2010年(59盗塁)、2011年(60盗塁)と2年連続でパ・リーグ盗塁王を獲得し、昨シーズンまでの8年間で積み上げた盗塁数は283個。名実共に球界を代表する快速選手として鳴らすのが福岡ソフトバンクのセカンド・本多 雄一である。
鹿児島実高、社会人・三菱重工名古屋、そして福岡の地で磨いてきた走塁技術とは?
昨年はチームメイトの松田 宣浩三塁手と共にWBC日本代表も経験した本多選手が、高校野球でも実践できる盗塁・走塁の秘訣について、そっと教えてくれた。
「脚の速さ」と「スチール」は別物

福岡ソフトバンクホークス 本多 雄一選手
――本多選手といえば「スピード」。その速さに気付いたのはいつごろなんですか??
本多 雄一選手(以下「本多」) 速さは生まれ持った部分が多いと思うんですが、もともと走るのは小さいときから好きだったんです。いつも友だちと競争していました。
――それを「盗塁」という部分に落とし込むにはどう考えていくことが必要なのでしょうか?
本多 足の速さは自分でも分かっていたので、まずは盗塁を仕掛けていくことをしてみました。ただ、そこで盗塁が簡単でないことを知ったので、次に『どうやったらセーフになるのか』を考え始めたんです。一歩目のスタートや、走っている中でのストライドの伸ばし方、最後のスライディングまで。それらが全部重なり合うことでスチールが成功する。
だから、脚の速さとスチールは別物なんです。単なる競争なら速く走ればいいことなんですが、盗塁はそこに内容が伴ってくるんですね。
――そこに気付かされたのは、社会人・三菱重工名古屋に進んでからですか?
本多 はい。鹿児島実時代は盗塁に対する欲がなかったので。社会人3年目のとき、盗塁の楽しさに気付いて、プロに入ったらさらにレベルが高くなったことで、盗塁することへの欲が出てきました。
――「足が速い楽しさ」が「盗塁の楽しさ」へと変化したわけですね。
本多 そうです。盗塁ばかりでなく、走塁で次の塁を狙う楽しさも生まれてきました。相手キャッチャーがワンバウンド捕球をしたときに次の塁を狙ったり、相手野手のちょっとしたスキを狙って次の塁に進む。色々な盗み方が浮かんできました。
ただ、これも自分の足が速かったから生まれてきたことだと思うんです。それを自分が知っているからこそ、さっき話した考えが浮かんでくるのだと思います。