伊藤 将司選手 (横浜)
寸評
旧チームから、名門・横浜高校のエースナンバーを背負い、全国大会を経験してきた好投手。洗練された投球術、投手らしい所作、ボールのキレなど、まさに全国を代表する左腕の一人だと言える存在です。 (第一印象) あらゆるところにまで神経を行け届かせることができる、器用さ、意識、技術には目を見張るものがあります。前の打席に打たれた打者に対しては、次の打席では投球モーションのスピードを変えたりと、高校生離れした創意工夫が見られます。 (投球内容) オーソドックスなフォームから投げ込むサウスポーで、球速は120キロ台後半~130キロ台中盤ぐらい。ボールやフォームに凄みはありませんが、ピュッと切れる球質で、カーブ・スライダー・スクリューなどを織り交ぜて投球を組み立てます。逆にコースを厳しくつきすぎることに神経を使い過ぎて、あっさり先頭打者に四球を与えてしまったりするので、アバウトでもいい場面は開き治って投げないと投球が汲々になって持ちません。牽制・1.15秒前後のクィック、フィールディングに至るまで完成度が高く、パッとマウンドを外すような危険を察する勘の良さも併せ持ちます。 <長所> グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を捉えいますが、膝小僧に土が着くぐらい沈んでいるので、思ったほど低めには集まりません。それでも「球持ち」が素晴らしいので、指先まで神経を伝えられるリリースには目を見張るものがあります。あまりにもコースを突くことに神経が行っているので、もう少し大胆に開き直っても良いのかなと思える部分はあります。 「着地」までの粘りはそれほどでもないのですが、体の「開き」は非常に抑えられており、ボールの出処は難いはず。打者からすれば、見えないところからピュッと来る感じで差し込まれやすいと思います。 <課題> 肘を立てて上から投げようとするのですが、腕の送り出しが不自然で違和感が感じられます。また重心が深く沈んでいるのですが、逆に沈み過ぎてしまい前への体重の乗りがイマイチなのが今後の改善点ではないのでしょうか。
更新日時:2013.12.17
将来の可能性
物凄く意識が高く、物事を深く追求するタイプなのではないのでしょうか。高校生でここまで細かい部分まで神経が行き届く選手を、私自身あまり見たことがありません。良い意味での鈍感さや、最後は理屈でなく腕を強く振る開き直りの方が大事なことも多いので、切り替えがうまくできるようになることが大事だと思います。そうしないとどんどん自分を自分で追い込んでしまい、ピッチングが汲々になって良い結果が生まれません。その辺のさじ加減を覚えたら、この選手は 成瀬善久(ロッテ)投手のような投手になれるのではないのでしょうか。あえて高校からプロに入れる素材なのか、見極めて行きたいと思います。
更新日時:2013.12.17
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