Interview

読売ジャイアンツ 菅野 智之 投手

2014.02.19

 東京読売巨人軍の背番号19、菅野智之投手。
 ルーキーとして挑んだ2013年は13勝6敗をあげ、チームのエース・内海哲也投手と並び、チームの勝ち頭となって、セ・リーグ優勝に貢献。
 また、日本シリーズ第6戦、今年からメジャーリーガーとなる田中将大投手と投げ合い勝利。田中投手にこの年の公式戦唯一の黒星を付けた。
 勝利数はもちろん、連敗をしない、苦手チームを作らないピッチングで、新人特別賞を獲得。春季キャンプでは自らテーマを掲げ、速球、変化球、コントロールを一つ一つ磨いて実戦モードに仕上げきた菅野。今回は、その菅野投手から同じ相手にニ度負けない秘訣と、勝てる投手になるためのポイントを語って頂いた。

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好調なピッチングが出来た理由とは?

――昨年13勝を上げ、チームの勝ち頭として活躍されました。これは自分でイメージできていましたか?

菅野 智之投手(以下「菅野」) 正直そこまで勝てると思ってなかったです。ただ、やってみてもうちょっと勝てたかなと思うことはあります。ちょっと矛盾しちゃうかもしれないんですけど。
 前半で8勝か9勝したんですね。でも、後半その半分くらいしか勝てなかった。だいぶ夏場に失速してしまったんで、たらればの話ですが、それがなかったらもうちょっと勝てていたんじゃないかという思いはあります。

――13勝できたところでの収穫はありましたか?

菅野 勝ちの数も良かったとは思うんですが、実はあまり目を向けられていない部分があって。
 昨シーズン、一回も連敗しなかったんですね。6敗したんですけど、一度も連敗したことがなかったっていうところが、自分的には良かったかなと思います。

――連敗もありませんでしたが、同じ対戦相手に負けるということもありませんでした。なぜ同じ相手に負けなかったのでしょう?

菅野 やっぱり一番大事なのは負けたくないという気持ちですね。とくに日本シリーズなんかは追い込まれた状況でしたから、誰もが勝ちたいと思ってやると思います。
 特に高校球児は、甲子園に行くんだって強く思っているはず。何よりもそうやって思って、勝ちを目指すこと、そういう気持ちを持つことが大切だと思います。

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[page_break四球を少なくするための意識とは?]

四球を少なくするための意識とは?

読売ジャイアンツ 菅野 智之投手

――フォアボールの少なさも目立ちました。ポイントはどういったところでしょうか。

菅野 それも“意識”ですね。フォアボールは試合の中で一番流れが悪くなる。
 中でも先頭バッターのフォアボールが一番いけないと思うんです。先頭バッターをフォアボールで出してしまうと、そのランナーがホームに帰る確率というのはものすごく高いんです。(ランナーが出るというのは)ヒットと同じですからね。
 それプラス、流れも悪くなるという思いが僕は強いので、ピッチャーとしてフォアボールを出さないというのは最低限の役割だと考えています。だから高校生のうちからそういう意識を持ってやってほしいと思いますね。

――こういう意識を持って練習していれば、試合でも出さないよというのはありますか?

菅野 キャッチボールの時から意識してやってほしいですね。

ただ相手に投げるだけじゃなくてキャッチボールの基本は相手の胸に投げることですから。毎日の積み重ねがマウンドに上がった時に生きてくると思います。しっかりキャッチボールの時から相手の胸をめがけて投げる、と。基本ですからね。そういうところを忘れずにやってほしいなと僕は思います。

――菅野投手は、用具へのこだわりというのはありますか?

菅野 僕が用具でこだわっているのは、スパイクとかランニングシューズです。何よりも足って、一番大事なところです。高校生はとくに練習量がすごく多いですから、本当に靴にはこだわりを持ってほしいなと思います。僕がとくに愛着があるのはミズノのスパイクです。小学校の時から履いてましたから。やっぱり自分に合っているのかなと思います。

――スパイクを選ぶ時に大事にされているのはどんなところですか?

菅野 僕は軽さですね。ピッチャーってベースカバーに行ったりとかで、結構走りますからね。
 あと、高校生の頃は、あんまりちょこちょこ買っていられないので耐久性を大事にしていました。昔は底がプラスチックのものはあまりなかったんですよね。今はもうほとんどプラスチックというか樹脂底ですけど、僕らは革底が主流の時でした。革底のスパイクって傷みやすいというか、軽い半面ちょっとしたことで破れたりしちゃうんです。だから今の高校球児とか、すごくうらやましいです。高校生は毎日おそらく相当しんどい練習をしていると思うんで、耐久性は大事です。

――ギア選びのポイントはありますか?

菅野 僕は生地ですね。選手によっては冬場とか夏場とかで変えたりする選手も多いんですけど、僕はオールシーズン全く一緒のギアを着ます。とくに大きな理由はないんですけど、ゲン担ぎみたいな感じです。あんまりころころ変えたくないっていうものもあって。
 あと、七分袖を着ていることが多いですね。キャンプの時も普通に七分で投げていますし。それとこだわりは丸首。タートルではなく。高校生で、がっつりタートルネックの子たちが結構いるんですけど、最近は丸首も浸透してきましたよね。高校生で丸首っていうのはかっこいいなぁって思いますね。

――菅野投手も野球選手である以上、スタイルは大事にされていますか?

菅野 みんなそうだと思いますよ。新しいギアを着てグラウンドに出たらすごくその日やる気になると思いますし、新しいスパイクでグラウンドに出たら、今日はやるぞっていう気になると思います。プレー以外にもそういうところにこだわりをもってやってほしいなと思います。

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[page_breakピッチング以外で磨いた技術]

ピッチング以外で磨いた技術

読売ジャイアンツ 菅野 智之投手

――少し話しが変わりますが、プロ入り前の1年間、プロで投げるためにどんな準備をしていたのでしょうか。

菅野 アマチュアとプロの違いって、まずは日程だと思うんですよね。高校野球も春夏秋ってあると思いますが、ずっと通して試合をするっていうのはないと思うんですよ。リーグ制でもないですし、全部トーナメント勝負ですから。だからまずは年間を通して戦える体を作るっていうのが一番僕は大切だと思いました。

――では体作りがメインでしたか?

菅野 そうですね。基礎体力というか、もう一度そういうところを見つめ直していきました。
 あと、もう一つ取り組んだのが、バントです。僕はセ・リーグに所属していますから、バントが出来ない選手とバントが出来る選手だったら、おそらく、現役20年やったとして、勝利数が50くらい違うと思うんですよね。

 なんでかって言うと、同点で試合も終盤にかかって、ノーアウト一塁で打席が回ってくる。でもそこで、良いピッチングをしていても、どうしても1点が欲しいから、バントが出来ない選手だと代打を送られちゃうと思うんですよ。バントが出来る投手だったらしっかりバントを決めて、その間に点が入って逆転して、勝ち星を拾ったっていうケースも多分あると思うんですよね。だから、そういうところで損をしないようにと。

 バントとバッティングは、自分のためでもありますし、チームのためになると思うんです。昨シーズンはそんなに打てなかったんですけど、バントはチームで一番決めましたし、セーフティスクイズも何個か決めたりして、やっておいてよかったなあと思うことが多々ありました。だから投げる以外のところをしっかり意識を持って高校生のうちからやってもらいたいなと思います。

――では、投手は具体的にどのような練習をしたらいいでしょうか。高校球児にアドバイスをお願いします。

菅野 ピッチャーの練習って限られてしまうと思うんですよね。ずっと投げていられないですし、ずっと走ってもいられないので。野手の方は、バット振ってろって言われたら、多分ほぼ永遠に振ることはできると思うんですよ。
 それに対してピッチャーって、できる練習が限られているので、まずは投げる以外のところ。バントであったり、フィールディングであったり、牽制であったりとか、そういうところを鍛えてほしいです。プロに入って改めて、必要性を感じたところなので。良いピッチャーで、フィールディングが悪い、牽制が下手、クイックが遅い、って見たことないですからね。活躍しているピッチャーは投げる以外のところが素晴らしいと僕は考えています。

 ピッチング以外の大切さにも目を向けて、コツコツと練習をしていく。そういった積み重ねが、勝ち星に繋がったんですね。
 菅野投手、参考になるお話をありがとうございました。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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