<春季茨城県大会:水城9―2下妻ニ(7回コールドゲーム)>◇29日◇準々決勝戦◇J:comスタジアム土浦球場

 先週開幕した春季茨城県大会も、ベスト8対決となった。

 水城は先の3回戦で、霞ケ浦との強豪対決を制した明秀日立に延長タイブレークでサヨナラ勝ちしての8強進出。勢いに乗っている。学校としては、2010年夏と翌春に甲子園出場の実績もある。

 対するのは、かつて2004年夏と2009年春に甲子園出場実績のある下妻二。粘り強い戦いをする公立校として定評がある。今年のチームは、部員38人だが、3年生は8人、2年生が22人、新入生は8人という構成だ。2年生部員だけが3倍近くいるという状況なのだが、同級生で競い合って、この試合もスターティングメンバーに2年生が8人ということになった。こうした中で今大会は、土浦湖北茨城キリストに勝ってのベスト8となった。

 序盤は、水城が2回に一死二、三塁から相手の暴投で先制。下妻二も無死一、二塁を併殺でチャンスを潰しかかったが、5番・小島 大輝選手(2年)の左前打で同点とする。競りあいの展開が続いていくと思われたが、4回に水城が打者10人の猛攻で5点を奪い試合の主導権を奪った。

 下妻二としては、二つの死球に失策も絡んでしまったことも痛かった。水城は、ベンチも元気がよく、3回戦の明秀日立戦でのタイブレークのサヨナラ勝ちの勢いを感じさせた。大川 健次監督も、「チームの勢いもあるのでしょうね。4回はタイムリーも出ましたけれども相手のミスもあり、ラッキーなところもあってビッグイニングになりました。そうしたところが勢いに乗れています。新チームになって、ある程度は打ち勝てるチームにはなってきたのかなとも感じていましたが、選手たちもその気になってきていると思います」と、頼もしく見ていた。

 3番の八木岡 暉琉選手(3年)は、4打数3安打で長打も2本、全打席で出塁したが、実は昨秋の大会後に左打ちに転向したという。「右打ちだと、どうしてもコネてしまう癖がありました。左で打ってみたらどうだと言ったら、『はい、やります』ということだったので、そこから冬の間はしっかりと振り込んでいっていたので、その成果も出たのではないでしょうか」と大川監督は言う。八木岡選手は明秀日立戦でも、同点打を放っている。

 また、昨秋は、1試合で3失策を記録してしまうということもあったが、冬の間には時間があれば壁当てなどで捕球姿勢を確認しながら、身体に馴染ませていくという地味な練習もしてきた。そんな努力もあって、この日は好プレーもいくつかあった。167cm66kgと小柄なタイプなのだが、グラウンドでプレーしている姿を見ると、それよりは大きく見える。それは、それだけ自信を持ってプレーできているからだということであろう。

 久保田 蒼空投手(3年)は、スライダーの制球がよく、低めにコントロールして上手に打たせていっていた。また、投球のコンビネーションも桜井 太壱捕手(3年)の好リードもあって巧みだった。

 一方の下妻ニの内田 直道監督は、「2年生ばかりのチームですからね。力負けです」と、言いつつも、試合経験を積んでいくことで自信を得ていけば、この先の夏、さらには秋以降の新チームへの期待も膨らんでいくというところだろう。