「愛顔あふれる」西条、済美の野望を阻む!

 

右翼手で右ひじの状態を気にする安樂智大(済美)

 愛媛県の目標は「愛の国・愛顔あふれる愛媛県」であるが、この日の西条ベンチには終始「愛顔」があふれていた。

まず立ち上がりが素晴らしかった。
「初回、投球練習の最後に右ひじがつるような感覚があった」済美先発・安樂 智大(2年)の異常事態があったとはいえ、1回には二死から連打。最後は5番・白川大智左翼手(2年・右投左打・180センチ67キロ)が、「タイムを取ろうとしたが安樂が先に投げてしまった」(上甲正典監督)甘いインコース高めストレートを迷わず振り抜き右翼線先制2点二塁打。

「野球人生ではじめて」の感覚に見舞われ、心ここにあらずの状態にあった安樂を「安樂を打たないと次に進めない。初球を絶対に打ってやろうと思っていた」白川の気迫が勝ったことで、主導権は完全に西条へ傾く。

さらに3回表には「マシンを160キロに設定して、振り負けないようにヘッドから叩く感覚を身に付けた」菅哲也監督の練習方法を実証すべく、先頭の2番・浅海将也遊撃手(2年・右投左打・168センチ61キロ)が中前打で出塁。

その後も失策を突く積極的な走塁や、結果的には失敗に終わったがダブルスチールも仕掛け、安樂を精神的にも追い込む策を徹底。

これにより一死二塁から4番・山橋樹中堅手に死球を与えると、ついに安樂は「チームに迷惑をかけないためにも『これ以上投げるのは無理』だと言って」2番手左腕・宮田優輝への交代を申し出ることに。高校日本代表を準優勝に導いた大エースは、わずか打者13人43球で右翼へと退くことになった。