広島新庄高等学校 堀瑞輝選手 「強心臓を支えた自慢のスライダー」
31日、強豪・台湾に3対0で勝利し、侍ジャパンU-18代表。その勝利の立役者が5回裏からリリーフした堀 瑞輝だった。4.2回を投げて、7奪三振。先発・今井達也(作新学院)を捉えようとしていた台湾打線を完璧に封じた堀。今回は本人の武器であるスライダーについて迫っていく。
投手は絶対的な武器を身に付けることで世界が広がる
堀瑞輝選手(広島新庄)
まさに快刀乱麻を断つピッチングと言っていい内容だった。台湾戦の5回裏、一死一、二塁のピンチで打席を迎えるのは台湾の大谷翔平こと4番陳琥。絶対に抑えなければならない場面と燃えた堀は自慢のスライダーを3球投げて、空振り三振。バットをかすりもさせない投球。その後も、三振を奪い続け、7奪三振の快投で勝利に貢献したのであった。
堀はチームでもあのような場面でのリリーフはないと語るが、これまでの大会や代表入りしてからの投球を見ても、ピンチの場面をしっかりと断ち切っていて、ピンチに強い印象を受ける。
「僕は、あまりマウンドでも緊張しないし、闘志を出すこともありません。相手が強くても、冷静になって投球ができる」と語るように、堀の強心臓は何が支えているのか。
それは本人が武器とするスライダーだ。堀のここまでの過程を見ると、投手は絶対的な武器を1つ持つことが何よりも大事だと考えさせられる。
堀にとってスライダーは一番最初に覚え、武器にして、深く追求した球種である。「僕はスライダーには一番の自信がありますし、真っ直ぐに近い軌道で曲がるスライダーを投げることを大事にしています」と語る。
そのスライダーを投げるきっかけが高校1年の時だった。「中学では特に意識していなかったですけど、高校に入学してからは、今のままではいけないと思って、今のようなスライダーを投げられるように磨いてきたんです」日々の投球練習、実戦の中で、磨き上げたスライダーは球速は125キロ~120キロ後半と、普通の投手と同じ速度で曲がっていく攻略困難な変化球となった。
昨年は広島新庄にとって初の夏の甲子園出場、今年は初の甲子園ベスト16の原動力となった堀の快投にはスライダーを抜きに語れない。そのスライダーをよりうまくいかすためにプレートの一塁側に踏んで投げ込む。打者にとっては背中越しから来る感覚で急激に曲がるのだ。
堀は自分の武器を生かすために、スライダー以外の武器を磨いた。ストレートを磨いて、最速147キロまで伸ばし、力で押す投球もできるようになり、さらにチェンジアップを身に付け、投球の幅を広げることに成功した。段階を経て、レベルアップを果たしている。
そして代表入りしてからも、さらなるレベルアップへ、あまり使っていなかったツーシームを使うようになり、この試合でも、ツーシームで空振り三振を奪った。堀も「かなり使える球種で、投球の幅が想像以上に広がっています」と手応えを掴んでいる様子だった。
絶対的なスライダーにより投手としての自信を身に付け、今では高校生を代表する左腕となり、そして侍ジャパンU-18代表の投手陣で勝利するために欠かせない存在となった堀瑞輝。堀が憧れ、尊敬する田口麗斗(巨人)、山岡就也(国学院大)の高校時代を上回る活躍を、今、台湾の舞台で見せようとしている。
5年ぶりのアジア制覇を狙う侍ジャパンU-18代表。堀は次の出番でもスライダーでアジアの強打者たちを断ち切る。
(文=河嶋宗一)
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