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第174回 信濃グランセローズ 大塚 晶文監督2014年02月27日

【目次】
[1]呼吸は自分の状態を把握して使い分ける
[2]自分で世界を作ってしまおう
[3]集中するには一点を見つめる!
「球が消える」。そう評されたスライダーと、最速96マイル(約154km/h)の速球、さらにフォークボール、チェンジアップを操り、クローザーとして世界を制した男がいる。
今季から独立リーグ・BCリーグの信濃グランセローズで選手兼任監督として指揮をとることになった、大塚 晶文だ。
横芝敬愛高校から東海大、日本通運を経て1997年に近鉄バファローズに入団。クローザーとして活躍しチームを優勝に導いた後、2003年から中日ドラゴンズへ。2004年~2005年はサンディエゴ・パドレスでセットアッパーとして地区優勝に貢献。2006年にはWBC第1回大会に日本代表のクローザーとして参加。絶体絶命のピンチを切り抜け日本に世界一の栄冠をもたらし、WBC初の胴上げ投手となった。その年から2007年まで所属したテキサス・レンジャーズでは、佐々木 主浩以来日本人メジャーリーガー2人目となる30セーブを達成…。ざっと経歴を並べるだけで、その凄さがわかる。
そんな大投手の集中力とはどんなものなのだろうか。全球児、必見。世界を制する集中力講座が始まる。
呼吸は自分の状態を把握して使い分ける
――大塚監督の集中の仕方を教えてください。リリーフとして勝敗のかかる場面で多く登板されていましたが、どのように集中力を高めていったのでしょうか。
大塚 晶文監督(以下「大塚」) まず僕がやっていたのは、呼吸です。腹式呼吸で、鼻から吸って、おなかを膨らませて、口から細く長く吐く。緊張して、あがっている状態っていうのは、吸ってばっかりなんです。呼吸が止まっちゃっていたりする。それを、ゆっくり吐いていく。それを4,5回ですね。
――吐くことが大事なんですね。
大塚 吐くことで副交感神経(※体を落ち着かせている時に強く働く神経)が働くんです。吸うとその逆、交感神経(※体を活発に活動させる時に働く神経)が働く。だから、今の自分の状態というのを把握しないといけないですね。あがっている状態なのか、気持ちが下がっている状態なのか。気持ちが下がっていたら、逆に細かく鼻からスッスッスッスと吸って、気持ちを高めていったり、と。
それで、腹式呼吸では吸うときに、空とか宇宙から、プラスの気が入ってくる、というのを意識するんです。プラスプラスって書いてあるような気が入ってるイメージ。で、そのプラスの気がぐーっと自分の体の中のマイナスの気を押し込んで、頭の後ろ、背中、足の後ろ、そして前に戻ってきて、痛いところだとかマイナスのイメージ等の全部が口から、うわーっと押し出される感覚です。
その状態にするとまず落ち着くんです。でもそれだけではダメ。僕はそのあと、イメージするんです。目をつぶって、バッターを。そしてそこでするのを僕は「逆腹式呼吸」って呼んでます。腹式呼吸って、吸ったときにお腹が膨らむんです。でも逆腹式呼吸で僕は、吐くときにお腹をぐっと出す。そうやって横隔膜(※胸とお腹の境目にあり、呼吸に大きな役割を果たす。通常の腹式呼吸では吸った時に横隔膜が下がり、お腹が膨らむ)を刺激するんですね。この横隔膜の使い方というのが、投げる時にも使われているんです。投げる時に、ふっ!って力が入りますよね。あの時の動きなんです。イメージの中でも、横隔膜を使うんです。イメージで投げている時に、ふっ!と。そうすると、(リリースで)切った時のイメージと一緒なんです。

- 大塚 晶文 (おおつか・あきのり)
- 信濃グランセローズ
- 経歴:横芝敬愛高、東海大、日本通運、大阪近鉄バファローズ、中日ドラゴンズ、サンディエゴ・パドレス、テキサス・レンジャーズ、信濃グランセローズ
- ポジション:投手
- タイプ:右投右打
- 身長体重:182センチ/92キロ
- 出身地:千葉県
- 生年月日:1972年1月13日
- 日本代表:2006年WBC
- タイトル:最優秀救援投手(1998年)
- 上記データは掲載時のものとなります。