県立静岡高等学校 鈴木将平選手 「18選手の中で最も名を上げるかもしれない逸材」
鈴木将平選手
今年の高校生を代表する外野手として注目されている静岡 鈴木将平。日本代表入りした思いと早稲田大戦の活躍ぶりについて徹底的に振り返った。
憧れ続けた日本代表 体格面、精神面でレベルアップし、ついに実現
鈴木将平選手(静岡)
夏の甲子園ではドラフト上位級のポテンシャルを持っていた今井達也(作新学院)が快投を披露し、一気に名を上げて、人気投手になったように、今回紹介する静岡 鈴木将平も高校生外野手としては今年のトップレベルの実力がありながらも、この夏、甲子園出場していないこともあってまだネームバリューは乏しい。
昨年の選抜、選手権でも俊足巧打ぶりが話題になったが、甲子園出場していない期間でも、走攻守三拍子揃ったパフォーマンスを披露。高校生で俊足巧打系の外野手がプロ入りするのは非常にハードルが高いのだが、鈴木は、そのハードルを越える活躍をこの夏に見せる。3試合で12打数8安打8打点、打率.667と文句なしの活躍。4回戦の浜松商戦ではランニングホームラン。タイムは14秒90を計測。
惜しくも敗れてしまったが、打撃面の成長が著しく、1年秋に課題となっていた打撃面のパワー不足はしっかりと克服。強いスイングができる選手になっていたのだ。打撃面の成長には、体格面の成長が大きく、1年秋、173センチ68キロだったのが、現在は174センチ75キロまでサイズアップ。1年秋の時、体重が7キロも変わって、しっかりとパワーアップを果たしているのだから、イメージが変わって当然だ。持ち前の俊足、高いレベルを誇る中堅守備、強肩。NPBスカウトから高い評価を受ける逸材へ大きく成長を果たしたのであった。
その鈴木は日本代表について憧れを持っていた。それは一学年上の堀内謙伍(東北楽天)の影響が大きい。
「堀内さんは僕にとって兄貴分です。堀内さんが入ったことで僕も日本代表に選ばれたいという思いになっていました」
その思いは実現。代表入りが決まった後、堀内にどうすればいいかと聞いてみたところ、
「特別なアドバイスはなかったのですが、とにかくコミュニケーションをしっかりとることだよとアドバイスをもらいました」
さすが代表投手陣を支えた捕手らしいアドバイスで、鈴木は合流後でも仲間とコミュニケーションをとることを意識している。
夏の甲子園出場していなくてもやれるとことを見せたい
迎えた初実戦。3番センターでスタメン出場した鈴木は、いきなり打撃で魅せた。一死一塁の場面で、鈴木は相手先発の小島和哉が投じた外角球にしっかりとくらいついて、左前安打。その後、九鬼隆平の逆転3ランを呼び込んだ。さらに5回表にも中前安打と2安打を記録。さらにタイブレークの練習では、右中間を破る適時三塁打を放ち、打撃面でアピール。木製バットでも鋭い打球を飛ばす姿、スピード感溢れるプレースタイルと、そこには大学生が混じってプレーしているのではないか?というぐらい別格のものであった。
大抵、俊足巧打の高校生が木製バットを握ると打球が弱いということがあるのだが、鈴木にはそれがない。スカウトたちの評価が高いのも、木製バットでもしっかりとパフォーマンスができると見込んでいたからであろう。
夏が終わり、木製バットを打つ練習をずっとしてきた鈴木。そこでは「いかに強く振れるか」を意識してきた。バットで折れることも恐れず、「バットのしなり」を上手く使えるように追求した結果が、この日の活躍につながったのだ。
そして鈴木は日本代表入りした決意を改めて語ってくれた。
「選ばれたい思いを持った選手はたくさんいる中で、こうして選んでいただいたので、アジア一に向けて全力でアピールしたいですし、またこの夏の甲子園出場にしていないのは、僕と島孝明(東海大市原望洋)だけなので、甲子園不出場でもやれるということを見せていきたい」
今日の活躍で、鈴木の期待度はより高まった。好投手にも安打を連発できる対応能力は、大学代表と対戦する27日の壮行試合でも発揮されることだろう。今の勢いのまま大会に臨んでいけば…大会を終えた時、18名で最も名を上げるのは静岡 鈴木将平かもしれない。
(文=河嶋宗一)
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