目次

[1]一軍に残るために「考える」
[2]自分の言葉で語られる「イメージ」

 クイックネスが光る選手にもタイプがある。直線的なスピードに優れた選手、柔軟な判断、対応に優れた選手。東北楽天ゴールデンイーグルスを代表する韋駄天・聖 澤諒選手は、その両方を備えている。盗塁の速さと守備の速さ。力感を感じさせないがスムーズで鋭いクイックネス。その独特のプレーには、研ぎ澄まされた哲学があった。

一軍に残るために「考える」

聖澤 諒選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)

 今回のインタビューで、聖澤選手は「自分で考えて動く」ことをしばしば「研ぎ澄ます」という言葉で表現した。まさにプレースタイルに沿う表現だ。
50m6秒0の足を活かし盗塁を量産、2012年には54盗塁で盗塁王を獲得。目をみはるのは、その美しいランニングフォームだ。盗塁時のスタートから加速、スライディングに至るまで、無駄がない。盗塁に代表されるクイックネスは、連続守備機会無失策927という記録もあるように守備面でも柔軟に活かされている。盗塁にしろ守備にしろ、最後まで減速しないランニングは「鋭い」。まさに研ぎ澄まされている観があるのだ。

 考える人である。

「考える習慣がついたのは大学の時からです。その後、プロに入ってどうやって一軍に残ろうかを考えた時に、より研ぎ澄まされたといいますか。打てる選手ではなかったので、最初の2年間は代走と守備でしっかりと一軍に残りたいと考えたんです。では、一軍で盗塁を決めるためにはどうしたらいいのか。ひとつ大きなプランができた時に、心技体、そして道具も含めて考えるようになりました。スタートの構えをどうしたらいいか、守備の時はグローブをどう使ったらいいか…」

 自分を研ぎ澄ませていった結果、導き出された理論はオリジナルのものだ。それは野球界でまことしやかに流れている定説や常識に、決して沿うものではない。

 例えば前回のインタビューでも言っていた、盗塁や守備に関する「一歩目の重要さ」について。
「盗塁にしても守備にしても、指導者にしても本人にしても、『一歩目』という言葉にはマイナスの意味合いが含まれていると考えています。例えば、一歩目に100%の力を籠められるようにとか、一歩目で打球判断をしろ、と教えられていますが、その通りにやるとマイナスになるんじゃないかと。なぜなら、そのような方法はないからです。それよりも、いかにリラックスした状態を整えられるかのほうが重要だと思うんです」

 一歩目を意識することは間違いではないだろう。だが、意識しすぎるあまり力んでしまう選手がほとんどかもしれない。なぜ一歩目が重要なのか、その意味を自分できちんと理解しないと、間違った形を覚えてしまうことになる。
「一歩目を力んでしまうと、身体が固まってスムーズな動きができなくなります。自分は『力を入れる』という言葉自体も良い言葉ではないと考えていて。野球をプレーする際、走攻守において力を入れてしまう選手がほとんどの中、自分はあえて力を入れないようにしています。そう考えていても力は勝手に入ってしまいますから」

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