Interview

青森山田高等学校 三森 大貴選手「的確な観察眼を武器に将来は相手から嫌がられるショートに!」

2016.11.04

 10月20日のドラフト会議で福岡ソフトバンクホークスから4位指名を受けた三森大貴(まさき)。184センチと大柄ながら、軽快なフットワークで次々と打球を捌き、深いところでも刺せる強肩が光る。そして打っても細身ながら鋭い打球を連発する好打者で、昨秋の公式戦では9盗塁と、まさに走攻守三拍子そろった大型遊撃手だ。今回は三森の3年間を振り返りつつ、今後の意気込みを伺った。

甲子園、プロへ進むために青森山田を選んだ

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三森 大貴選手(青森山田高等学校)

 ドラフト前の10月上旬。ドラフトへ向けて三森は、個人の練習をしっかりとこなしていた。
「今は自分の時間を使えているので、いろいろな課題に取り組むことができています」と語る三森。髪の毛が伸びただけではなく、どこか落ち着いた佇まいを見ると、とても高校生とは思えない。

 取材中、撮影の準備をしているときに、「ただいま練習の準備をしますので、しばらくお待ちください」と一言かける。三森が話す一言一言がまるで大人と会話をしているようだった。兜森 崇朗監督は「彼は取材経験が多いので、そういう会話ができるのでしょう」と笑うが、そんなに簡単にできるものではない。多くのファンの前で接することが仕事になるのがプロ野球選手。三森の立ち居振る舞いは大きな強みになりそうだ。

 そんな三森は埼玉県の越谷出身。小学校高学年の時に、中学校では本格的に硬式野球に取り組みたいと考えていた三森は、両親と協力して調べた結果、青森山田中学を選択した。

「青森山田では硬式野球部がシニアの大会に参加していますし、シニアは土日活動が普通ですが、青森山田の場合、平日も練習をしています。そこにひかれましたし、高校では甲子園に何度も出場している強豪校。本格的に野球を学びたいという思いがありました」

 こうして、三森は中学1年から青森山田の門を叩くことになる。青森山田で学んだことは、
「野球の基本的なことですね。心構え、守備、打撃、走塁などについて、そこをしっかりと植え付けられました。それが大きな力となっています」

 青森山田中で3年間プレーした後、そのまま青森山田高に入学した三森は、2年春にはサードとして東北大会優勝を経験。そして2年秋には中学時代以来のショートに復帰する。2年秋、快打を連発。東北大会優勝神宮大会ベスト4を経験。個人としても、49打数24安打、打率.490と高打率を残した。
東北大会までは僕と相手投手の相性が良かったからこそ打てたというのもありますし、また神宮大会では全国クラスの投手と対戦をして、力強さというのを感じられたことはよかったと思います」

 さらに13試合で9盗塁。なぜこれほど盗塁ができるのか。それにはスタートがカギとなる。
「僕は足の速さには自信を持っていますが、スタートにも自信があります。大事にしているのは、中途半端にならないことですね。スタートよく走れるには投手を観察することなのですが、あくまで僕の勘で、走れる予感がするんです」

 足が速い選手でも、スタートが苦手な選手はいる。三森のようにスタートよく走れる勘の良さを持っているのは大きな武器である。

[page_break:3年夏は11打数1安打。それでもプロに進もうと思ったきっかけとは?]

3年夏は11打数1安打。それでもプロに進もうと思ったきっかけとは?

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三森 大貴選手(青森山田高等学校)

 2年秋まで順調だったが、3年春の選抜では神宮大会準決勝で対戦した敦賀気比と再び対戦。0対1で敗れたが、三森は相手エースの山崎颯一郎(オリックスドラフト6位)から第4打席で意地の中前安打を放った。
「やはり力がある投手でしたし、上の世界で野球を続けるのならば、山﨑君のような長身投手と対戦することが多くなると思いますし、良い経験となった選抜でした」

 夏へ向けての課題としては、「冬場にやってきた成果を夏でより発揮できるように練習を続け、とにかくケガをしたらゼロに戻ってしまうので、ケガだけには気をつけて臨みました」と語ったが、選抜以降、チームも三森も調子が上がらなかった。春季大会では、県大会2回戦で八戸工大一に3対4で敗れ、ノーシードで夏を迎えることになった。

 それでも青森山田にきて最後の年。結果を残したい気持ちは誰よりも強かった。しかし…。三森は夏の大会で調子が上がらず、11打数1安打に終わり、チームも4回戦敗退。不完全燃焼のまま夏を終えた。大会を振り返って三森は、
青森山田では最後の年ということで、意気込み過ぎて、力んだところがありました。楽しんでいこうと思って臨んだ最後の夏でしたけど、楽しめなかったですね…」

 集大成をかけた臨んだ夏で結果は出なかったが、それでも高卒プロ入りを決意した三森。そのきっかけは何だろうか。
「僕は高校に進んだ時から、高卒プロ入りするために練習を重ねてきました。プロ志望届けを提出しようと決めたのは、2年秋に明治神宮大会に出場して、3年春には選抜に出場をして、全国大会に出られたことがきっかけですね。この2つの大会に出られたことで、入学当初に描いた高卒プロという目標を見失わずに取り組むことができました」

 今では打撃、守備、走塁をすべて見つめ直して取り組む三森。「今は周りに流れず、自分に合わせて取り組めていますし、体づくりもしっかりと行って、少しずつ体が大きくなっている実感はあります」と手ごたえを感じている。

 10月20日、福岡ソフトバンクホークスから4位指名を受けた三森。夏の大会は不調だったが、それでも球団は三森の素質を高く評価していたのだった。184センチ70キロと細身ながら、スイングスピード、打球の速さがウリの三森。プロでは相手から厄介と思われる選手になりたいと話すが、プロで生き残るための打撃の力強さも備わっている。
「僕はパワーヒッターではないので、やっぱり広角に打てて、打率が残せる選手になること。足で相手野手を揺さぶって、こいつを出したら厄介だと嫌がられる選手になりたいですね」

 話を聞いて、三森は自分がどんなタイプの選手であるのか、今後、どんな選手になっていきたいのか、そのビジョンを描いて取り組みができる選手であることが分かった。野手陣の層が厚い福岡ソフトバンクホークスにおいて、競争に勝ち抜くことは容易ではない。そんな環境の下で、三森大貴の素質がどれだけ開花するのか、大いに注目をしていただきたい。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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