知久 将人選手 (札幌第一)

寸評

　今年の北海道を代表する好投手として、夏の予選前から評判が高かった投手です。あまり細かいコントロールはないのですが、縦横二種類のスライダーを駆使して南北海道大会を制しました。 （第一印象） 　もっと速球でグイグイ押してくる来るタイプなのかなと思っていたのですが、ストレートに二種類のスライダーをつかって、相手に的を絞らせない投球が身上です。球速も135～140キロ近く出るのですが、球速表示ほど有難味を感じないボールで、けしてストレートで打者を圧倒するタイプではありません。 （投球内容） 　ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。しかしボールは高めに抜けることも多いのですが、その分低めに切れ込む縦のスライダーで、三振を奪います。南北海道予選では、47回2/3イニングで奪三振は45個。ほぼイニング数と同等の、三振を奪っていました。 ＜長所＞ 　足を引き上げて、軸足一本で立った時のバランスがいいですね。膝に余計な力みを感じませんし、ここでのバランスの良さが、その後のフォームを好い方向へと導いています。 ＜課題＞ 　グラブを内にシッカリ抱えられないので、フォームが暴れてしまい制球が安定しません。足の甲での地面の押し付けも浅めで、ボールが上吊りやすい要因を作ります。 　ボールにしっかり体重が乗せられていないので、打者の手元まで生きた球が行きません。球速はソコソコ出ていますが、ストレートは投球の基本ですから、この部分のレベルアップが、投球全体の成長に大きな影響を及ぼします。

将来の可能性

　実戦型にしては、まだまだ細かい制球力に欠けますし、素材型というほどボールに圧倒的なものは感じません。それでいて試合をソコソコまとめてしまうのは、この選手のセンスの良さでしょうか。高校からプロとかそういった選手ではないのですが、大学などでピッチング全体の力をつけて行ければ、4年後は楽しみではないのでしょうか。今後の成長を期待して、見守って行きたい一人です。