埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗選手（大阪桐蔭高出身）
高校通算22本塁打。夏の甲子園優勝も経験した浅村 栄斗選手は、現在は、埼玉西武ライオンズの主砲として活躍しています。今回は、そんな浅村選手に、プロ入団後のホームラン量産の理由や、逆方向への打球を飛ばすコツなど、テクニカルなお話をたっぷりと伺いました！
ホームラン量産の理由
埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗選手
――ちょうど今、夏の甲子園が開幕した時期ですが、浅村選手は大阪桐蔭高時代、高校3年の夏に全国優勝を果たしましたね。今、振り返ってみて、なぜ勝ち上がることができたと思われますか？
浅村 栄斗（以下「浅村」） 甲子園よりも大阪大会を勝ち抜くほうが難しかったですね。大阪で優勝することが出来たので、それで勢いがつきました。甲子園にきてからも、みんな調子が良くて、チーム一丸となって戦えていたんで。それが出来るかどうかが、高校生の場合は勝ち上がるための課題だと思うので、それが出来たのが良かったと思います。
――なるほどですね。最後の夏の甲子園でもホームラン2本打っていましたが、プロ入り後も、順調に結果を残していて、昨シーズンは27本塁打を放ちましたね。ここまで、ホームランの数が上がった一番の要因というのは、なんでしょうか？
浅村 飛距離も上がりましたし、右方向にも打てるようになりました。今まではムリに、強引に行くというのがあったんですけど、去年くらいから力を入れても入れなくても逆方向に打てるコツが分かってきたんです。無駄な力が入らなくなったんです。自然に振れたというところですかね。
――ホームランを打つためには、大切なのはパワーだけではないんですね。
浅村 パワーももちろん大事だと思います。ただ、打つポイントだったりタイミングだったり、パワー以外にも大事な所はたくさんあることに気付きました。打ち方というより、打つ“ポイント”を大事にしています。
――浅村選手の場合はどんなポイントで打っているんですか？
浅村 僕の場合は、ポイントを前で打つようになってからホームランが出始めたんです。昔はもう少し身体の近くで打っていたんですけど、それをやめて、ちょっと前に置くようになった。それで自然にホームランも増えましたね。
――では、スイングの角度や軌道に関して、気を付けていることはありますか？
浅村 特に気を付けていることは無いんです。昔は上から出せとか言われていたと思うんですけど、今思えば試合になれば上から出さなくても自分は良いと思います。自然にバットを振れた方が、自分に合ったスイングが出来るから、いいんじゃないかなと思いますね。
――高校生が自分のスイングを見つけていくためのアドバイスをいただけますか？
浅村 そうですね、まず上から出す練習をして、そういう基本がわかってから自分でオリジナルを出していけばいいと思うんです。最初から意味も分からなくて変わったスイングをするんじゃなく、上から出せばこう打てる、というのを理解してから自分に合ったスイングを探していけばいいと思います。
逆方向へ強い打球を打つために
埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗選手
――続いて、逆方向へ強い打撃を打つための方法を教えていただけますか。どういったところにコツがあるのでしょうか。
浅村 右手ですね。最近もよく思っていたんですけど、しっかり右手で構えるというか、そういう構えをしないと右には飛ばないな、と。オールスターで色んな選手を見ても思いましたし、右方向に打つには後ろの手が大事だなと改めて思いました。高校時代は、そこまで右方向にロングを打つというバッターじゃなかったので、あまりそういう事は考えていなかったんです。
――浅村選手のバッティングでのオススメの練習方法はありますか？
浅村 普通のティーじゃなくて、正面からトスを投げてもらう、という練習は大事かなと。正面にネットを置いて、その後ろにトスしてくれる人がいて。そんな長い距離じゃないんですけどね。そういう練習は大事です。
ティー自体斜めから投げてくるものなので、野球とは関係ない、練習に特化した動きだと思うんです。だからこそ、試合と同じように正面から投げてもらって、かつ、ゆっくりなボールを自分のスイングを確認しながら打つっていう練習は高校の時から僕もやっていればよかったなと思うくらい、オススメの練習方法ですね。
――浅村選手と言えばチャンスに強い印象がありますが、チャンスの場面ではどんなことを考えて打席に立っていますか？
浅村 もちろん、毎打席、良いイメージで打席に入っています。それは、チャンスじゃなくても、チャンスの時も。あまり力まずに、楽しむ。自分の中ではそういうイメージで打席に立っていますね。
これは、もう高校時代からですね。悪いイメージ持って打席に立ってもいい結果が出るためしがないので。自分が打てばヒーローだ！ってつもりで、打席では常にそう考えています。
――浅村選手は、チャンスに強いだけでなく、積極性もありますね。
浅村 自分ではそれが当たり前だと思ってるんです。積極的に行こう！と思って積極的にしているわけではないし、まあ、それが自分の長所だというくらいにしか思ってないので。自然ですね。高校の時からそんな感じです。追い込まれるのが自分は嫌なんで、追い込まれるまでに勝負したいっていう思いが積極的って見られるのかもしれませんね。
次はスピードを求めていく
埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗選手
――少し道具に関してお話を伺いたいのですが、浅村選手は普段、スパイクはどのような点を重視して、選んでいますか？
浅村 軽さと、フィット感。自分にマッチするか、ですね。そういった部分は、バッティングもそうですし、守備も走塁も動きやすくなるので、そういうところで選んでいますね。
――走塁に関して、昨シーズンも二桁盗塁とチャンスを広げる走りをみせている浅村選手ですが、走塁に関してのこだわりはあるのでしょうか。
浅村 走塁に対しては、バッティングほど深く考えてはいないのですが、走塁練習は基本を抑えることを第一に練習をしています。
――浅村選手は、野球選手としてスピードとパワー、両方を追い求めているのでしょうか？
浅村 実はスピードを無くそうかなと思っていたくらいなんです。パワーだけ。それで生きていこうかなと思ったんですけど、それじゃダメだなって気付きました。ケガをして、スピードも、パワーも、両方いい具合に持てないとダメだなって。
――ケガをされて学ばれたことも大きかったのですね。そんな浅村選手が、調子が悪い時は、どうやって自分の調子を取り戻すように工夫しているのですか？
浅村 調子が悪くなった時は、ひたすら野球のことを考えますね。忘れようとしても、なかなか自分はそういうこと出来ないんで。
そうやって考えていると、たまーに見つかる時があるんですよ。ここをこうしたらいいんじゃないか、って試合に挑んで、上手くいったり。だから、そういうのがあるから考え続けないといけないと思うんです。高校の時は、そこまで考えてなかったですが、プロに入ってからですね。
――では、シーズン後半戦に向けての意気込みをお願いします！
浅村 後半戦では、なんとしても活躍したいなと思いますね。やっぱりファンの方には、バッティングをみてほしいです。バッティングは一番考えてやっているんで、そこは見てほしいです。
――浅村選手は、甲子園での優勝も経験し、プロの世界でも活躍していますが、その背景には、高校3年間での頑張りというのも今に生きているのでしょうか？
浅村 やっぱりそれはありますよね。高校野球って一番しんどいって言われているんで。辛かったですけど、やってよかったなって今思います。プロで結果を残すというのも、とにかく頑張るしかないと思っています。とことん、やる。それだけですね。頑張って取り組んでいれば、結果はついてくると思います！
浅村選手、ありがとうございました！
