<令和7年度 春季高等学校野球大会 西部地区予選:川越工 14-1 所沢中央(5回コールド)>◇16日◇代表決定戦◇所沢航空球場
埼玉の西部地区。昨秋ベスト4の狭山ケ丘、山村学園、聖望学園と私立の強豪が多い中、公立校で期待がかかるのが川越工だ。昨春、夏共にベスト16のレギュラーが多く残り、特に好左腕・笛木 昊士郎にかかる期待は大きい。代表決定戦の相手は、スタメン全て1,2年生ながら、前の試合の入間向陽戦で9回大逆転勝利し勢いに乗る所沢中央だった。
先発は川越工がエース笛木、一方の所沢中央は背番号16の1年生右腕・山田 峻太郎が登板し試合が始まる。
先制したのは所沢中央であった。
初回、川越工・笛木の立ち上がりを攻め、先頭の長沼 凰聖(2年)が四球で出塁すると、すぐさま二盗、三盗を決め一死三塁とする。ここで3番・髙原陽輝(2年)の内野ゴロの間に1点を先制する。
対する川越工も2回裏、この回先頭の瑞慶山桜晴(3年)が左中間へ三塁打を放つと、続く宮城匠馬(2年)がきっちりと犠飛を放ちすぐに同点とする。
そして、この試合の分かれ目となる3回裏を迎える。
川越工は3回裏、9番・堀地琉拳(3年)、1番・伊東華音(3年)が共に相手のエラーで出塁し無死一、二塁とする。2番・太田周良(3年)がきっちりと送り一死二、三塁とすると、続く細貝大河(3年)がライトスタンドへ3ラン本塁打を放つ。
これで流れを掴んだ川越工はその後も相場琉良(3年)のヒットに2四球を絡め二死満塁とし、8番・笛木がレフト前タイムリーを放つと続く堀地もライト前タイムリーを放つなど、この回一挙5点を奪い6対1と試合の大勢は決した。
川越工は4回裏にもヒット7本を集め、最後は2番・太田が2ランを放つ。一挙8点を奪う猛攻を見せる。
投げてはエース笛木が2回以降立ち直り、5回1安打5者連続を含む9奪三振と所沢中央打線を寄せ付けない。
結局、川越工が5回コールドの14対1で所沢中央を下し県大会へ駒を進めた。
川越工、エース笛木は昨秋フォームのバランスを崩し球速も120km前後までダウン。チームも地区予選で敗れた。だが、その後復活し球速もMAXで130km前半くらいまで回復し、この日もまずまずの投球。荒木良仁監督はエースの復調を称え、春の県大会へ向けての意気込みを語った。
「笛木は強豪校相手でも左打者に強いのに今日は左にストライクが入らなくて。それでも5回で9奪三振は立派。笛木本人は自分への要求が高い子なので『今日は全然ダメ』と言ってましたが。これで落ち着いて投打に県でもやってくれるはず。細貝はまだしも太田がHRを打つとは思わなかったのでびっくりした。打線は反対方向の意識もありましたし、まずは良い雰囲気でできている。練習試合でも江戸川、共栄学園、大東文一、春日部共栄などと接戦でまずまず。公立で2年連続シードを取れたら繋がっていくので。2番手、3番手もいるので絡めながら」
打線も試合前半は硬かったが、3回の3ランで勢いに乗った。特に上位は破壊力があるだけに、2年連続シード獲得へ今年もやってくれそうだ。
敗れた所沢中央はこの試合、若いチーム特有の脆さを見せてしまった。元々攻撃に特化し練習をするチームなので、ある程度のエラーは致し方ない。栗原陽監督は力投の山田をかばった。
「山田峻は100点。守備にはある程度目を瞑り、攻撃に振り切ってやっているんですが、とはいえ正面のゴロは捕らないと試合にならない。山田峻が少し可哀想だった。攻撃特化でやっているので笛木君レベルでも打っていかないと」
1年生ながら落ち着いたマウンド捌きを見せる山田峻がいるだけに、簡単なミスは最小限にしたい。打線も俊足巧打のトップバッター・長沼を筆頭に夏までスケールアップできるか。1、2年生が多いチームだけに来年以降にも注目が集まる。