Interview

東京ヤクルトスワローズ 小川 泰弘選手【後編】「試合で力を発揮するためのコンディショニング作り」

2016.01.08

 1年目から16勝を上げ、東京ヤクルトスワローズのローテーション投手として活躍する小川泰弘投手。前編では疲労が溜まる時期でもトレーニングを継続する重要性を教えていただきました。後編では小川投手がオススメするトレーニングをたっぷりと教えていただきました。

小川投手がオススメするトレーニング

小川 泰弘選手(東京ヤクルトスワローズ)

「ウエイトにしても、どんなトレーニングにしても、必ず野球に生きてきます。このトレーニングをやったら、投げるときのこの部分につながるとか、そういうことを考えながら取り組んでいます。ただ、やるのではなく、ピッチングの動きだったり、スポーツ選手として、こういうふうに良くなっていくというのをイメージしながら、トレーニングしています」

 例えば、インターバル走(100Mダッシュ10本)の場合。
これはシーズン中でも実施するメニューだが、試合になれば、緊張感が高まってくる。スタンドの観客からも注目され、さらに負けられないというプレッシャーを感じながらマウンドに上がらなくてはいけない。そういった外的要因から、心拍数も自然と上がっていく。その中でいかに、いつも通りの自分の球を投げることが出来るのか?それをインターバル走後に、息が上がった状態でベストピッチが出来るようになるためのトレーニングだと捉えて走るだけでも、効果は違ってくる。

 また、重りのついたチョッキをつけてランジをするトレーニングの場合。
「投げる上で股関節が大事なので、ランジでの形を意識して投げています。だから、この動作で使う筋肉を鍛えながらも、柔軟性を出しながら行うということを意識して取り組んでいます」

チューブを使い、骨の位置や筋肉を固定させるトレーニングのイメージ

 サイドペッパーであれば、ピッチャーゴロの処理で素早く移動して切り返す動作をイメージしながら。そうやって、小川は、どのトレーニングにも投手動作の中での目的を見出し、取り組んでいる。

 小川が、「これ、オススメです!」と教えてくれたのは、チューブを使ったトレーニングだ。日頃から、柱にチューブをひっかけて両腕をY字やT字の形で上に開き、引っ張る動作を20回×2~3セット行っているというが、小川はこんなメニューも実演して教えてくれた。
「チューブを2本持って、腕に内側から巻いていって、この状態(写真右)にしてから、肩を固定したまま上にあげる。そうすると、骨の位置や筋肉が固定されます。これも、毎日やった方が良いなと自分は思っています」

 ちなみに、制球力を高めるようなバランス感覚を養うトレーニングで小川が実践しているのは、バランスディスクトレーニングだ。
バランスディスクの上に立ち、ピッチング動作の中で、最初に片足を上げた状態から、着地させずに、頭の位置を固定したまま、体幹を意識して、ふらつかないまま体勢をキープする。腹圧を高めて固定したまま、片足を動かしながら、体勢を維持するのは意外と難しい。

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[page_break:良いと思ったトレーニングはどんどんトライする]

良いと思ったトレーニングはどんどんトライする

ウェアに目を落とす小川 泰弘選手(東京ヤクルトスワローズ)

 良いトレーニングがあると聞けば、積極的に取り入れていく小川は、とくにシーズン終了後は毎年、新しいトレーニングにトライしていく。
【小川選手のハイパフォーマンスを生むためのトレーニング内容はこちら!】
それは、トレーニングだけでなく、用具選びやウェア選びなどにも通じている。

「ウェアでも、カッコいいデザインだとテンションが上がりますよね。調子が良くないときは、とくに着ているものとか、使っているものを変えて気分転換したくなるときがあります。それで勝ったりすると、このウェアのおかげなんだと思ってしまったり(笑)。

 あとは自分の好きなようにコーディネートできるものが良いですね。室内のトレーニングであれば、短めのハーフパンツで、膝がかぶらないくらい短いのと、その下に、軽くて、しっかりと伸びるタイツを履いて、Tシャツを着て、いつもトレーニングしています。派手になりすぎない色合いで、着心地の良いものを選んでいます」

プロの第一線で活躍をし続ける選手ほど、こだわりは多い。

 すでに結果を積み上げている小川だが、これからもっと高いレベルで勝負していく投手となるのだろう。
最後に小川に、オフの期間、そしてキャンプでのトレーニングの成果を試合で最大限に発揮するために、必要なものはどんなものだと思うかと尋ねてみた。

「トレーニングだけしていればいいわけでなく、トレーニングは、試合で力を発揮するためのコンディショニング作りの一つと捉えています。トレーニングがあって、休養もあって、食事などの普段の生活もあって、それらのバランスが崩れてしまうと自分の力が発揮できなくなる。闇雲にトレーニングをしたからって結果が出るわけでなく、生活の中での基本的な部分が大事だと思うんです。

 練習を頑張りすぎて、試合で結果が出ない人もいますが、やっぱり、そのバランスが大事なんですよね。登板日やシーズンインなどを逆算して、この日とこの日をトレーニングにしようとか、“逆算した準備”が結果につながってくる。そのことを(昨年)6連勝した時に改めて感じました」
 

 そんな小川の2016年の目標とは?
「2015年は先発ローテーションを守って、ケガをせずに、優勝もできましたが、日本シリーズではソフトバンクに力の差を見せつけられたので、今年は精神的にも肉体的にもレベルアップして、本当のエースとなってチームを引っ張っていきたいです。あとは、5月と6月に、1つでも多く勝って、チームを助けることが出来るピッチングがしたいです!」

 これまで目指してきたリーグ優勝を経験したことで、新たに見えたものがあった。もっと強い投手になるために。
2016年の小川 泰弘のピッチングに期待したい。


注目記事
【1月特集】2016年、自律型のチームになる!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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