沖縄を皮切りに、2025年も高校野球の季節がやってきた。8月5日に開幕予定の夏の甲子園を目指して、全国各地の球児たちがここまでの野球人生のすべてをぶつける。この夏の主役になろうとしている選手たちの「今」を各チームの指揮官に迫った。
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この春のセンバツ出場など、もはや全国区の強豪である聖光学院。その聖光学院のライバルと位置付けられ、福島の高校野球をけん引する学校といえば、日大東北が思い浮かぶだろう。
2021年には夏の福島大会を優勝。通算8度の甲子園出場を果たしている強豪校だが、この夏はノーシードで大会を戦うことが決まっている。厳しい戦いが待ち受けることが予想される中で、指揮官である吉田翔監督の胸の内は覚悟が決まっていた。
△円陣を組む日大東北ナイン (写真=チーム提供)
腹をくくってプレーする自信をつけて夏に向かう
Q.春季大会でのチームの成果について教えてください。
6月上旬に行われた支部大会では3年生全員を試合に使いながら優勝することが出来ました。しかも全試合コールド勝ち出来たことはチームとして大きかったですし、この時期になれば自分たちの野球、今年はロースコアの機動力を含めて繋いで得点を重ねる野球なので、それが確認できたのは良かったと思います。
また選手それぞれで見れば、春季県大会ではチャンスの場面で振りに行けない。攻めきれない部分があり、「君たちの気持ち次第だぞ」と大会後にはミーティングをしました。支部大会でも「凡打でもいいから積極的にいこうぜ」と声掛けをしたところ、夏の大会でベンチ入りを狙う選手たちがしっかり実践してくれました。そうした勝負心を見せてくれたこと。そして主力に刺激を与えてくれたことも大きかったと感じています。
Q.夏へ向けて、チームが取り組んでいることは?
支部大会で思い切りのよい野手が出てきましたが、投手陣も新戦力が2、3人出てきてくれました。思い描くロースコアで戦えるような投手陣、そして守備力は仕上がって来ています。ですので、あとは本当に気持ちの面だけだと思っています。
うちは一生懸命努力をしてくれる真面目な選手たちばかりです。なので、あとは夏の大会で自信をもってプレーをさせられる指導をしてあげること。そして腹をくくってプレー出来るかだと思います。最後の強化合宿で追い込む予定ですが、そこで本物の自信を掴めるようにしたいです。
△左から谷本高大、井上幸正、安齊悠太(写真=チーム提供)
Q.夏の大会でのキープレーヤーを教えてください。
支部大会で目立った井上幸正は、夏の大会では面白いかなと思っています。元々、学校の成績は3位になるくらい賢いですし、努力家なのですが、支部大会の準決勝、決勝戦では1番打者に座ると、ほぼ出塁してくれました。長打も出しましたので、「切り込み隊長になってくれるのではないか」と楽しみにしています。
投手陣だと3年生の五十嵐泰心、そして1年生の長谷川遼は夏の大会でも戦力になってくれたらと考えています。特に長谷川は制球力が高くて崩れないのが特徴で、支部大会の準決勝では6回1失点にまとめました。ランナーを出してもホームを踏ませない粘り強さに「夏も行けるかな」と感じましたので、期待をしています。
Q.最後に夏の大会に向けての思いを教えてください。
4年ぶりに甲子園を掴むには学法石川、そして絶対王者である聖光学院をしっかり倒して甲子園に行きたいと強く思っています。
4年前に甲子園出場を果たした時は、聖光学院はベスト8で光南に負けてしまったなかで、うちが甲子園を掴みましたが、私が甲子園に出場した時以来、およそ20年近くは夏の大会で対戦した時に白星を挙げられていません。学法石川は実力だけではなく、個人的に中学生の時にユニフォームに憧れて進学を考えていた思い入れがある学校です。
また両校には同級生が指導者として頑張っているので、切磋琢磨するライバルであると同時に絶対に負けたくない。そんな特別な思いがあります。
ここ最近は思い描いたような結果を残せず、この夏もノーシードから優勝を目指します。ただ毎年勝負する中で年々経験を積んで、戦略などはバージョンアップしていると思っています。選手たちはそういった面だけではなく、私の考えや思いまで理解してくれていると感じています。ですので、この夏は余力を残さずに全部をぶつけて4年ぶりの優勝。そして、その後の大会にもつなげていくことが出来ればと思います。
△校歌を歌う日大東北ナイン (写真=チーム提供)
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