Interview

横浜商科大学 進藤 拓也投手(西仙北高出身)

2014.05.15

 中学時代は控え投手だった進藤 拓也投手。試合で投げたいという思いで、西仙北高に入学し、中学とは桁違いの練習を味わうことになります。真剣に取り組んだからこそ味わった厳しさ、高校野球の面白さを語っていただきました。

「試合で投げたい」から「本気で甲子園を目指したい」に変わった高校時代

横浜商科大学 進藤 拓也選手(西仙北高出身)

――進藤 拓也投手は中学時代(協和中)は軟式でプレーされていましたね。

進藤 拓也選手(以下「進藤」) 中学は1回戦負けで終わるようなチームで、自分はそのチームの控え投手で、試合にも出ていなかった選手でした。それでも高校で続けたいという気持ちはありました。

――軟式から硬式に移行して、順応するために工夫したこと。ようやく硬式に慣れてきた時期はいつになりますか?

進藤 中学の時に試合で投げられなかったので、高校では試合で投げられる投手になりたいと思っていました。引退してからも、硬式球に触ってキャッチボール、投げ込みなど、高校で続ける仲間と一緒に入学までずっと練習をしてきて、高校入学前にはだいぶ慣れてきました。

――甲子園を目指す中で、当時の監督から求められるレベルは、中学校の時と比べて大きく変わりましたか?

進藤 自分が1年の時の監督が秋田経法大附(現・明桜)で甲子園に導いている鈴木 寿先生でした。鈴木先生は自分が2年になるまで監督をやっていましたが、本当に厳しい方でした。

――甲子園に出場された鈴木先生が監督ということは、中学とは練習量は大きく変わりましたか?

進藤 中学との練習量とは桁違いでしたね。鈴木先生は『とにかく走れ』という考えの人で、ランニング、ダッシュ、投球練習などを延々とやってきた記憶があります。
 練習はきつかったですが、自分は試合で投げたかったので、歯を食いしばって取り組んできました。また、鈴木先生から甲子園に出場した時の話などをいろいろ教えてもらいました。まだ1年生の時はついていくだけで精一杯でしたが、2年生、3年生になって鈴木先生から教えてもらったことを少しずつ出来るようになってきて、試合で勝てるようになってきた時、『試合で投げたい気持ち』から『甲子園に行きたい』という気持ちにだんだん変わっていました。

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[page_break:本気で取り組んだからこそ感じた甲子園に行く厳しさ]

本気で取り組んだからこそ感じた甲子園に行く厳しさ

横浜商科大学 進藤 拓也選手(西仙北高出身)

――入学時に鈴木先生に指導された内容は覚えていますか?

進藤 入学当時、自分は110キロの真っ直ぐしかなかったので、鈴木先生からスライダーを習得しなさいと言われ、練習を重ねながらスライダーを投げられるようにしました。スライダーは今でも自信を持っている武器ですね。

――そこから最速142キロを投げる投手へ成長していった過程を伺いたいのですが、まず日頃トレーニングで欠かさず行ってきたこと、スキルアップのために、フォーム面で工夫したこと、投球面で取り組んだことを教えてください。

進藤 踏み込んだ左足が一塁側へ開いたり、インステップする癖がありました。それがコントロールを乱す原因となっていたので、真っ直ぐ踏み出す意識で投げるようにしていき、そこからコントロールが安定してきました。

――2年春にベンチ入りし、秋からエースとなりました。入学してから、どんな成長曲線を描いてきたのでしょうか?

進藤 入学してから、球速は20キロほどレベルアップしていて、秋は138キロを出すことができました。冬では140キロを出すつもりで取り組んで、グラウンドに雪が積もっていても、自分に負けずに雪の中でも走り込みをしてきました。常に足腰を鍛える練習をしてきたので、春に140キロを出すことができるようになりました。

――そして3年夏は大会タイとなる40イニング連続無失点で、創部初の秋田大会ベスト4も経験しました。この時、進藤投手の技術、メンタルの強さもピークに達したのでしょうか。

進藤 あの時は意識せずに投げていて、気付いたら20イニング無失点になっていました。チームメイトのみんなは僕よりも無失点記録を意識していたようですが、自分は点を取られなければ勝てると思っていたので、1イニングずつ無失点に抑えようと思って投げていたら、40回連続無失点を達成できました。
 ただ準決勝の能代商戦(2対3 サヨナラ負け)はもう少し我慢して投げることが出来ていれば、勝てる試合だったのではないかと今でも思っていますね。

――甲子園を目指す高校野球生活の中で、一番大変だと感じたことは何でしょうか?

進藤 県大会でも勝ち始めるようになって、自分自身、球速も速くなって結構抑えられる自信が付いてきました。最後は、ベスト4までしか行けなかったんですけど、もっと本気になって甲子園を目指せば行けたじゃないかなと。真剣になるほど甲子園に行く難しさを感じました。

――3年夏を終えて、改めて感じた高校野球の魅力は何でしょうか?

進藤 甲子園という目標が、自分自身を大きく成長させてくれたと思っています。本気で取り組んで、甲子園を目指せる実感が沸いてから、高校野球の面白さ、甲子園に行く厳しさを実感したと思います。

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[page_break:故障して自分を見つめ直した時間があるから今の自分がある]

故障して自分を見つめ直した時間があるから今の自分がある

横浜商科大学 進藤 拓也選手(西仙北高出身)

――秋田の西仙北高から神奈川大学リーグの名門・横浜商科大に進学しましたが、横浜商科大には、全国各地から良い選手が集まりますよね。その選手たちに勝つために取り組んだことは何ですか?

進藤 横浜商科大に決めてから、ここで頑張ろうということで、高校3年の2月から練習に参加して、がむしゃらにやってきたんですけど、焦りすぎて肩を壊してしまったんです。半年は投球が出来ませんでした。

 この期間は走り込んだり、チームで加圧トレーニングに取り組んだり、フォームも見直して故障しにくいフォームに修正をしてきました。故障明けからだいぶストレートも速くなりましたし、怪我があったからこそ今の自分があると思います。

――そういった怪我も経験されて、身に付ける用具には、よりこだわるようになったと思われます。例えば、投手は腕を振りやすくするためにも、アンダーシャツなどは、なるべく着やすいものを着用すると思いますが、進藤投手も何か工夫していることはありますか?

進藤 自分は腕が振りやすくなるために、ピチピチのアンダーシャツを七分ほどの長さにしたものを常に着用しています。今のアンダーシャツにしてからは、だいぶ投げやすいですね。
 また、その日の気候によって着用するものは変えています。暑い時に緩いものにしてしまうと汗で嫌な感触になるので、暑い日はピチピチのものにして、それほどでもないときは少しだけゆるみを持たせて、七分ほどの長さにしたアンダーシャツを着用しています。

――大学に入ると、多くの方の出会いがあったと思います。その中で、一番タメになった教えは何ですか?

 

進藤 やはり1歳上の岩貞 祐太(現・阪神)さんで、岩貞さんはJAPANに入っていたので、代表投手が取り組んでいたトレーニング、考え方を持ち帰ってくれて、それを自分にも生かすことができましたし、また岩貞さんからも変化球の握りについていろいろ教えていただきました。僕はスライダーが武器なんですけど、スライダーの曲げ方、握り方などを学び、だいぶ精度が上がりました。

横浜商科大学 進藤 拓也選手(西仙北高出身)

――最終学年のシーズン。チームとして、個人としてどんな目標で取り組んでいますか?

進藤 日本一を掲げているんですけど、自分が結果を残さないと勝てないので、やれることをしっかりやらないといけないと思っています。
 今は、気持ちばかりが先にいっていて、体のバランスが合っていない感じがします。それでは結果も残せないと思いますし、今日も投げたんですが、まだシュート回転しているところがあったので、打たれていると思います。
 自分で整理をして、修正できることはしっかりと修正をしていかないと思っています。

――最後に高校球児へのメッセージとして、高校野球で自分の目標を叶えるために、これは準備した方が良いというものを教えてください。

進藤 入学前から目標を明確にすることが大切で、それに向けて努力をしてほしいですね。自分の場合、試合に投げたい気持ちで硬球を握ってきましたし、猛練習にもついていくことができました。自分が上手くなってきたと感じたから、自分を追い込んで取り組むことができました。
 目標を持つことでいろいろな人の出会いも無駄にすることなくできますし、ぜひ目標をしっかりと持って取り組んでほしいと思います。

 進藤投手、ありがとうございました。進藤投手の野球に対する考えや高校時代の取り組みなど、とても参考になるお話でした。最終学年のシーズン、進藤投手、チームともに最高の結果を残すことを期待しています!

 

(インタビュー・河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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