<令和7年度 春季高等学校野球大会 東部地区予選:春日部東3-2開智未来>◇12日◇1回戦◇岩槻川通球場
岩槻川通球場の第1試合は地区のシード校・春日部東 vs スタメンに2年生8人、埼玉の新たな潮流になる可能性を秘める開智未来との一戦。
春日部東は戸井永新監督が4月に就任し指揮を執る。この日が公式戦デビューとなった。巨人アカデミー元コーチの伊東 悠太監督が率いる開智未来は野球部が強化指定対象になり、今一番HOTな高校だ。有望な新1年生も22人入部し、伊東監督が1人で見るような状況から、ジャイアンツアカデミー出身の先生がまた1人加わり夏からは部長として入る予定とのこと。Bチームも作れるような陣容になるなど今後も目が離せない。
先発は春日部東が戸井永監督が「一冬越えて伸びて任せられるようになった投手」と評する公式戦初登板の近藤俐玖(3年)、一方の開智未来は2年生右腕・寺内斗冴が千波する。伊東監督は「彼に責任を持たせて夏を迎えたい」と語る。
試合はその春日部東・近藤、開智未来・寺内の両投手が好投し、両校無失点で進む。
先制したのは春日部東であった。
4回まで1安打の春日部東は5回表、二死から3番・藤丸慎也(3年)が右中間へ三塁打を放つと、続く藤井慎太郎(3年)がセンター前タイムリーを放ち、春日部東が均衡を破る。
ここから試合が動き始める。
開智未来が6回裏二死から3番・大田幸哉(2年)のセンター前ヒットを足がかりに、続く川上慧(2年)が左中間へタイムリー三塁打を放ち同点とすれば、春日部東は7回表、先頭の沖崎大翔(3年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、一死後3番・藤丸が左中間へタイムリー三塁打を放ち1点を勝ち越す。
開智未来はその裏、この回先頭の寺内が四球で出塁すると、続く銭谷出海(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。さらにキャッチャーがファンブルする間に二走・寺内が三塁へと進むと、8番・山口陽生(2年)の所で開智未来ベンチはエンドランを仕掛ける。これが見事に成功し、再度同点に追いつく。
迎えた最終回、春日部東は二死から2番・丹川湧太(3年)が右中間へ三塁打を放つと、続く藤丸もライト線へタイムリー三塁打を放ち3対2とし貴重な勝ち越し点を奪う。
粘る開智未来はその裏、この回先頭の戸ヶ崎仁稀(2年)が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、一死後7番・銭谷もレフト前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げる。
すると春日部東ベンチは
「桒原より少しボールが速いので相手が差されてくれたら」(戸井永監督)
7回からマウンドに上がった技巧派左腕・桒原意大(2年)に代え、左サイドの2年生・大関洸詩をマウンドへ送る。大関は期待に応え、後続を併殺に打ち取る。
春日部東が接戦を制し、開智未来の挑戦を退けた。
まず春日部東は近藤がよく投げた。また打線ではこの日長打3本2打点と藤丸が爆発。二死からでも長打が飛び出し、チャンスで1本が出たことが勝利につながった。
「最初からイニングで継投で考えていた。最後までリードを与えなかったことがこういう結果になったかなと。こういう展開になることは予想していた」(戸井永監督)
何とか勝ち切ったが、次戦へ向け打線などへの修正は必要になりそうか。
注目度が高まり、春の躍進を狙った開智未来は痛恨の敗戦となった。それでも期待の2年生・寺内はよく投げていた。打線も春日部東同様に要所で長打が飛び出し、戦術的な部分も成功しシード校相手に互角の展開も最後競り負けた形だ。
「寺内は気持ちの強さを感じた。もちろん、最終回は夏であれば別の方法も考えましたが、今回のテーマとしてバッティングを伸ばすことを考えていたので。もっと打てるはずだったんですが、地に足がついていなかった。その辺が若いチームかなと。1年前2年前と全然違い、人数も多くなってきて、急激に変化する代わり際のチームですが、改めてあくまで3年生3人のチームなので。満足度を上げることが次につながるはず」
あくまで伊東監督は先を見据える。若いチームには経験が必要。この悔しさをバネに夏は暴れて欲しい存在だ。