Interview

第96回選手権神奈川大会 ここまでの戦いを振り返る!!

2014.07.18

 日本で最も熱い神奈川大会も、ベスト16が出揃った。今大会第1シードとなったのは横浜向上東海大相模慶應義塾の4校だ。

順当に勝ち進んできた第1シードの4校!

 二季連続甲子園出場を果たし、春季県大会でも優勝した横浜関東大会霞ヶ浦にコールド負けを喫した。だが県内では投打とも群を抜いたパフォーマンスを示しており、よほどのことがなければ順調に勝ち進んでいくチーム力がある。

 大会が始まってから厚木西荏田湘南を下し、順当にベスト16に進出した。
打線で大当たりを見せているのは1番浅間 大基(3年)。厚木西戦で2本塁打を放つと、4回戦の湘南戦で、勝ち越し2ランを放ち、好調を維持。主砲の高濱 祐仁(3年)はまだ本塁打はないが、強引な打撃をせず、広角に打ち返す打撃を披露し、状態は上向き。

 そしてエースの伊藤将司(3年)が湘南戦で10者連続奪三振を記録。好調時のストレートのキレを取り戻し、本来の投球が出来るようになったのは大きいだろう。3季連続甲子園出場へ向けて、投打ともに内容を上げてきた。

高橋 裕也 (向上)

 向上初戦横須賀総合戦でコールド勝ち。3回戦の関東学院戦では先行を許し、苦しみながら、4回戦では横須賀戦で、4対3と1点差での勝利。春季大会に続き、タフな戦いを強いられているが、取りこぼさず勝利出来るところに強みを感じる。次の試合でも粘り強い戦いを制し、初優勝を目指す。

 東海大相模青島 凌也(3年)、佐藤 雄偉知(3年)、吉田 凌(2年)の3投手が未だ無失点。また、左腕の小笠原 慎之介(2年)も控えており、投手力は万全。そして打線は4本塁打と調子を上げている。
今後はシード校の対決が続き、激しい戦いが予想されるが、攻守ともに隙のないゲームをめざし、4年ぶりの甲子園出場を目指す。

 慶應義塾のエース原田 匠(3年)は1試合のみの登板で、津留崎 大成(2年)、 土井 涼(2年)に経験を積ませている。5回戦以降で、原田以外に投げられる投手が出てきたのは収穫だろう。打線は名幸 大成(3年)を中心とした打線の破壊力は脅威。つなぐ打線を意識し、大量点を取り、2008年以来の甲子園出場を目指す。

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[page_break:法政二、相洋、桐光学園も虎視眈々と甲子園出場を狙う]

法政二、相洋、桐光学園も虎視眈々と甲子園出場を狙う

 他のシード校も順当に勝ち進んでいる。相洋はすべて完封勝利。特に2年生左腕・齋藤 航太の成長が著しく、投球に期待が集まる。
桐光学園武 拓人(3年)、重村健太(3年)と下級生の時から公式戦を経験している好打者が中心となって、打線を形成している。投げてはエース山田 将士(3年)が投打で引っ張る。まだ新1年生の活躍も見逃せない。捕手として出場している大坪 亮介(1年)は昨年、U-15日本代表入りした逸材。早速ベンチ入りし、上級生投手をうまくリードしている。
中川 颯(1年)は右下手投げの投手で、2試合登板でともに好投。本格派が多かった桐光学園にとって異色の存在で、注目される存在となるだろう。

 法政二河野 太一郎(3年)、仲島 大雅(2年)の二枚看板は強力で、打線も上位下位に切れ目のない打線が特徴で、投打とも総合力が高いチームだ。
横浜創学館は左腕・福田 俊(3年)、140キロ右腕・海老塚 耕作(3年)の2枚看板に、打線は北村 航太(3年)を中心とした打線の破壊力は脅威的。

 第3シードの立花学園は2回戦の鎌倉学園戦では7対6と延長戦を制し、3回戦でも足柄に3対2と接戦をものにし、4回戦の山北では10対3でコールド勝ちを決めた。
投手陣は継投策で勝ち上がり、打線は4番越田 拓也(2年)が毎試合打点を決めている。勝負強さを持った選手がいるのが強みである。

 また川崎北を強豪校に育てあげた佐相監督率いる相模原も、三浦学苑に2対0で勝利するなど、地力のあるチーム。相模原も、強豪校を脅かす学校に成長しつつある。

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[page_break:横浜隼人、厚木など健闘を見せるノーシードの強豪たち]

横浜隼人、厚木など健闘を見せるノーシードの強豪たち

 ノーシードでも健闘した学校は数多い。

 その中で、試合ごとに注目度が上がっているのは横浜隼人である。
1回戦では、横浜商大と対戦。お互い甲子園出場を経験したチームで、[stadium]神奈川県立保土ヶ谷公園硬式野球場[/stadium]は内野席、外野席まで埋まり、1回戦とは思えない観客を動員。ハイレベルな戦いを見せた。
試合は横浜隼人がサヨナラ勝ちを決めた。雰囲気は初出場した2009年を思い出すといわれるが、どんな結果を起こすのだろうか。

 そして厚木はノーシードながら強豪・日大藤沢を破り、相模原中等教育に8対7の接戦を制するなど、ここまで苦しい戦いをモノにしているのが強みだ。ウリは4試合で47得点を奪った攻撃力。5回戦でも同様の打撃を見せることが出来るか。

 橘学苑はエース尾崎 祥莞(3年)を中心とした守り勝つ野球で、シード校のを破り、ベスト16まで駒を進めた。

 また躍進が期待されたシード校・鶴嶺を破った横浜清陵総合の戦いぶりも見逃せない。

 昨夏準優勝ながらノーシードでスタートした平塚学園小野寺 敦也(3年)、吉成 廉(3年)、高田 孝一(1年)と投手力の層の厚さは、昨夏準優勝以上。堅実な守備、つなぐ打撃で確実に点を取り、守りきる守備力で、実力は昨年と大きな差はない。ノーシードながらベスト8、ベスト4以上が見込めるチームになるだろう。

 藤沢翔陵は県内でも実力ある公立校・相模原総合を下し、ベスト16。 大島サミーウッラミル(2年)が好投し、つなぐ打撃で着実に点を重ね、勝ち進んだ。投打ともにまとまりのある好チームだ。

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[page_break:5回戦の見どころ]

5回戦の見どころ

向上vs横浜清陵総合

 向上は苦戦が続いているが、それでも勝てるのが強み。関東大会準優勝したチームなので、圧倒して勝つことが求められがちだが、もともと接戦をモノにして勝ち進んできたチームなので、自分達の土俵で戦ってきているといえる。対する横浜清陵総合は接戦に強いチームで、この試合も1点を争う好勝負が展開されそうだ。向上にとっては早い段階に試合の主導権を握り、逃げきりを図りたい。

平塚学園vs相洋

 お互い投手力が高く、1点を争う好勝負だ。ともに絶対的なエースは存在せず、継投策で勝ち上がるチームなので、投手の使いどころがカギになりそうだ。

慶應義塾vs桐光学園

 5回戦屈指の好カード。慶應義塾はエース原田以外に、土井、津留崎を投げさせたことで、どの場面にも使うことが出来る。打線は名幸を中心に、試合序盤から点を重ねていきたい。桐光学園はいかに慶應義塾打線を凌ぐことが出来るか。試合状況に応じての継投も鍵を握るが、つなぐ打撃で慶應義塾投手陣を崩したい。

横浜隼人vs藤沢翔陵

 横浜隼人は今大会3本塁打の手塚 渓登(3年)を中心に長打力ある選手が出揃い、自慢の打撃で打ち崩していきたい。藤沢翔陵はいかに横浜隼人打線を凌ぐことが出来るか。投手1人ではなく、流れを変える為に、継投策も考えられる。打線は本塁打ではなく、コツコツと点を重ね、横浜隼人投手陣を崩したい。

東海大相模vs法政二高

 こちらも5回戦屈指の好カード。東海大相模は投手力は万全で、打線の状態も上向き。対する法政二は最速145キロ右腕・河野 太一郎(3年)がどれだけ東海大相模打線を抑えられるかがカギとなるだろう。序盤から慌ただしい試合展開が予想されそうだ。

橘学苑vs厚木

 粘り強い守りで勝ち上がってきた橘学苑に対し、厚木は強力打線で勝ち上がってきた。 どちらが、自分の持ち味を出して試合の主導権を握ることが出来るか。試合終盤までシーソーゲームが展開されそうだ。

横浜vs立花学園

 横浜は走攻守ともに隙がなく、投手陣もエース伊藤 将司も状態が上がっており、試合の主導権を握り、一気に試合を決めたいところ。立花学園は守備で投手陣を盛り立て、余計な失点を与えずに、4番越田 拓也(2年)を中心とした打撃で横浜投手陣を打ち崩し、食い下がっていきたい。

横浜創学館vs相模原

 横浜創学館海老塚 耕作(3年)が好調を示しており、この試合でも試合をしっかりと作ることが求められる。打線は試合序盤からチャンスを作り、点を重ね逃げきりを図りたい。相模原はエース新井 慎也(3年)が横浜創学館打線を凌いで、打線は少ないチャンスをモノにして、接戦に持ち込んでいきたい。

 5回戦も好カードが多く、目を離せない試合が多い。ここから甲子園を目指すには7日間で、4試合もこなさければならない。日程はだんだんタイトになる。今年はノーシードからでも実力あるチームが出揃っており、ノーシードの学校が甲子園出場を掴む可能性も十二分にある。

(文=河嶋 宗一

◆ 第96回神奈川大会
◆ 大会日程・結果ページ 
◆ 組み合わせはこちら(神奈川県高野連HP)
◆ 大会期間:7月12日~7月30日
◆ 参加校数:190校
◆ 決勝球場:[stadium]横浜スタジアム[/stadium]
◆ その他の球場:[stadium]保土ヶ谷・神奈川新聞スタジアム[/stadium]、[stadium]バッティングパレス相石スタジアムひらつか[/stadium](平塚球場)
[stadium]大和スタジアム[/stadium](大和引地台球場)、[stadium]サーティーフォー相模原球場[/stadium]、[stadium]横須賀スタジアム[/stadium]、[stadium]藤沢八部球場[/stadium]、[stadium]等々力球場[/stadium]、[stadium]秦野球場[/stadium]、[stadium]小田原球場[/stadium]、[stadium]いせはらサンシャイン・スタジアム[/stadium]、[stadium]俣野公園横浜薬大スタジアム[/stadium]

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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