目次

[1]シーズンオフは休むものではない
[2]積み重ねと継続
[3]現状維持はすなわち後退

 今シーズンの活躍はケチのつけようのないほど立派なものだった。この成功は一朝一夕でもたらされたものではない。長い年月の積み重ねの末にたどり着いた境地なのだ。だが一方で、現状に満足もしていない。求めるのはさらに高み。そこへ上り詰めるために、新たな試みにも積極的に挑む。その研ぎ澄まされたプロフェッショナリズムは、オフへの取組からもうかがい知ることができた。

シーズンオフは休むものではない

筒香 嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)

 よどみのない言葉使いをする人には、ある共通点がある。「自分を持っている」のだ。横浜DeNAベイスターズの若き主砲・筒香 嘉智選手は、まさにその共通点に合致していた。まっすぐ相手を見て話すその瞳はブレない。そこには、その頑強な体格だけでなく、簡単に揺らいだり動じたりしない、ドンと構えるに足る思考のベースがあった。

「シーズン中は試合をやっていく中で技術も変わっていきます。その過程でオフシーズンからやってきたことがつながることもあるし、つながらないこともある。僕はシーズン中、オフ期間のトレーニングのようなことはほとんどやりません。どちらかというと身体のケアなどを中心にしています。逆にオフはガッツリ、本当にやります。シーズン中に打てなくなって、焦って練習している選手を今まで何人も見てきましたけど、プロはその時点からやったところでどうにかなるような、そんな甘い世界ではありません。

 やはり人間は“特効薬”が好きで、すぐに効果が出そうなものに飛びつきます。でもそれでは長続きしませんし、身にもつきません。僕の中では、特効薬には興味がないですし、それに頼ろうとするような、浅い選択をしていたら話にならないという考えがあります」

 オフの取組みに対するインタビューでたびたび使われたのは、「積み重ね」という言葉だった。
「結局、毎年の積み重ねだと思うんです。たとえば全然打てなかったシーズンがあったとして、オフにがんばったから次のシーズンに打てるようになるのか。決してそういうものでもありません。ではどうすべきかといったら、先を見据えて本当にいいもの、必要なものだけを取り入れていく。誰かがやっているから、というだけの理由でマネをして取り入れようということはしないですね」

「オフ」という語感の影響もあるだろうが、普通、シーズンを戦った身体を休めたり、メンテナンスしたりする期間、というイメージがある。だが、筒香選手は「オフにガッツリ、本当にやります」と言うように、休むという感覚がない。
「休む、という意味が分からないんです。だって、ご飯を食べに行って長時間外出して疲れた、と感じる。ゆっくり寝てから買い物に出ても帰ってきて疲れた、と感じる。私生活を普通に過ごして疲れるなら、野球をして疲れた方がいいじゃないですか」

 筒香選手にとって、オフとは、野球が上手くなるためには絶対に外せない、重要な期間なのだ。

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