Interview

日本大学 京田 陽太選手(青森山田高出身)

2014.05.29

 高校時代(青森山田)は1年夏からスタメン出場し、光星学院北條 史也(現・阪神)、田村 龍弘(現・千葉ロッテ)とともに注目された京田 陽太選手。日本大学進学後、1年春からスタメン出場を続け、堅実な守備を持ち味にチームの主力選手となっています。京田選手から高校時代の取り組み、また自信にしている守備についてお話をいただきました。

基礎から守備を叩きこまれた高校時代

――京田選手は1年から6番ショートでスタメン出場をしてきましたが、当時自信があったのは遊撃守備でしょうか?それとも打撃でしょうか?

青森山田時代の京田 陽太選手(日本大学)

京田 陽太選手(以下「京田」) やはり守備ですね。入学した時から結構守れる自信があったのですが、当時部長の五十嵐先生に、基礎からとことん叩き込まれたことで、さらに自信になりました。

 特に厳しかったのは試合における状況判断、カバーリングなどですね。ベースカバーは状況によっていろいろありますよね。自分は遊撃手ですが、三塁ゴロが転がれば三塁のカバー、捕手ゴロならば二塁のバックアップに入ったりと、打球が転がった方向によっていろいろあります。当たり前と言われている事なのですが、結構出来ていないことがあって、素早く入らなかったり、バックアップを怠ったりしたら厳しく言われる環境でした。

――守備が上達するまで、どんな練習を積んできたのでしょうか?

京田 ノック、打撃練習での守備、室内練習でやるゴロ捕り、壁当てをずっとやってきました。その中で一番鍛えられたのはノック。たとえば午前中から昼までの3時間ぶっ通しで、全体ノックを受けます。ノックもただ正面で捕るだけではなく、右、左とギリギリで捕れそうなところを泥んこになりながら喰らいつきました。それは全て実戦を想定してのものです。

 実戦を想定して、ただ捕ってアウトにしたりするだけではなく、ミスをしてから落ち着いてアウトにすることにもこだわっていました。
 実際にやっていたのはわざと打球を前で止めて、その後、素早く一塁へ送球するという練習の繰り返しです。

 また、遊撃は飛び込んでいかないと捕れない打球もありますよね。飛び込んでからアウトにしようと焦ってフォームが乱れて、暴投してしまうこともあります。飛び込んで捕球してからもアウトに出来るように、練習ではギリギリ捕れる打球に飛びついて、すぐに起き上ってコントロール良く投げられる送球を繰り返していました。

 ただ基礎の練習をするだけではなく、ありとあらゆる場面を想定をして、練習を行っていたと思います。

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[page_break:守備を磨いたのは強打・光星学院に対抗するため]

守備を磨いたのは強打・光星学院に対抗するため

日本大学 京田 陽太選手(青森山田出身)

――やっぱり青森山田にとってライバルは光星学院(現・八戸学院光星)ですよね。光星学院にここだけは負けたくないと思って取り組んできたのはどんなことでしょうか?

京田 やっぱり守備ですね。光星学院は打撃が凄いじゃないですか。うちも、打撃にも自信を持っていましたが、まず守り切れないと勝てないので光星学院の打者を想定しての守備練習を積んできました。

 光星学院の選手の特徴は打球が非常に速いこと。スタートが遅れると、簡単に安打を許してしまう。内野手はそれに惑わされず、速い打球についていけるように、一歩目のスタートも速く切れるようにしたり、ポジショニングも後ろめに守ったりといろいろ工夫をしていきました。

――光星学院には田村 龍弘選手、北條 史也選手がいました。2人には負けたくないという思いがあったのではないでしょうか。

京田 そうですね、2人には負けたくないという思いはありました。北條には守備で負けたくないという思いがあったんですけど、北條はフットワークが軽く、肩も強くて、これは負けたなと思いましたね。

――最後の夏、青森大会3回戦で光星学院(試合記事:2012年07月17日)と対戦して、延長10回6対8で敗れましたが、この試合は8回表まで、6対5とリードしていた試合でした。この試合について教えていただけますか?

京田 自分が入学してから2年連続で夏に負けていたので、絶対勝つつもりで臨んだ試合で、7回まで良いペースで試合ができていました。練習でやってきた守備が活きていたのかなと思っていました。

 しかし同点にされた8回表、長打が出て、三塁勝負になると思っていました。自分は外野と三塁手の間の中継に入って、外野からボールを受け取って、アウトを狙おうと三塁に投げたら三塁手の頭を越える暴投になってしまって…。走者はそのままホームインして同点です。

 本当に痛恨のミスですね。ただのエラーじゃなくて、自分がしっかりと投げていれば、三塁に留まっていたと思いますし、実戦を即した守備練習をしていて、あと一歩というところまで来ていたので、本当に悔しかったですね。その後、延長10回に勝ち越されて、負けました。

 この試合では2安打を打っていたのですが、悔しさが残る試合でした。

――高校野球生活が終わって、プロ入りにも憧れたと思いますが、プロ志望届けを提出せず、大学で野球をすることを決めたきっかけを教えてください。

京田 自分自身、まだまだだと思っていましたし、大学で走攻守三拍子揃った選手になりたいという思いで、日本大学進学を決心しました。

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[page_break:良い緊張感で臨むことが安定した守備をする秘訣]

良い緊張感で臨むことが安定した守備をする秘訣

日本大学 京田 陽太選手(青森山田出身)

――東都大学野球連盟所属の日本大学へ進学。二部とはいえ、非常にレベルが高い二部リーグです。実際に飛び込んでいかがでしたか?

京田 東都二部の選手は必死さが凄いです。一部は[stadium]神宮球場[/stadium]で、二部は今年から各野球部のグラウンドになりましたので、格差を感じます。僕たちも一部に上がりたいですし、他の5大学も一部に上がりたいと思っているはずです。

 東都はリーグ戦で、勝ち点制なんですけど、レベルが拮抗しているから独占して勝ち上がることはないですよね。だから一戦も落とさず、全勝で優勝したいから負けが許されない、そんな緊張感があります。先日(5月24日)の東洋大戦も延長13回までやって、なんとかサヨナラ勝ちにすることができました。

 投手のレベルは本当に高くて、驚かされました。ストレートのキレ、変化球のキレ、コントロールの精度の高さ。その中で凄かったのは能間 隆彰東洋大-現・住友金属鹿島)さんで、1本も安打が打てなかったです。また木のバットで打たないといけないので、大変でした。実戦をこなしていくことでタイミングも合ってきたのですが、まだスイングスピード、打球の力強さが全然でしたね。

――1年春からスタメンを獲得し、春は11試合、秋は13試合出場でした。1年間戦ってきて、課題と感じたことは何でしょうか。またそれに向けてオフに取り組んだことを教えてください。

京田 打撃を課題にしていたので、スイングスピードを高めることを目標に、とにかく素振りをひたすらこなしてきました。量は数えていませんが、練習時間は2時間~3時間なので、その3時間をほぼ打撃練習に当てて取り組んてきました。この春は打率.286でした。1年春(打率.206)、1年秋(打率.225)に比べると、少しずつは良くなってきていると思いますが、まだ満足していません。

――再び守備についての質問になりますが、京田選手は1年春、11試合に出場して失策1、1年秋は13試合に出場して、失策0。今年春も11試合、失策が僅か2つです。やはり大学野球へ進んでも守備面に自信を持っているのでしょうか?

 

京田 守備により自信が持てるようになったのは、高校を卒業してからですね。今までは一歩目のスタート、ポジショニングなどを教えていただくことが多かったですが、今度は自分で考えながら良いスタートを切れるようにしたり、適切なポジショニングを取るようにしなければならない。今は試合中、バッテリーの配球を見ながら、どこへ打球が飛ぶのかを予測しながら、守備位置を決めて守るようになりました。

 また試合後に、自分の守備の成果を振り返ります。失策があれば、どんな失策だったのか。例えば暴投すれば、捕るまでは良かったけど、送球がダメだったことになります。次から同じようなミスをしないように、しっかりと捕球してから正しく送球できるように、フォームを意識して送球練習を繰り返して、試合に臨みます。その積み重ねがあったからこそ、エラーも少なく、守ることが出来たと思います。それでも自分の理想は失策0で、今年の春、2失策したのは大変悔しいですね。

 守備は自分で考えながらこなした数だけ上手くなると思っています。打撃は水物で、すぐに結果が出るわけではないけど、守備は目的を持ってしっかりと取り組めば、必ず上達します!

――安定した守備をし続けるために技術面で意識していること。またこういう気持ちだと、エラーしないと思っていることを教えてください。

 

京田 良い緊張感で臨むことです。どうしたら良い緊張感で臨めるかというと、過去の試合を振り返って、この場面でこういうミスがあったので、次はしっかりと守備をするにはどうすればいいかをシミュレーションしながら、試合に臨む。そういう時はあまりエラーはしません。エラーするときは試合前に準備ができていなかったり、気持ちが浮わついた状態で入っているのが分かりますね。

――最後の夏へ向けて取り組む高校球児にメッセージをお願いいたします。

 

京田 やっぱり練習量を意識してほしいと思っています。打撃では振って、振って、守備では捕って、捕っての繰り返しですね。

 高校時代は昼から練習が出来たので、19~20時過ぎまで練習をして、そこから食事を摂った後、また個人で22時~23時まで夜間練習をやって、そして朝練もやってと、本当にきつかったですけど、ここぞというときに自信が持てます。自分は最終学年になりだんだん上手くなっていくのを感じて、練習は裏切らないんだなと感じました。ただ、量といっても闇雲にやるだけでは意味がありません。どういう意味があって、その練習をするのか。必ず目的をもって練習を積み重ねてほしいですね。

 京田選手、ありがとうございました! 高校時代のお話、そして守備に対する取り組みは非常に参考になりました! 春は惜しくも2位に終わり、優勝を逃しましたが、秋では2012年春以来の一部昇格を目指し、ご活躍を期待しています!

 

(インタビュー・河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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