Interview

智辯学園高等学校 廣岡 大志選手 「強烈なプラス思考を持った廣岡 大志」

2014.12.22

 1年春からベンチ入り、1年秋では三塁手の座を獲得。岡本和真が目立つ中で一際存在感を示していたのが、智弁学園・廣岡大志選手である。2015年度の高校生を代表する強打者に今年にかける想いを聞いた。

小坂将商監督が語る廣岡 大志

「こんにちは!今日は廣岡大志の取材ですよね?」
奈良県五条市に位置する智辯学園の練習グラウンド。出迎えてくれたのは小坂 将商監督だ。

「廣岡の最初の印象ですか?体は細かったですけど、身長は既に180センチくらいあって、でかいなぁと。とにかくメンタルが強いんですよ。気持ちをしっかりと表に出していける選手だなと。この子がいる間の3年間は、チームは安泰。そう思わせてくれるような存在でした」

初回に本塁打を放った廣岡 大志選手(智辯学園高等学校)【2014年秋季奈良県大会 準決勝 天理戦】

 1年春からいきなりベンチ入りを果たし、秋には三塁の定位置を獲得した廣岡選手。小坂監督はチームの絶対的主砲であった岡本 和真(2014年ドラフトにて巨人より1位指名)2014年3月インタビュー2014年8月インタビューとはバッターとしてのタイプが異なることを廣岡に説き続けたという。

「岡本は高い放物線を描くようなホームランが持ち味ですが、廣岡の持ち味は、弾丸ライナーがそのままスタンドへ飛び込んでいくようなホームランが打てることです。彼には『岡本のような高い弾道を描こうとせず、低いライナーを打つことを徹底的に意識しなさい。そのほうが君の場合は打率が残るし、ヒットの延長で結果的にホームランも増える』と早い段階で伝えましたね。

 とにかく、練習でも試合でも『低いライナーを打て!』と言い続けていますし、時には『フライ打ったら即、代えるからな!』と言ったこともあります。絶対に彼の持ち味だけは殺したくなかった。トップの位置も深く、リストが強い。リーチも長いので外角のボールでも左中間に打ち返していける。岡本にはない良さを彼は持っているんです」

 プロというレベルを鑑みた場合、廣岡の課題はどのあたりにあると感じているのだろうか。

「左の肩が少し早く開いてしまい、少し外からかいてしまうようなドア気味のスイングになってしまう点でしょうか。これだと、社会人、プロのレベルの投手が投げるキレのあるカットボール系の外角のボールには対応できない。もう少し、右ヒジの位置を体に近づけ、インサイドからきちんと振り出していけるスイングにしていく必要はあるかなと感じています。守備面においても、新チームからはショートを守らせていますが、股関節の硬さを感じます。肩も強いし、ハンドリングもいいので、あとは下半身の柔軟性ですね」

 現在、高校通算本塁打は17本。小坂監督は「最終的には40本超えを狙ってほしい。大志なら十分可能な数字」とエールを送った。
「新チーム結成時に『プロを目指せ!』と彼には伝えました。身近な存在だった岡本がプロに指名されたことでよりプロへの現実味が出たんじゃないかと思う。高校生の間に、課題をできるだけ克服できるよう、手助けしてあげられたら、と思います」

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[page_break:徹底してきた「低いライナー」を打つイメージ]

徹底してきた「低いライナー」を打つイメージ

インタビューを受ける廣岡 大志選手(智辯学園高等学校)

「こんにちは! 今日はよろしくお願いします!」
小坂監督と入れ替わるように、バックネット裏の建物内に現れた廣岡大志主将。快活そうなオーラが実に印象的な17歳だ。

廣岡 大志選手(以下「廣岡」) 智辯学園に入部して、1学年上の岡本さんのバッティングを見た時はビックリしましたね。逆方向にものすごい飛距離の打球を飛ばしていたので、これはすごいなぁと。こんなすごいバッター、今まで見たことなかった。でも自分は野球に関しては1番になりたいという気持ちがものすごく強いんです。そんな岡本さんを見て「負けたくない!」と強く思ったのも事実。ものすごく負けず嫌いなんです、自分。

――小坂監督からは「岡本の高い弾道を意識せず、低いライナーを意識しろ」と言われ続けているそうですね。

廣岡 それは入学間もない頃からずっと言われ続けています。「お前の場合は低いライナーでスタンドに入れる能力がある。それは岡本にはない、おまえの持ち味だからとにかく低いライナーを打つことを徹底して意識しろ!」と。監督さんからはフライを打つと怒られることも多いです。

――小坂監督は「ヒットの延長の意識を持っていても、高校通算40本は十分狙える」とおっしゃっていました。

廣岡 それくらいは打ちたいですね。でも高校通算17本全てがセンターから左に飛んだものなんですよ。岡本さんのように右方向に叩き込めたホームランはまだないので、そのへんが課題ですね。

――時にはホームランを狙うことはある?

廣岡 基本的には意識しませんが、時折カウントがノースリーになった時に監督さんから「打っていいぞ!」という指示が出ることがあるので、そのときはホームランに出来そうなボールを待ちながら、フェンスオーバーをイメージすることはあります。でもその時くらいですね、ホームランをイメージするのは。ボールの下を叩いてスピンをかけよう、といった意識もありません。ボールの芯を打ち砕き、前のフォローを大きくとっていくイメージを、いつも持っています。

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[page_break:課題克服のために意識していること/今後の目標]

課題克服のために意識していること

――現在、打撃面で意識している点はどういったことですか?

廣岡 左方向へのヒットが多いので、バッティングの幅を広げるべく、セカンドの頭上にライナーを打ち返すことを意識しています。でもあまり右方向へおっつけることを意識しすぎると、右肩が下がることで、ヘッドも下がるので、バットが遠回りして、速いスイングができません。そのためインコースにも詰まりやすくなるので、打つときに両肩のラインはしっかりと一定のラインに保って、スイングスピードが速いレベルスイングすることを注意していますね。

素振りをする廣岡 大志選手(智辯学園高等学校)

――おっつけるというよりは右方向に引っ張るイメージ?

廣岡 そうです。外の球に対して押すというよりも、かぶせていくイメージです。このイメージでスイングすると力強い打球が右方向に飛ぶことがわかってきました。でもかぶせを意識しすぎると、今度はバットをこねてしまうので、そのバランスが大事。ここはもう感覚の世界なので、言葉で表現するのは難しいですが…。

――小坂監督は「ドア気味のスイング軌道を修正していくのが今後の課題」とおっしゃっていました。

廣岡 それはいつも言われています。だからいい当たりが全部左方向に飛ぶんだと。今は体の近いところにバットを通しながら、前を大きくとるイメージでスイングしています。自分の場合、あまり右ヒジの位置を意識しすぎるとバットがでてこないので、右肩を出していきながら右手でパンチするようにバットを出していくイメージを持つようにしています。少しずつスイング軌道は改善されているのではないかと思っています。

――深いトップは監督も絶賛していましたよ。

廣岡 でも自分ではトップのことは全然意識していないんです。トップは勝手にはまる感覚ですね。

――足を上げる始動の早いフォームはいつからですか?

廣岡 小学生の時から今のような大きく足を上げるフォームでした。小学生の頃からアレックス・ロドリゲス(ヤンキース)が好きで。その影響なのか、小学生の頃から「おまえのフォーム、外国人みたいやな」と言われ続けてきました。

今後の目標

――前チームでは岡本選手の後ろを打つことも少なくなかったですが、相手チームが岡本選手を敬遠することも頻繁にありましたよね。ああいう場面ではどういう心境で打席に入っていたのですか?

廣岡 「敬遠しろ!」くらいに思っていましたね。「その敬遠策、失敗に終わらせてやる! ここで打って後悔させてやる!」という気持ちだけですね。

――「ここで打てなかったらどうしよう…」といったマイナスイメージは一切なかった?

廣岡 ぼくはないんですよ、そういうのは。岡本さんが敬遠されるということはチャンスの確率が高いので、むしろ嬉しかったです。

――その気持ちの持ち方はプロ向きだと感じます。

廣岡 そうですか?(照れ笑い)

――岡本選手が巨人のドラフト一位を受けたことで、プロの世界がより身近なリアルなものになったのではないですか?

廣岡 子どもの頃から、夢はプロ野球選手でしたが、一緒にずっとプレーしてきた1学年上の先輩がプロに指名されたことで、ものすごくプロの世界がリアルな世界になりました。「自分も絶対にプロにいくんだ! 岡本さんみたいに1位指名されるような選手になるんだ!」という気持ちがより強くなりました。

――岡本選手からも「一緒にプロでやろう!」と言われているのではないですか?

廣岡 言われましたね。「一年後、おまえもプロに来い!」と。

――いいですね!最後に今後の抱負を教えてください!

廣岡 まずはなんといっても、来年の夏の県予選で優勝する事。そこだけを見据えてやっていきたい。その先の目標は高卒でのプロ入りです。上のレベルでしっかりと通用するような技術を身につけていきたいです。

――今日はありがとうございました。今後のご活躍、楽しみにしています!

(インタビュー・服部 健太郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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