試合レポート

浦和学院vs山村学園

2022.05.05

浦和学院が山村学園を4対0で下し春連覇!

浦和学院vs山村学園 | 高校野球ドットコム
芳野大輝(浦和学院)

<春季高校野球埼玉大会:浦和学院4-0山村学園>◇4日◇決勝◇[stadium]県営大宮[/stadium]

 この日の気温は25度、一気に気温が上がった県営大宮球場、決勝はAシード・浦和学院がノーシード山村学園の挑戦を受ける形となる。

 まずスタメンだが、浦和学院の昨日との変更点は、宮城がこの日メンバーから外れボールボーイ。「打順の流れを変えたくない。将来的にもクリーンアップを打って欲しい選手」(森監督)と、4番には1年生の三井雄心が入る。それ以外はフルメンバー、センバツ時と全く同じスタメンとなった。一方の山村学園は、5番に千葉智也(3年)を入れる。その他は不動のスタメンで決勝戦へ臨む。

 先発は浦和学院が左腕・芳野大輝(3年)、一方の山村学園も左腕の佐藤実倫(3年)が先発し試合が始まる。

 試合は両先発の好投もありロースコアで淡々と進む。先制したのは浦和学院であった。

 4回裏、この回先頭の伊丹一博(3年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く金田優太(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。二死後、5番・高山維月(3年)がセンター前タイムリーを放ち浦和学院が1点を先制する。

 その後も浦和学院・芳野が勢いに乗っている山村学園打線を寄せ付けずノーヒットピッチングを披露すれば、山村学園佐藤実も直球、変化球を投げ分け浦和学院打線に的を絞らせない。

 浦和学院・芳野は足を攣るような兆候があり、ノーヒットながら6回でマウンドを金田へ譲る。金田もベスト8の西武台戦から修正し、今大会のテーマである外角中心の投球で相手打線を寄せ付けない。

 すると、1対0のまま迎えた8回裏、浦和学院はこの回先頭の大内碧真(3年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く小林聖周(2年)の送りバントを佐藤が一塁へ悪送球を放り無死一、二塁とする。さらに2番・伊丹の犠打が内野安打となり無死満塁と絶好の勝ち越し機を迎える。ここで続く金田が一塁線を破る2点タイムリー二塁打を放ち、佐藤実をマウンドから引き摺り下ろす。代わった2番手・西川歩(1年)に対しても攻撃の手を緩めず、途中出場の大勝朱恩(3年)がセカンドへのタイムリー内野安打を放ち4対0とし試合を決めた。

 投げては、先発の芳野、金田のリレーで山村学園打線を2安打無失点に抑え、勝負あり。結局、浦和学院が4対0で山村学園に勝利し春連覇を飾った。

 これにより埼玉県1位の浦和学院は神奈川2位の桐蔭学園と対戦、埼玉県2位の山村学園は千葉県1位の市立船橋との対戦が決定した。


浦和学院vs山村学園 | 高校野球ドットコム
佐藤実倫(山村学園)

 まずは浦和学院だが、この日は何と言っても芳野の好投に尽きる。6回で足が攣り気味になったので、7回以降は金田へマウンドを譲ったが、見事な投球であった。センバツ後、ややフォームを修正し、ネットスローなどを繰り返し、フォーム固めをし今大会に臨んできた成果がこの日は出た。

「芳野はナイスピッチング。相手の佐藤君もコースにビタビタ来ていたので終盤勝負だぞと。春のテーマであるバントを駆使して8回はきちんと返せた。夏に向けての準備として1点の重みを意識して、超攻撃を消さずに小技や機動力を駆使した野球を夏は目指したい。今大会はモチベーションを含めて難しい大会であった。そんな中切磋琢磨してよく頑張った。関東までに2週間ある。今大会の25名〜18名に変更されるのでまた競争です」と、森監督も関東へ向け手綱を締めた。

 一方の山村学園も、この日は佐藤実が好投した。それにより試合は後半勝負の展開となったが、8回は自らのエラーをきっかけに流れを失った。だが、この日監督の勧めもあり脱力投球を披露。それが結果的に強打の浦和学院打線を封じることに成功した。

「今大会は大会直前の怪我もありぶっつけ本番で本調子ではない。徳栄戦は昨夏も投げていたので、一回抑えて、もう一回投げて打たれるわけにはいかないって気持ちを出して行った。今日は声とかは良いから6,7割で投げろと。そしたら思ったよりもミスショットを誘えて今までと違う投球ができた。(昨夏からの成長として)左打者のインコースにも投げられるようになった。ただ、バント処理のミスは他の試合もあったのでそこは修正したい」(佐藤実

 と、自分の新たな一面を見つけ手応えを掴んだが反省も忘れなかった。昨夏のメンバーが多く残り期待された秋は失意の結果となったが、今春になりしっかりと立て直してきた。今大会は何と言ってもエース山田翼(3年)の成長が大きい。他のレギュラーメンバーの華々しい中学時代の経歴と比べ元々中学時代はそこまでの実績を持っていなかった彼が、自信を深めた大会であろう。

 何よりも川越東戦のノーゲーム以降、試合の入り方を意識しチャレンジャー精神で開き直れるようになり、昨夏の同じような雰囲気で戦えるようになった。だが、夏はAシードとして戦う。今度は迎え撃つ立場となるだけにその状態でどこまで勝ち上がれるか。まずは関東大会で少しでも自分達のレベルを上げることができるか。そこに掛かっている。

 最後に浦和学院の春連覇で終わった今大会、各地区で見ると最多のシードを獲得したのは昨年に続きは南部地区の6だが、取り分け昨年シード校0であった西部地区が今年は5と躍進が目立った。これまで上位シードの高校が多かった印象を受ける東部地区は、昌平が不戦敗により地区予選敗退、春日部共栄は初戦敗退、Aシード・花咲徳栄もベスト8敗退と強豪校が揃って結果を出せなかった。このままでは終わらないであろう。夏での巻き返しに期待したい。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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