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第391回 福岡ソフトバンクホークス 柳田 悠岐選手「『フルスイング』の変遷」2016年04月13日

【目次】
[1]「打てる球を打つ」と「タイミング」を大学時代から変える / 「つまらせてすらせながら芯に持っていく」フルスイング
[2]フルスイングを志す「高校球児」のために
広島商高から広島経済大を経て今季で福岡ソフトバンクホークス入団6年目。今や球界を越えた知名度を誇る柳田 悠岐外野手。昨年は打率3割6分3厘で初の首位打者、さらに34本塁打・32盗塁で東京ヤクルトスワローズ・山田 哲人二塁手(関連記事)と共に「トリプルスリー」を達成、リーグMVPにも2人で輝いた。「トリプルスリー」で流行語大賞も受賞した彼の代名詞はもちろん「フルスイング」。今回はその変遷とそこに秘められた初公開となる技術論を探っていく。
■柳田選手の高校時代の取り組みなどに迫ったインタビューは以下から
「柳田選手の基礎を作り上げた高校時代」
「目指すはトリプルスリー!」
「打てる球を打つ」と「タイミング」を大学時代から変える

柳田 悠岐選手(福岡ソフトバンクホークス)
「プロに入ってフルスイングをどのように変えてきたのか?」最初の質問に対し、柳田 悠岐の返答は一見、意外とも思えるものであった。
「スイング自体はあまり変わっていないような気がするんです。ただ、大学の時なんでもかんでも打ちにいっていましたが、プロはなんでもかんでも打ちにいったら打てないんで、打てる球を打ちにいって、それ以外は振らないようにしています。それだけですかね」
ただ、広島経済大時代のプレーを見たことがある筆者にとっては、その発言は十分腑に落ちるものである。確かに大学時代は最初からフルスイングをすることで相手に脅威を与え、甘いコースに引き込んで仕留める。そんなタイプの打者だった。精度の高いNPBの投手に対する意識の変化。これが柳田 悠岐の現在を支えている。
さらにもう1つ、福岡ソフトバンクホークス入団後に変えたものがある。「タイミングの取り方」だ。
「大学の時はすり足でバタバタとタイミングを取る感じだったんですが、ゆっくり自分の間を作ってタイミングを取るようになりました」
その技術を高める練習法の1つが、ロングティーである。キャンプ期間中、練習試合後の人もまばらな宮崎アイビースタジアムにも柳田 悠岐の姿があった。
「つまらせてすらせながら芯に持っていく」フルスイング
次々とバットから放たれる驚愕の弾道。が、よくロングティーを凝視するとそこには柳田選手ならではのいくつかのこだわりがある。方向は逆方向。そしてスイングの軌道は打席よりもより大きい。
「タイミングをゆったり取ることと、大きく身体を使うことを意識しています。小さくならないように大きくスイングもしています」
さらにインパクトポイントにも小さなチェックポイントがある。「極端には意識はしていない」と注釈は付けながら、柳田選手はその秘密を話してくれた。
「芯よりも少しだけ根元側にして詰まらせた方が打球に角度が付くので、先よりはいいと思いますね」。確かに芯から気持ち根元でインパクトし、芯へすらしながら打つ打球は外野スタンドどころか場外へ消えていくものとなっていた。

- 柳田 悠岐(やなぎた・ゆうき)
- 福岡ソフトバンクホークス
- 経歴:広島商― 広島経済大―福岡ソフトバンクホークス
- ポジション:外野手
- タイプ:右投左打
- 身長体重:188センチ93キロ
- 生年月日:1988年10月9日
- 上記データは掲載時のものとなります。