Interview

オリックス・バファローズ T-岡田選手【後編】「T-岡田選手が球児に教える『野球の探求法』」

2015.08.12

 [stadium]京セラドーム大阪[/stadium]の3階席、時には5階席。マスコットバットで振りぬいた打球が次々と突き刺さっていく。その打球の主はオリックス・バファローズ屈指の長距離砲・T-岡田選手である。 そんなT-岡田選手にインタビュー後編では高校球児もすぐに実践できる練習法や野球の見方、そして親身にメッセージを語って頂きました。

「動くボール」への対応法

T-岡田選手(オリックス・バファローズ)

――現在はT-岡田選手に対する相手投手の攻め方も2010年に本塁打王(33本)でタイトルを取った当時とで変わってきていると思います。これは高校生も一番苦労していると思うんですが、ツーシームやカットボールのような動くボールをどうとらえるかが課題になってくると思います。

T-岡田選手(以下、岡田)  通常ツーシーム系の球に関しては、バッティングカウントで投げてくることが多いと思うので、そういったところでは強引にいかず、基本的にセンター中心に打ち返していこうと僕は考えています。そこからコースが甘く入って引っかかればライト方向にも飛びますし、しっかり自分のスイングをすればファウルになってくれると思うんです。「強引にいかない」というところが大事だと思います。

――ツーシームやカットボールを「ヒットにする」のではなく、実は「ファウルにする」こともOKなんですよね?

岡田 そうなんです。そうやってカウントを作って自分の狙いやすい球種を投げさせるように引き込めばいい。特に高校生の場合は、そこまで厳しいコースに投げ続けられるピッチャーってなかなかいないと思いますので。

――岡田選手の場合は、打率を上げるなりホームランを量産していく中で必要なことは何だと思われますか?

岡田 「確実性」じゃないですかね。僕はずっとこれを課題にしています。確実性が上がれば確実にホームランは増えますので。そこだけだと思います。


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木製バットで鏡の前で「モノマネ」素振りをした高校時代

T-岡田選手(オリックス・バファローズ)

――ただ、高校球児が使う金属バットと木製のバットとは原理的にはかなり違うと思います。

岡田 いや、僕は中学くらいからずっと自分に合った木製バットを使っていましたよ。ですから、高校からプロに入って戸惑ったことは、ピッチャーのスピードなどの部分だけだったんです。

――そうだったんですね。そんなT-岡田選手が素振りの際に大事にしていることはどんなことでしょうか?

岡田 イメージも大切ですけど、僕の場合で言えば、高校時代(履正社・大阪)の頃はずっと鏡を見てスイングをしていましたよ。プロ野球を見て「こういうスイングをしたいな」と思えば、そういったことも鏡で確認しながらできる。「モノマネ」じゃないですけど、そういうことも大事だと思うんです。

――意外と今、高校球児ってプロ野球選手を知らなかったりします。MLB選手はかろうじて知っている、というような。

岡田 メジャーよりはまず日本のプロ野球の方がいいと思います。メジャーは身体能力でやっている選手も多いですし、日本人では彼らほど身体が大きい選手って少ないじゃないですか。
ですからプロ野球選手の中で自分と同じようなタイプの選手を見つけて、そういった選手のプレースタイルを見るっていうのは自分にとってすごく大事になると思うんですよね。

――岡田選手はちなみに高校時代は?

岡田 僕がよく見ていたのは松中信彦さん(福岡ソフトバンクホークス)とか松井秀喜さん(当時は読売ジャイアンツ)、高橋由伸さん(読売ジャイアンツ)とかですね。

――そこですり足をやってみたり脚をあげてみたり。

岡田 そうですね。僕は高校の頃、脚を上げていたので。

――ちょっと高橋由伸さんの脚の上げ方を真似してみたりとか。

岡田 そうです(笑)。


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鏡の前で素振りをする方法論とシーズン終盤へ向けて

T-岡田選手(オリックス・バファローズ)

――岡田選手が素振りをする場合、鏡は正面に置くのですか?

岡田 正面ですね。横目で見て振ってみたり、自分で見ながらスイングしたり。そこからティーバッティングにいったりマシン打撃に行ったりしていました。その中で自分の感覚で「ここ振りにくいからこうしてみようかな」とか。自分で考えるのもすごく大事だと思うんです。

――そこはよくわかります。自分で自分を理解できないといけないですからね。

岡田 そうしないと、最初は良くても、いざ悪くなった時に改善方法がわからない。だからこそ、自分で考えてやるというのが大事だと思います。マシンやティーで悪かったら鏡に戻るのもいいと思いますし。

――ペナントレースもいよいよ終盤に入っていきます。ここまではチームとしては思うような成績を残せていないと思います。ここからどういう風に巻き返していこうと思っていますか?

岡田 自分もなかなか結果が出ていないので、なんとかチームを引っ張って行けるような成績を残してやって行きたいと思います。練習ではバンバン打てたりするんですが、ゲームになると自分のスイングをさせてもらえないところもあるので、そこはやっぱり「下半身の使い方」や「粘り」ですよね。そのあたりが大事になってくると思いますね。

――それでは最後に高校球児へのメッセージを。

岡田 今の高校生は本当にレベルが高いですからね(笑)。ただ、オリックス・バファローズは一昨年からずっとチームのスローガンじゃないですけど「12球団イチ諦めの悪い球団になろう」というのをやっているんです。それと同じで高校野球はとくに最後まで何があるかわからないので、みなさんには最後の最後まで全力であきらめることなくプレーしてもらいたいですね。

――今回も貴重なお話、ありがとうございました。

岡田 ありがとうございました!

 インタビュー後、連日の特打に向かったT-岡田選手。この日も豪快な特打を終えた後、ふと目を移すとバックネットのガラスに自分を映し、素振りを続ける姿があった。
このように今も高校時代の純粋さを忘れず真摯に野球へ向かうプロ野球選手「岡田貴弘」。高校球児の皆さんもぜひ、その姿勢を目に焼き付けて前に進んでほしい。

(取材・写真:寺下 友徳


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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