Interview

仙台育英OB 渡邊 郁也投手×田中 吏捕手のバッテリー対談

2014.12.09

 2012年、甲子園に出場した仙台育英渡邊 郁也投手と田中 吏捕手のバッテリー。卒業後、渡邊選手は青山学院大で内野手としてプレー。田中選手は順天堂大でトレーナーを目指しながら勉強に励む毎日です。
2人に高校時代のエピソード、現在について、そして将来の目標を語っていただきました。

甲子園を叶えた仙台育英バッテリー

渡邊投手の高校時代
【写真:2012年 第67回ぎふ清流国体 1回戦より】

――まず2人の出会いはいつからになるのでしょうか?

田中 僕たちは小学校の時に出会いました。毎年12月に行われるNPB12球団ジュニアトーナメントで、僕と郁也は楽天ジュニアに選ばれました。僕は捕手で、郁也は投手でした。

渡邊 田中は小学校の時から174センチもあったので、会った時は本当に大きいな!と思いました。楽天ジュニアでは元プロの方に楽しく野球について教えてもらって、また楽天の本拠地で練習することができたのが良い思い出です。

――仙台育英は非常に自主性が高いチームだと感じるのですが、2人はどんなことを念頭に置いて練習に取り組んでいましたか?

渡邊 僕は投手でしたので、走り込みの練習を本当に多くしました。

田中 僕はそれほど能力が高い選手ではなかったので、捕手として考えて野球をやることを頑張っていきました。キャッチング、スローイング、リードを徹底的に磨いて、そして勝てるように相手チームの情報収集も頑張りました。

――高校時代、2人はバッテリーを組んでいましたが、信頼関係についていかがでしたか。

渡邊 僕が投げる時は、(捕手は)田中と決まっていたんですよ。他の捕手と組むよりも、なぜか田中の方が合っていて、呼吸が合うんです。

田中 確かにベンチから他の捕手と組んでいる時の郁也のピッチングを見ていても、あっていない感じがしたんですよね。言葉では表現がしづらいんですけど。僕と組むことが多かったですね。

――3年夏は甲子園に行きましたが、夏の大会前から甲子園に行ける手応えは感じていましたか?

田中 僕たちは東北大会でも準優勝をしていて、このまま普通にやっていればいけるというのを感じていました。

――その夏の宮城大会決勝では東北と対戦。2対1と接戦を制しました。渡邊投手は無四球の完投勝利でしたね。

渡邊 僕はそんなに良い投手ではなかったですが、取られたら、打って返すチームでしたので、結構、気楽に投げられた感じがします。

田中 いつも通りに、郁也の良さを出すことを意識して、1~2点に抑えれば大丈夫だと感じました。

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[page_break:3回戦まで勝ち進んだ甲子園]

3回戦まで勝ち進んだ甲子園


国体の様子
【写真:2012年 第67回ぎふ清流国体 1回戦より】

――夏の大会と、それまでの渡邊投手の投球の内容とで、何か違いはありますか?

渡邊  僕はストレート中心で打ち込まれることが多かったのですが、3年春の東北大会の時にコツを掴んで、変化球を投げられるようになったので、そこから投球が出来るようになりましたね。

――迎えた甲子園では、いかがでしたか?緊張などはありましたか?

渡邊 宮城大会の方が緊張しましたね。甲子園初戦の佐賀北戦(試合レポート)では最初の打者まで緊張しました。夏の大会で初めて歩かせてしまったのでまずいと思ったんですけど、その後は落ち着いて投げることが出来ました。

田中 歩かせても気にしなかったですし、初戦にしてはしっかりとやれた方だと思います。打線も好調でしたので、うまくかみ合ったかなと思います。

――2回戦飯塚(福岡)は強打のチームでしたが、試合前はどんな心境で臨みましたか?

渡邊 初回に3点取られて、さすがにやばいと思って、佐々木監督に「勘違いするな!」と思いきり怒られたんです。そこからとにかく打たせて取ろうと思って、切り替えて、良くなっていきました。

田中 3点取られたとき、相手打線は非常に振れているイメージがあったのですが、郁也の制球力が落ち着いてくるとあまり打てていなかったので、普通にコントロールできていれば大丈夫だと思って、その後は落ち着いて試合運びが出来たと思います。

――この2試合を振り返ると、当時の仙台育英打線は本当に強打線でしたね。

田中 僕は宮城大会0安打で、甲子園の初戦の時に打って、結局、その1本で終わったんですよね(笑)。監督には打撃で期待されていなかったので、『お前は守備とバントをしっかりしろ!』と言われました。僕はバントが得意だったので。

渡邊 僕は打撃にも自信があって、調子が本当に良くて、6割ぐらい打っていたと思います。

――3回戦では作新学院と対戦。2対3と惜敗でしたが、試合前はどんな心境で臨んでいましたか?

渡邊 打たれても、3点以内に抑えろといわれて、3点以内に抑えたんですけど、打線が相手投手に抑えられてあまり打てなかったので、そのまま終わりましたね。あの試合は開き直って投げていたと思います。

仙台育英高時代
【写真:2012年 第67回ぎふ清流国体 1回戦より】

――開き直ったことで、逆に力が抜けて良いピッチングができることもあるのでしょうか?

渡邊 そうですね。大事なことですね。あの試合は、打たれることが分かっていましたし、打たれてはいけないと思うとガチガチになってしまうので、開き直ったことで自分の投球が出来たかなと思います。

――甲子園が終わって、仙台育英国体に出場しましたが、今でも記憶に残っていることはありますか?

田中 国体は、本当に楽しかったです。サインもバントのみで、『あとは好きにやって』という感じですね。僕は最後の打席で1本打てて、チームも盛り上がっていました。

渡邊 あの時は控えの選手が出場することが多くて、初戦はレギュラーが出て、それ以降は控えの選手が多かったですね。

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[page_break:2人の今後の夢は?]

2人の今後の夢は?

順天堂大でプレーする田中 吏選手

――卒業後は、渡邊選手は青山学院大へ。田中選手は順天堂大へ進学しました。大学入学後の2年間を振り返っていかがですか。

渡邊 やはりレベルの高さを感じています。最初は投手を1か月間やっていたのですが、全くダメで、野手に転向しました。今は内野(ファースト)が中心ですね。

田中 僕はトレーナーになるための勉強をしたくて、そこで父から順天堂大を勧められ、佐々木監督も順天堂大の大学院卒なので、いろいろお話を聞かせていただいたりして、入学を決めました。

――実際に大学に入ってからの勉強はいかがですか。

田中 勉強することが多いので大変ですが、学ぶことは新しいことばかりなので、楽しんでやることが出来ています。

――渡邊選手は内野手としてレギュラーを獲得することが目標になると思いますがいかがですか。

渡邊 レベルが高く、競争が激しいのを実感しています。練習は夜7時から9時過ぎまでやるので、短い時間で、僕は体力作りをやっていますね。

――体力作りということで、何か意識していることはありますか?

渡邊選手の大学での練習風景

渡邊 今は172センチ72キロなので、78キロまでにしたいという目標があります。大学には寮の横にジムの施設もあるので、トレーナーさんに聞きながら体作りは進めています。かなり追い込むので、効果もありますけど、非常にキツイですね(笑)。あとは、しっかりと食べることは意識しつつ、ザバスのプロテインなども飲んで、体作りをしています。

――なるほどですね。では、そんな2人の目標を教えてください。

田中 トレーナーとして、日本だけではなく、世界で活躍出来るようなトレーナーになるための勉強をしていきたいと思います。良いトレーナーは知識も大事ですが、いかに選手との信頼関係が生まれるかだと思います。そのためにいろいろな方と人脈を作ることが大事だと聞いていますので、勉強をしながら、いろいろな人と出会ってお話も聞いていきたいと思います。

渡邊 大学を卒業しても、将来的に野球を続けていけるように頑張っていきたいです。そのために身体作りでは、まずは体重を増やしていきたいです。 目標とする体重78キロを来年の春までに到達し、体重を増やすことで、パワーをより発揮できるようにして、プレー全体に生かしていきたいと思っています。

 田中選手、渡邊選手、ありがとうございました!

(インタビュー・河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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