<春季茨城県大会:境9―2水戸啓明(延長10回タイブレーク)>◇29日◇準々決勝戦◇J:comスタジアム土浦球場
昨秋はつくば秀英が初優勝するなど、このところは上位が大会ごとにかなり入れ替わっている茨城県。今春も霞ケ浦、明秀日立、鹿島学園に加えてつくば秀英も3回戦で姿を消していくなど、ベスト8の顔触れを見ても混戦状況となっている。
そんな茨城県大会で、かつては水戸短大付という校名で1996年夏と2002年春に甲子園出場を果たすなど、上位校として躍進していた水戸啓明。元中日の春田 剛監督が就任して、ここまで勝ち上がってきた。
境と水戸啓明は、実は昨年秋の県大会の初戦で対戦している。その時は、境が8対1の8回コールドゲームで勝利している。このカードは、その再戦になった。
境は1928年に創立した旧制境中学の歴史を背負う伝統校である。2009年に境西を統合する形で現在に至っている県立の普通科校だ。必ずしも部活動に特化しているという学校ではないが、限られた環境の中でしっかりとやれることをやってきた。
境の井崎 健裕投手(2年)と水戸啓明の中山 優人投手(3年)の投手戦という様相で試合は進んでいった。3回に水戸啓明が5番本城 海蔵選手(3年)のタイムリーで先制するが、その後も井崎投手は崩れなかった。6回からは橋本 大翔投手(2年)が救援し、力強いフォームから、回転のいいボールを投げ込んでいっていた。
その橋本投手の好リリーフに応えて7回、境は3番黒須 勇人選手(3年)が二塁打して、ボークで進むと宮部 颯斗捕手(2年)の右犠飛で同点とした。ロースコアの緊迫した展開となっていったが、9回に二死二塁から宮部選手の左中間三塁打で境がリード。これで逃げ切るのかと思われた。ところがその裏、水戸啓明先頭の9番の中山投手が中越三塁打。一死後スクイズを決め、土壇場で追いつき、こうしてタイブレークにもつれ込んでいった。
タイブレークは6番からの境だったが、羽部 統真主将(3年)のバントが安打となって無死満塁。ここで、中山投手も動揺したか、暴投で簡単に得点を許してしまい、なおも連続四球で押し出し。一死満塁から1番小木曽 祈睦選手(3年)の2点タイムリー打。なおも宮田 璃央斗選手(2年)がスライダーをしっかりと捉えた左中間三塁打でさらに2点追加。こうして、この回に7点をリードして、境としてはその裏は楽な守りとなった。橋本投手は、きっちりと3人で抑えた。
これで、境は昨年秋の返り討ちということになった。それでも、間中 大介監督は、きわめて謙虚だった。「たまたまこういう形になりましたが、相手は力のあるチームですし、ウチはそんなに点を取れないチームです。ですから、試合前は何とかロースコアでいければと思っていました。どうかすると、ワンサイドになってしまうかもしれないとも思っていました。タイブレークで、送りバントが安打になったことが大きかったですね」と振り返っていた。
境はこれで、37年ぶりのベスト4進出ということになった。
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