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元プロの打撃コーチの教え守り、自由ケ丘が17得点で10年ぶり4強



自由ケ丘・斎藤大輝トーマス

 北九州市民球場での福岡大会準々決勝、自由ケ丘柳川の一戦は、雨の中でのゲームとなった。自由ケ丘は背番号1の斎藤大輝トーマス(2年)が先発。対する柳川は背番号9の加峰美波(2年)が先発マウンドに経った。

 雨の予報の中、どちらが早く試合を決められるかに注目していたが、自由ケ丘打線が初回から全開だった。

 自由ケ丘は1回、二死一、二塁から左前への適時打で先制すると、2回から全開モードになった。一死満塁から2番梶原拓己(2年)が中前へ適時打を放つと、敵失でさらに1点を追加した後に、4番に座る冬木 壌太郎(2年)が右前への2点タイムリー。その後にスクイズも決まってこの回5点を挙げた。

 攻撃の手は緩めない。続く3回には1番前里浩夢(2年)、3番中村朝陽(2年)、5番吉村晴太(2年)のタイムリーなどでさらに5点を追加。2回、3回はともに打者9人での攻撃で序盤で大きくリードを奪った。その後、柳川の粘りの攻撃と、雨がひどくなり先発の斉藤が制球を乱す場面もあって7失点したが、6回に4点を奪って17対7の6回コールド勝ちを収めた。

 自由ケ丘の赤嶺琢監督は「雨もあったので、早めに点が取れてよかった。スクイズもさせたし、どんどん点を取りに行った」と先制パンチが効いたことを勝因に挙げた。「もともと、打撃はあんまり当てにしていないけど、思いのほか、打てているので点が取れています」と振り返る。今大会はここまでの4試合で28得点。この日の17点を追加して、5試合45得点となった。「とにかく強く振ることを意識づけさせてます」。自由ケ丘ナインはその言葉を初回から実践してみせた。

 2018年2月から、元ソフトバンクの好打者の外野手だった柴原洋氏が臨時打撃コーチに就任。「プロ目線ではなく、高校生目線で指導してもらっている」(赤嶺監督)という。主将で3番に座る中村は「フルスイングすることをいつも言われている。フルスイングすることで投手に圧を加えることができますから」と、この日の1安打1打点につなげて見せた。チームではこの日、13安打17得点。上位1番から5番まで全員が打点をマークする活躍だった。

 柳川は3回裏の攻撃に入るまでは0対11と大きくビハインドを背負いながら、3回からの3イニングで7点を奪って反撃してみせた。結果はコールド負けだったが、自分たちの力は出し切った。御所豊治監督は「選手には100点取られても諦めるなと常に言ってきた。その気持ちはしみついているので、よく打ってくれました」とナインの奮起を称賛した。雨がひどくなり、相手投手が制球を乱したことも追い風となったが、7安打7得点の粘りは見事だった。御所監督も「一冬越えて、たくましくなってくれると思います」と期待していた。

(記事=編集部)