浦和学院 エース宮城が貫禄の0封。明秀日立戦は力投も今回は「脱力」で的絞らせず



7回3安打0失点と好投した浦和学院の先発・宮城 誇南(3年)

<春季関東地区高校野球大会:浦和学院7-0山梨学院(7回コールド)>◇28日◇準決勝◇宇都宮清原

 浦和学院(埼玉)が投打で強さをみせ、5年ぶりに決勝進出を果たした。準々決勝では昨秋の関東王者・明秀日立(茨城)を相手に乱打戦の末に勝利。持ち前の強打を発揮したが、先発したエース左腕の宮城 誇南投手(3年)は明秀日立(茨城)打線に5回5失点と捉えられた。森大監督は「明秀日立戦の反省を生かして、自分で考えて投球してみなさいと伝えました」と準決勝のマウンドにもエース宮城を送り出した。

 明秀日立戦では速球で力勝負をしたが、この日の宮城は変化球を軸に山梨学院打線をかわしていく。力みのない投球で最後まで的を絞らせなかった。「出力が上がった分、精度に欠ける部分があり、いかに修正するかがここ最近の課題でした」と宮城は明秀日立戦での投球から課題を明確にし、テーマを持ってこの試合に挑んでいた。

 スライダーが低めに集まり凡打の山を築いた。バッテリーを組む高山 維月捕手(3年)も「真っ直ぐ一本で勝負せず、いかに真っ直ぐに絞らせないかを考えながら挑みました」と、この日のリードを振り返った。宮城については「他の投手たちとは真っ直ぐの力強さが違う」と世代屈指の左腕を語る。さらに「不調な時でも自分の投球ができる」という部分でも好投手が揃う浦和学院投手陣の中では頭ひとつ抜けていると実感している。

 福岡志免ボーイズ出身の高山は中学時代から打撃センス抜群の選手として評判だった。ポジションは主に外野手を務めており、捕手を始めたのはちょうど1年前の春。それから1年も経たずに、センバツでは大会第1号本塁打を放つなど強打の捕手としてその名を全国区にし、U18日本代表候補に選出されるなど世代を代表する捕手へと成長を遂げた。

 捕手のスキルでは「ブロッキングが一番難しい」と宮城のキレのあるスライダーを何球も受けながら上達を目指している。決勝戦でも強打と類い稀なる野球センスを発揮してほしい。

 準決勝でも投打で圧倒した浦和学院。センバツ4強の実力で全国トップクラスのチームと言っても過言ではないが、森監督の中には確信的なものはない。

「今大会もいい経験ができていると思います。それでも夏は何が起こるかわからないので。山村学園さんも勝ち残っていますし。まず夏の埼玉大会を勝ち抜いて甲子園『出場』が第一目標です。大阪桐蔭など近畿勢はまた一つ上の存在だと思っています。また甲子園で強いチームとしっかりと戦えるように」

 大阪桐蔭に対抗できる存在として度々取り上げられるが、夏の埼玉を勝ち上がることの難しさを痛感している。戦力は十分にある。春の関東の頂点にたち、最高の形で夏を迎えることができるか。決勝戦も浦和学院の野球に注目したい。

(記事:編集部)

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