Interview

宮本 慎也氏【後編】「上手くなるには誰にでもできることの積み重ねしかない」

2015.04.23

 前編では、宮本氏にプロで生き残るために走塁にこだわるようになったきっかけを教えていただきました。後編では日頃の走塁練習でより効果が増す取り組み方、考え方、スパイクの使い方についてもアドバイスをいただきました。

打球判断の練習は打順を踏まえるとより実戦的になる

宮本 慎也氏

 フリー打撃の際に走者になり、生きた打球を見ながら打球判断の練習をしているチームは多いと思う。宮本氏によると「打順が決まっているのであれば、自分が走者になった時に打席に入る選手の打球で練習した方が、より実戦的」だという。

「たとえば二番打者なら、塁に出た時に打席に入るのは三、四、五番ですよね。ならばその選手の打球を日頃から見ておき、ドライブする打球が多いとか特徴をつかんでおくと、試合での打球判断がしやすくなると思います。走塁では二塁からワンヒットで還るのが一番難しいのですが、このことでコンマ何秒かでもスタートが早くなれば、それだけセーフになる確率も高まるはずです」

 宮本氏がくれたこの2つ目のアドバイスは、打順が固定されている選手は是非、実践してみたい。反対に打順が固定されていない選手や、代走での出番が多い選手は「レギュラー全員の打球の特徴を頭に入れておく必要があるでしょう」

 3つ目のアドバイスは「誰でもできることは必ずやる」だった。

「当たり前かもしれませんが、塁に出たら、アウトカウントと相手の守備位置を確認します。守備位置は外野だけでなく、内野も見ます。高校野球では滅多にないかと思いますが、メジャーでは、三塁手が遊撃あたりにいる極端な守備陣形を取っていたところ、二盗に成功した走者がすぐに三塁に向かい、進塁を成功させた例もあります。ボールを持った野手が追いかける形になりましたが、その選手の足が優ったのです。私が思うに、その選手ははじめから、空いてしまった三塁を狙っていたのでしょう」

 スキのない走塁を実践するには、こうした「準備」も不可欠だ。

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勝つための走塁特集
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スパイクの特徴を生かして走塁のパフォーマンスを上げる

宮本 慎也氏

 また、準備に関していえば、走塁と密接なつながりがあるスパイク選びも選手にとっては、大切なものだ。宮本氏も現役時代、スパイク選びの際は、「スパイクの歯の並びも重視していた」と語るほど。歯の並び、スパイクの素材など、現在の球児たちも大きなこだわりを持っているが、ここ数年は各メーカーともに、「軽量化」に注力してきた。そんな中、最近は「フィット感」を重要視しているというプレーヤーも増えてきた中で、注目されているのがミズノが提唱しているQUICKNESS(クイックネス)から生まれたCQシリーズ、IQシリーズのスパイクだ。

 
実際に履いているプレーヤーたちからは、「足にフィットして走りやすい!」「踵(かかと)が包み込まれている感じがすごい!」といった声を聞くが、このスパイクのフィット感については宮本氏も試し履きした中で、
「確かに踵がしっかり作られているからフィット感が良いというのが分かりますね。フィット感がいいと、プレーしやすいだけでなく、疲れにくいというメリットもあります」

 
また、走塁の成否は一瞬で決まるが、 CQシリーズ、IQシリーズは静から動への一瞬にもこだわっている。初動の一瞬をサポートしてくれるも大きな特徴だ。
「そういった機能性は有り難いですね。走塁のパフォーマンスを高めるには、スパイクは1つのカギになりますから。でも、言わずもがなですが、スパイクのテクノロジーに頼ってはダメです。自分の走塁力を上げるのが前提で、テクノロジーはプラス要素と考えるのがベターだと思います」

 ちなみに宮本氏は現役時代、年間でスパイクは、ホームとビジター用を合わせて6足ほど使用していたという。昨今、高校野球では、試合用と練習用でスパイクを分ける選手が多いようだが、宮本氏は「家計の状況が許すなら」と前置きした上で賛同する。

「僕も試合ではいいスパイクを履きたかったですから(笑)歯の消耗を考えてもその方がいいでしょう。ただし試合用のスパイクを大事にするがあまり足に馴染んでいないと、パフォーマンスを下げてしまいます。練習で足に馴染ませてから、試合で履いてほしいと思います」

<取材後記>
一般的には“鉄壁な守備力を誇る選手”として認識されていた宮本氏。しかし現役時代、チームプレーを大切にされていたからでしょう。走塁についても、深くて、いいお話をご披露してくれました。現在は小学3年のご子息が所属する少年野球チームで、コーチをされているそうですが(なんと贅沢な!!)、1日も早く指導者としてユニフォームを着てほしい。多くのファンが望んでいるのは言うまでもありません。

(インタビュー・文/上原 伸一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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