海城vs都立日比谷
進学校対決は海城に軍配 主将・樋口の4安打を含む14安打9得点で初戦突破
海城3番・樋口 航介
<秋季高校野球東京都大会:海城9-3都立日比谷>◇9日◇1回戦◇江戸川区球場
都大会の組み合わせが決定した段階で、注目カードの1つに挙がっていた海城と都立日比谷による進学校対決。両チーム合わせて25安打が飛び交う打ち合いとなったが、最後は海城が制した。
5回を終わって3対2と海城が競り合いながらもリードして折り返すと、6回、7回と追加点。さらに7対3の8回には、3番・樋口 航介内野手(2年)の、この試合4本目となるヒットなどでチャンスを作ると、5番・金森 大和捕手(2年)の一打でダメ押しの2点を追加。9対3として都立日比谷を下した。
8回14安打9得点を記録した海城打線は、上位陣を中心にしっかりバットを振れる選手が多かった。特に3番に座った樋口は、あまりテークバックを引くことなく、シンプルに構えてタイミングを取ると、「監督に指導いただいて意識している」というインサイドアウトでコンパクトにスイングして捉えていた。下半身から動き出せていたのも特徴で、しっかりと全身を使って打撃ができていたので、フィジカルが強化されれば、強打者として期待できるだけの技術は伴っていた。
海城は進学校で「文武両道を掲げて活動しています」という。平日の練習は2時間半ほどで、グラウンドの使用も他部活との兼ね合いで週3日だけだが、広さの都合で普通の打撃練習はできない。ネットに向かって打つか、学校にある鳥かごを活用して打つなど、工夫をしなければいけない。
しかし梶監督は「できることの質を高めるようにしています」と、最善を尽くしてチームを作り上げてきた。そのために「目的意識をハッキリもって取り組んでいます」と樋口主将は普段の練習に対する姿勢にこだわってきた。
練習では外角への直球や、変化球など、打つ球種を限定して取り組むことがあるという。都立日比谷との試合、飛田 凪晴投手(2年)と高橋 直人投手(2年)の2人と対戦したが、「相手のストレートに絞ることができたので打てました」と樋口主将は振り返っており、少なからず目的をもって取り組んできた練習の成果があるようだ。
ただ梶監督は「走塁やバントなど実戦練習を積まないといけないですし、筋力強化をしてプレースピードを高めないといけない」と現時点で満足はしていない。秋のみならず、春以降も躍進が楽しみだ。
一方で敗れた都立日比谷も、都内有数の進学校として知られる。海城との進学校対決は中盤まで競り合ったが、終盤で力尽きた。石渕監督は「勝てる試合だった」と悔やんだ。しかし、夏休みも勉強との両立のために平日4日、土日1日の5日間の練習量で都大会までたどり着いた。練習時間も2時間半から3時間と短時間だが、高野 遥生内野手(1年)が言うように「集中して取り組んでいます」と量で敵わない分、質で補ってきた。
都大会に出場して、「壁を感じました」と高野をはじめ上のレベルが明確に見えた。石渕監督も「都大会で勝つ目標ができた」と春までにやるべきことが明確になったようだ。進学校という肩書を背負い、春の都大会では躍進する姿を見せてほしい。
(記事=田中 裕毅)