Interview

北海道日本ハムファイターズ 中田 翔選手(大阪桐蔭高出身)

2014.07.17

 大阪桐蔭高時代は、高校通算87本塁打をマーク。甲子園では、夏ベスト4入りに貢献。当時は、最速147キロの速球を武器に投手としても活躍。打者としても甲子園で歴代7位となる4本塁打を放つなど、大きな注目を集めた。08年に北海道日本ハムファイターズに入団後は、2軍で経験を積みながらも、今ではチームの主力としてその実力とともに人気を集めている。
今回はそんな中田 翔選手に、理想のホームランや、4番打者としての熱い思いなどを伺いました。

ずっと描いていたプロ野球選手の姿

――まずは、中田選手が野球選手になりたいと思ったきっかけを教えてください。

北海道日本ハムファイターズ 中田 翔選手

中田 野球を始めたのは小学校2年生からでしたが、どこの子供も思うように、親にラクをさせてあげたいとか食わしてあげたいというのが最初のきっかけです。
僕の家は裕福ではなかったですし、まして母親一人で育ててもらってきたので余計にそう感じていたのかもしれません。

――では、“野球”が自分に向いていると思ったのはいつごろからですか?

中田 やり始めた初日からです(笑)。もともとありがたいことに体も大きかったし、遠くに飛ばす力や速いボールを投げる力というのは、野球をやっていた子よりは群を抜いていたと思うので、野球をやり始めた時からそう思ってました。

――その当時は、ここまで活躍できるって思い描いていましたか?

中田 思い描いていましたね。野球を始めた当初は、上手くいかないことも多くありましたけど、でも、もともと体も大きかったし力も強かったので、自分では周りとはちょっと違うなと思ってました。

――プロで初めて打席に立った時の事って覚えていますか?

中田 はい、もちろん、今でも覚えています。プロに入って1年目は、ずっと2軍生活が続いていたんですけど、初めて1軍に行った時は足が震えていたのを覚えていますし、本当に緊張していたなというのはすごく覚えています。

――甲子園の時とはまた違う緊張感でしたか?

中田 ぼくは、甲子園というのは、プロに入るために色々なスカウトの人たちにアピールできる、そういう場だとも思っていたので、緊張は無かったです。本当に楽しめたなっていうような印象はあるんですけど、プロの世界に入ってからは楽しめるとかじゃなくて、緊張することの方が多かったですね。

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中田翔が語る理想のホームラン

北海道日本ハムファイターズ 中田 翔選手

――中田選手は、ホームランを打つためには、パワーが大事だと思いますか?それとも技術面が大事だと思いますか?

中田 正直、高校までは僕はパワー一本でやっていたと思います。
プロの世界と高校とは、レベルがかけ離れているのでそこは比べられないんですが、ある程度力があって、スイングスピードが速かったり、スイングする力がある子だったら、人よりもちろん遠くに飛ばせるでしょうし、プロみたいに木のバットじゃないんで。詰まろうが先で打とうが、力があればけっこう打てると思うんです。

――今は技術面を大事にされているんですか?

中田 プロに入ってからは配球の事であったり、ピッチャーのクセ、キャッチャーのクセ。そういうところを、データを頭に入れて打席に立つようになりました。
プロになって駆け引きが大事というか、力が強い選手は数えきれないくらいたくさんいますから、その中でどうしても戦っていくとなると駆け引きが必要なんです。

 僕が見てきた中で、特に駆け引きが上手いと思った選手はやっぱり1軍で結果を残してきていますね。
そういうところから、僕も攻めないといけないかなと思って、配球やピッチャーのクセ、追い込んでからこういうところに放るというパーセンテージとか、そういうことを僕はすごく勉強しました。

――中田選手にとっての理想のホームランとは、どんなものですか?

中田 気持ちよかったのはクライマックスシリーズで、西武の十亀 剣さんから[stadium]札幌ドーム[/stadium]で打ったあのホームランです。あれは個人的に気持ちよかったな、というホームランでした。
あと、札幌ドームで、楽天の美馬 学さんから打ったホームランもちょっとこう、グッとくるものがありました。

――ホームランを打つにあたって、バットの角度や、球種での狙い方で心掛けていることはありますか?

中田 変化球を待っている時と真っすぐを張っている時のスイングってもちろん僕は変えているんです。真っ直ぐの時は、より多くボールに回転を加えてあげたい。回転をしているイコール、ボールも上がってなかなか落ちてこないので。僕の中でそれは理想の打球なので、常にボールに回転をかけることを意識していますね。

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中田 翔のこだわり

北海道日本ハムファイターズ 中田 翔選手

――続いて、用具の話をお伺いしたいのですが、中田選手がスパイクを選ぶときのこだわりを教えていただけますか?

中田 僕はフィット感があるのが好きですね。やっぱり、他のスポーツもそうなんですけど、下の重心っていうのはすごく大事。
僕のバッティングフォームっていうのも足を上げるタイプなので、どれだけ右足でしっかり溜めを作れるかっていうところは日ごろから練習しているんですけど、そういう時、もちろん体のコンディション的なこともあるんですけど、やっぱり履いているものっていうのはすごく影響してくるところだと思います。

――では、守備について伺います。プロに入ってから一番苦労した面はどんなところですか?それに対してどう克服していきましたか?

中田 最初はどこも守れない状況でした。内野をやっても全然だめでしたし、外野をやっても打球判断という面で、すごく判断が遅かったので。周りの選手と比べ物にならないくらい下手くそでしたよ(笑)。
でも、そこから毎日指導者の方に見ていただいて、キャンプ中でも、誰かがロングティーやバッティングをしていたら、外野の守備位置についたりするなど、とにかく量をこなすようにしました。

 バッティングとはまた違う話になってくるんですけど、僕は、守備はやっぱり量だと思っているので。バッティングは量より質ですが、守備はとにかく量をこなすこと。
とにかく打球を受ける。とにかくゴロを捕る。そういうところからのスタートだと思うので、色んなバッターの色んな打球を実際に自分の目で追って、捕って。そういうところから色々覚えていくと思うんです。

――最後に中田選手に伺います。中田選手といえば、とにかく“4番打者”の印象が強いですが、4番打者に必要なものは何でしょうか?

中田 センスじゃないですかね(笑)。というのは冗談にしても、僕は負けず嫌いなんですよね。高校の時も、自分よりちょっとホームランを打つ選手がいたら、そいつよりいっぱい練習してやろうとか、1本でも多くバット振ってやろうとか思ってました。
高校のころは、本当に夜中までバットを振っていたりしたので、やっぱりそういう気持ちを持つというのが大事だと僕は思いますし、あとは、もちろん環境とかもあると思うんですけど、本当に心の底から本気で野球と向き合うことが大切だと思っています。

 
僕が高校のころはとても厳しい学校でしたので、一歩も外には出られれなかった。ずっと敷地内にいるんですよね。それはイコール、野球をする環境でしかないので。それでも野球を嫌にならないくらい、野球が好きでしたし。4番打者として結果を残すことというのは、野球を本当に心の底から好きになることじゃないかと僕は思います。

中田 翔選手、とても参考になるお話をありがとうございました!

中田 翔選手の過去のインタビューも合わせてチェック!

第26回 中田 翔選手インタビュー(2009年01月01日)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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