Interview

横浜DeNAベイスターズ 荒波 翔選手

2014.02.04

 2013年のシーズン、外野手としてリーグ最多となる16補殺を記録し、2年連続のゴールデングラブ賞を獲得した横浜DeNAベイスターズの荒波 翔選手。盗塁数19はリーグ3位。広い守備範囲とスピード感あふれる走塁でファンを魅了し続けています。荒波選手が目指す「スピードで魅せる」野球とは?理想のプレーを目指し、気を付けているポイントから厳しいトレーニングの乗り越え方まで、じっくりお話を伺いました。

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自分の身体のバランスを知る

――まず、2013年のシーズンを振り返って、どんなシーズンでしたか?

横浜DeNAベイスターズ 荒波 翔選手

荒波 翔選手(以下「荒波」) 怪我もあったのですごく悔しいシーズンでもあったんですけど、規定打席に立てたし、一番はゴールデングラブ賞を連続して獲れたっていうのがうれしいですね。
 2012年に頂いた時に、こういう賞は続けて獲りたいと自分の中で思って練習してきたので。評価していただいて選んでいただいた方には感謝したいですし、ケガした時に支えてくれた人もたくさんいました。そういう人たちに支えられて賞を頂けたということが自分の中ではとても嬉しかったです。
今でも、自信と向上心の源になっています。

――スピード感溢れる守備は印象的でした。外野手として、スピードを磨くためにどんなトレーニングをしていますか?

荒波 バッティング練習の時に守備についたりします。ノックよりも実践の打球を追うようにしていますね。自分で浅めに守って後ろの打球を追う練習をしたり。
 スピードの前に、僕の場合は『イメージをすること』と『準備』というのを大事にしています。スピードの無い選手や足の遅い外野手でも、守備位置の良い選手ってそこで補(おぎな)えると思うんです。スピードがあってそういうのもあるとさらに守備範囲が広がりますよね。
 ただ走って取るだけじゃなく、バットにボールが当たる前にイメージすることを練習の中で取り入れています。

――走塁にしても、スピードを出すために意識している点はありますか?

荒波 打者としての足の速さで言えば、ベースの周り方によってホームまでの時間を短くできます。
 足自体の速さを今から鍛えるのは難しいかもしれませんけど、一塁ベースであればその先まで駆け抜けるような気持ちで走るとか、盗塁であればスライディングの技を磨くとか、色々鍛え方がある。根本じゃなくて、技術で速くなれることはいっぱいあるんです。今は細かい回り方であったり、足の使い方に気を付けています。

――走るトレーニングという部分で行くと、今こんなトレーニングをしている、というものはありますか?

荒波 いま気にしているのは、自分の身体のバランスです。自分の力が100あるとしたらそれをまだ使いきれていないので、使えるようにするために、力の出し方と、自分が今どこを使っているかという、体のバランスや使い方のことを意識することを大切にしています。体を上手く使えればまだまだスピードは上がると思いますし、ケガもしなくなると思います。ケガをしないという意味でも自分の身体を知るというのは大事だと思います。

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[page_break荒波選手が極めてきたスピード]

荒波選手が極めてきたスピード

横浜DeNAベイスターズ 荒波 翔選手

――打つ方では、荒波選手は二塁打もですが、とくに三塁打の印象があるんですけど、打力とスピード両方魅せられるプレーへのこだわりってあるのでしょうか?

荒波 ヒットを打った時に、「可能なら二塁を狙おう!」とはいつも思っています。先の塁に行けばその分、得点に近付けますから。例えば自分が先頭打者で三塁打を打ったらノーアウト三塁になって1点入るすごいチャンスですし。
だから、スキあらば一つでも先の塁を狙います。その中でも三塁打っていうのは打力もスピードもあって…という選手しか打てない魅せるプレーの一つなので、常に意識しています。
 普通だったら『行けないだろうなぁ』というところを覆していけたらいいなというのがあるので、三塁打を増やしていけたらいいなと思います。
 やっぱり、ホームランは高く評価されますし、僕も一野球人として打ったらすごく感動します。
 でも、最近はスピードというものの価値が高まってきていると僕は思っています。ホームランに負けないくらい、スピード感ある守備や走塁が、イチローさんはじめ先輩方の活躍で目立つようになってきたので、応援してくれている方たちに、ホームランと同じくらいスピードで魅せられたら全く違う楽しい野球が見せられるかなと思います。僕は選手としてそっちのスタイルの方が近いので、これからも極めて行けたらなと思っています。

――ではそのスピードを極めていく中で、スパイクへのこだわりや、こんな機能があったらいいなというのはありますか?

荒波 極端なこと言うと、裸足で走れたらいいなって思います(笑)。軽さもそうですけど、自分の素の状態でやる方が、履いている感があるより、自分の感覚があっていいと思います。昨シーズンも、ナイキのVAPORを履いてプレーをしてきましたけれど、やっぱり軽さっていうのが僕は良かったと思います。長いシーズンで毎日スパイクは履きますしね。
 僕の中でスピードっていうのは自分の持ち味なので、軽さは重要です。疲れ方も違ってきますし、塁に出たときに走れそうな気がするので、気持ちの面でも助かっていますね。

――気持ちの面というお話が出たのですが、トレーニングでやる気が起きない時は、どうやってモチベーションを上げていますか?

荒波 トレーニングは地道だし、高校生だと特にきつい練習が多いので…。
 僕らも去年秋の奄美キャンプで朝10時から夜7時まで走って打って、と高校生のように練習したんです。なぜ頑張れたかというと、来年自分がこうなりたいとか、目標をもっているからなんです。そこで諦めたらその目標を達成できないなと思うのでやるんです。
 しっかりと自分を見つめ直すじゃないけど、『自分はこうなりたい』とか、『甲子園行きたい』と目標を定めて、じゃあそのためにはどうするべきかとか、具体的に考えてほしいですね。
 そうすると甲子園に行くためにこれを頑張らなきゃいけないとか、勝つために頑張ろうとなる。それが無いと、妥協をしてしまったりします。人間は楽な方に逃げてしまうものなので、いつも自分の目標を意識して頑張るようにしています。

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[page_break追い込むトレーニングこそ、自分の支えとなる]

追い込むトレーニングこそ、自分の支えとなる

横浜DeNAベイスターズ 荒波 翔選手

――なるほど。目標を定めて逃げないようにするんですね。その苦しい中で、追い込むトレーニングは、やはり重要だなと感じましたか?

荒波 そうですね。やっぱりキツイ試合の中でも自信がわいてくるようにするには練習しかないですね。「こんなに練習してきたんだから」って。走ることだけじゃなくて、バットを振ることだったり投げ込むことだったりしても、です。
 高校野球はメンタルが一番大事だと思っています。バッターだったら、絶対に打てると思って打席に立たないと、打てるものも打てないようになるので、自分の支えとして練習っていうのはした方が試合で強いかなと思います。
 僕も高校時代、キツイ練習があるときは胃が痛くなったり、何回か逃げ出そうって思ったこともあるんですけど、今思うと乗り越えてきて良かったなと思います。限界は超えられるっていうか。そういうきつい練習を耐えてこそ今の自分もあるし、見えてくるものもある。逃げだすのもサボるのも簡単だし、ケガをしたら意味がない。でも、やれるだけのことはしっかりやっておくと後悔もしないと思うので、目の前の事に一生懸命取り組んでもらえたらいいかな、と思います。

――そうやって今の荒波選手も形作られたんですね。

荒波 そうですね。でも自分は夢中でやってきただけなので。僕もそうだったんですけど、プロ野球選手は野球をやっている子どもからしたら憧れだと思うので、プレーにしろ恰好にしろ、真似したくなると思うんですよ。そういう子のひとりにでも自分が憧れられる存在になれたらいいなっていうのはあります。これからも少しでもプロを目指す選手や野球をやっていく選手たちの中で、夢、までは言えないかもしれないけど、ワクワクしてもらえたらいいな、という思いがあるので、頑張っていきたいと思います。

――では、2013年の自分を今年はどう超えていきたいですか?

荒波 チームもそうですけど、個人的にすべての面で自己最高、全部の数字を上回ることを目標として、来年こそ全試合フルで出ることが大事だと思っています。全部出られるということは結果も付いてきているということなので、中心選手でいられたらいいなと思っています。

 野球のプレーにおける“スピードを極める”ことこそ、荒波選手の魅力が引き出されていきます。今シーズンのスピード感あふれるプレーも楽しみにしています。
 荒波選手、貴重なお話ありがとうございました。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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