科学技術の先発・吉崎は後半から持ち直す。吉崎は変化球の精度が課題で、スライダー、カーブともに見切られ、ストライクに取りにいった球威を抑えた直球、変化球を狙い打ちされていたが、後半以降から開き直ってストレートを押す投球で切り替え、神戸弘陵打線を抑えていた。こうして試合は9回の表を迎えた。

 科学技術は7番鍋谷崚(3年)が二塁打で出塁。犠打で一死三塁まで進め、スクイズを仕掛けようとするが、三振に終わり、二死三塁。ここで1番長崎拓海(3年)が右前適時打を放ち、勝ち越しに成功する。まだこれだけではない。長崎は盗塁を仕掛け、成功。そして2番佐野恭平(3年)の適時打で6対4と勝ち越す。この2点目が大きかった。

 9回裏、一死から1番谷が内野安打で出塁し、二死二塁から3番喜井の適時打で1点を返すが、反撃はここまで。科学技術の吉崎が4番田中を打ち取り、試合終了。

 ゲームセットの瞬間、科学技術の選手たちは全速力で整列に向かい、そして兵庫科学技術のスタンドは総立ちで、歓声を上げていた。
 最後まで手に汗握る熱戦であった。兵庫科学技術のスピード、巧打が神戸弘陵を上回ったのだ。神戸弘陵も粘り強い試合運びを見せており、両校に拍手を送りたい気分にさせるナイスゲームであった。

 最後に1人だけ逸材を紹介したい。それは神戸弘陵のショート・谷だ。この選手の持ち味はスピード性溢れる遊撃守備だ。初回、彼の守りを見た瞬間、あまりのスピードの速さに驚かされた。動き出しの速さ、フットワークの軽快さはまさに本物のショート。左右関係なくしっかりと動けており、地肩は強い選手ではないが、状況に応じてワンバウンドで投げたりと、頭を使ったプレーができている。さらに捕球の対しての安定性を高めていけば、来年の兵庫県を代表する遊撃手になる可能性を持っているだろう。そして9回裏の内野安打のタイムは3秒82と驚異的なタイムをたたき出した。この脚力が、あの守備を生み出していると考えると納得できる。

 課題は打撃。当てるのは上手い選手だが、始動の仕掛けが速すぎて、引っかける打球が多かった。走り打ちをしなくても人並み以上のスピードを生み出せる選手。ぜひ最後までしっかりと振り切ることを意識するなど、ちからづよsを求めて存在感を示してほしい。先輩たちが感じた悔しさをぜひ晴らす活躍を、この秋、来年に見せてくれることを期待している。

(文=河嶋 宗一

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