目次

[1]入部当初はプロになるなんて思ってもみなかった
[2]ウエイトで体を大きくしたことが結果につながる / ボールの威力を増すため、より良いフォームを追及
[3]調子が悪いのでなく、体の動きが悪いと認識 / わかっていても打たれないストレートを投げたい

「体全部をバランス良く鍛えている」トレーニングは今も欠かさない。2年秋からは1学年上の横尾 俊建選手(現北海道日本ハム関連記事)も通っていた外部のジムで、パーソナルトレーナーの指導によるトレーニングも。時に体の可動域を広げるためにヨガを取り入れることもあるという。

 加藤投手は2年春にエースになって以来、主に先発を担ったシーズンも、抑えがメインのシーズンも、ともにフル回転している。通算の登板試合数は4年春終了時点で実に57。たとえば3年秋は全13試合中11試合に、今年の春は13試合中9試合に登板している。それでも大きなケガが1度もないのは、トレーニングの賜物であろう。

 それにしても175cm90㎏の体は、胸板が厚く、ユニフォームがはち切れんばかり。腕も太く、下半身は大地に根を張ったようにどっしりしている。とはいえ、失礼ながらいわゆる“投手タイプの体型”ではない。だが加藤投手は「これも僕の1つの“個性”」としており、「“個性”を出していかないと、上背に恵まれた投手には勝てませんからね」と話す。

ボールの威力を増すため、より良いフォームを追及

加藤 拓也投手(慶應義塾大学)

 ウエイトトレーニングとともに、徹底的に取り組んだのが、「高校時代はあまり気にしていなかった」と振り返る、“より良いフォーム”の追求だった。
「僕は投手において、投球フォームが一番大事だと考えています。ボールは指先で離しますが、体の動きがそのままボールに伝わりやすいので。つまり、体の動き、フォームが変わらなければ、ボールの威力も現状のままかと」

 この考えのもと、加藤投手はこれまで、左足の上げ方やステップ幅など、自身のフォームに様々な修正をほどこしてきた。こうした中、入学時と比べて大きく変わったのが、“トップの時の胸の張り”だ。
「高校時代からストレートの最速が10キロアップしたのは、ウエイトトレーニングも1つの要因だと思いますが、胸をしっかり張れるフォームになったのが、大きいと思っています」

 より良いフォームを求め続けたことは、大きなケガの抑制にもつながった。
「大学に入学以来、大きなケガがないのは、トレーニングを続けてきたから、というのもあるでしょうが、より良いフォームで投げようとすれば、自然に無理のない投げ方になります。僕はこれも大きなケガがなかった理由の1つだと思います」

調子が悪いのでなく、体の動きが悪いと認識

 一方で、フォームを変えたことで失敗も。
「変えるというのはすなわち、慣れ親しんできたフォームで投げられない、ということになります。フォームが同じならスムーズに同じ動作を繰り返せますが、フォームを変えると上手くいかないこともある。それが原因で四死球が多くなったケースもありました」

 加藤投手がフォームについて突き詰めるようになったのは、1年時の秋頃からだそうだ。
「この投げ方だと調子いいな、と思っていても、すぐに調子が変わってしまうことがある。これってなんだろう…と思ったのがきっかけです。同じように投げているつもりでも、意識と体の動きが違う、と」

 やがて、試合で打たれたら、「それは調子が悪いのではなく、体の動きが悪いのが原因だと思うようになった」という。