トミー・ジョン手術決断 気になる阪神ドラ1・下村海翔の復帰時期 「復帰は2年後」と言われ引退決断した投手も 「指の曲げ伸ばし」から始まる地道なリハビリ
青山学院大時代の下村海翔
阪神のドラフト1位ルーキー・下村 海翔投手(九州国際大附-青山学院大)が今月上旬トミー・ジョン手術を受けたことを球団が発表した。即戦力として期待された最速155キロ右腕は今季絶望となったが、阪神OBで同じくトミー・ジョン手術を行った福永 春吾氏はどう見たのか聞いた。
「復帰は2年後」と言われ引退決断 指の曲げ伸ばしから始まったリハビリの苦悩
下村は決して大学時代に登板過多などがあったわけではない。1年時には右ひじの怪我でノースロー調整を行っていた時期もあるなど、怪我からの復活で慎重な調整を行ってきた。そんな中での決断となったが、福永氏は自身の経験と重ねながら怪我の発症リスクに関して語っている。
「ひじの故障はやはりいつ誰がなってもおかしくないものです。日本はマウンドがどんどん硬くなっているので、地面の反力を使って投げる際、衝撃を吸収することが難しくなって肘に負担がいく。またトレーニングが充実して、150キロのストレートが当たり前の時代になったこともあり、今まで以上に負担がかかっていることは大きな影響があると感じています」
開幕前には、中日の草加 勝投手(創志学園-亜細亜大)が手術を決断し、シーズンに入っても武田 翔太投手(宮崎日大)がトミー・ジョン手術に踏み切ったように、今季もひじの故障で有力投手が次々と離脱している。
そんな中、下村が早い段階での手術を選択したことを福永氏は英断だという。
「経験上、手術が早いに越したことはないと考えています。引き延ばしてしまうと、オフの時期と重なって復帰がずれたりすることもあります。自分も手術をしてから復帰まで1年半かかると言われていましたが、結局オフの期間も含めると2年後の開幕になると言われて、年齢的にも厳しいと思って昨シーズンに引退を決断しました」
福永氏の場合はあくまでかなり状態の悪いケースだったそうだが、指の神経など繊細な部分まで怪我の影響が及ぶことがある。
「自分も現在リハビリをしていて、投げる時は怖くてかばってしまって、映像を見たら投球フォームが変わっていました。ただ下村投手は阪神のトレーナーさんが見てくれると思うので問題は無いと思います。
「手術を終えての状態にもよりますが、復帰の時期が延びたりすることもあります。自分の場合はかなりの重症だったので、指を動かすところからリハビリを始めました。手をグーパーするところからスタートして、肘の角度の曲げ伸ばしなど段階を踏んでいくと思います。将来のある投手なので早期での手術の決断で良かったと思います」
数年後、投手陣の柱としての活躍を想像させる期待のルーキーだからこそ、怪我を癒すことに時間をかける決断を下したのだろう。
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