、たまたま入ったみたいなホームランで、確信を持ったホームランは打ったことなかったんで。中学校の時は練習が土日だけとかだったんですが、高校に入ったら練習を毎日をやっていましたので、それでホームランを打てる打力がついたのかなと思います」

 自分でも驚きの一発に始まり、2年秋を終えた段階で高校通算本塁打は35本。その中でも35本目に成長を感じている。
「一番印象に残っているのは秋の近畿大会大阪桐蔭戦の9回です。3対6で負けていて、ツーアウトで回ってきてそこでバックスクリーンに打ったものです。同じ相手に去年も負けてたんで負けらないなと思って、とりあえず後ろに回すことだけ考えてたまたま振ったら当たったみたいな(笑)。僕はセンターにホームランを打ったことがほとんどなかったので、センターにも打てることは自信にもなりましたし、成長していると実感しました。

 昨年の選抜での福井工大福井戦(試合レポート)で、センターへフェンス直撃の打球を打った時に監督さんに言われたのが、『もっと成長したらあれがそのままバックスクリーンに放り込める』。それからずっとセンターにホームランを打ちたい気持ちがあって、最後の公式戦となった大阪桐蔭戦で打てたんでそれが今年の成長点だと思っています」

[page_break:昨年の選抜では自分に自信が持てなかった]

 これには小坂監督からのアドバイスがあった。
「予選から始めたことですが、ピッチャーにトスで返すイメージで打ったら落ちる球も拾えると監督さんに言われたんです。その時僕は足をケガしていたので、室内練習場で行うマシン打撃ではそういうイメージで打っていくと、試合になってもそのイメージが残ってるんでセンター方向の打球増えて、落ちる球も拾えるようになりました」

昨年の選抜では自分に自信が持てなかった

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福元 悠真選手(智辯学園高等学校)

 一躍有名になったのが昨年の選抜。下級生ながら4番を務め日本一に貢献したが、「はじめは良かったんですけど上の方に行くほど投手もレベルが上がりましたし、打てなかったら打たなあかんと焦りも出てきました。日本一にはなったんですけど、自分の中ではそれが一番後悔してます」と自身の結果には満足はしていない。

 1年秋は5番、選抜では4番に座る・・・とされているが実は新チームスタート当初はレギュラーではなく、奈良予選では2桁の背番号をつけていた。
県大会では背番号14でしたが、県大会の3回戦ぐらいで代打でヒットを打って、それがきっかけとなってスタメンで出てホームランを打ったりしました。そして近畿大会で背番号5番をもらい、レギュラーを定着させて選抜を迎えました。4番は選抜が初めてでした。監督さんや先輩からも思いきっていけと言われていたんですけど、全然ダメでした。

 4番はチームの顔なんで、それが情けないバッティングをしたらアカンという気持ちがありましたが・・・4番として打たなければならないプレッシャーはありました。自分に自信がなかったんで。なぜ自信がないかといえば、やはりそこまで練習がまだ出来てない、まだまだやらなければいけないなと。打席に立っていて自分はこれだけやったんだという自信がまだまだ足りないと感じた選抜でした。そこからまた練習をしなければアカンなと感じました」

 辛い自己採点をする一方、甲子園については「言葉では表せない、夢の世界にいる感覚があって・・・ちょっと間違えれば危なっかしい場所で、それがうまくいけば一気に名前が上がる場所。夏はまた雰囲気が全然違いました。春はさわやかなんですけど、夏は熱いんですよ。ライトを守っていても後ろから重圧が来るぐらい。夏の方が独特の雰囲気で、足が震えるような場所でした」

 後編では、主将に就任したきっかけや、なぜ闘志全面のプレースタイルするようになったのか?そのきっかけと、今年自分が目指す選手像について語っていただきます。お楽しみに!

(インタビュー/文・小中 翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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