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目標は消えても仲間は消えない。夏将軍・松山商が今治西を率いてきた大野 康哉監督の下で再始動

2020.05.28

新たな想いを胸に活動再開

目標は消えても仲間は消えない。夏将軍・松山商が今治西を率いてきた大野 康哉監督の下で再始動 | 高校野球ドットコム
発声の制限が付いた1・2年生のキャッチボール

 これまで甲子園通算80勝(春20勝・夏60勝)・全国制覇7回(春2回・夏5回)の名門を誇りながら、4月8日(水)からの部活動休止・休校措置により他の県立高と共に全体練習を停止していた県立松山商(愛媛)野球部が5月25日(月)のミーティングから再始動。

 県立今治西で春夏通算11度の甲子園出場。2007年秋田国体優勝を成し遂げた大野 康哉監督にとっても、松山商異動後初となる選手指導となった。

 大野監督は、まず5月25日(月)には1・2年生部員にはあらかじめメニューを与えての個人練習を課し3年生部員全15名とは個人面談。事前に3ページにわたる「松山商業高校野球部3年生の皆さんへ」を配布した上で、「自分自身の決断し、個人の決断が全員が尊重する」などを約束した上で全員の意思を丁寧に確認した。

 結果、3年生は「甲子園という目標は消えてしまったけど、頑張ってきた仲間たちは消えない」とコメントした主将の国澤 彪馬(二塁手・右投右打・168センチ64キロ・松山市立久米中出身)をはじめ全員が愛媛県高野連が8月上旬に開催を目指している県独自の大会までの高校野球継続を表明。

 指揮官も選手たちの男気に「大変感激したし、大人が思っているほど、子どもたちは弱くない。改めてしっかりやっていこうと思った」と、新天地での誓いを新たにした。

[page_break:選手それぞれの良さを見つけ、目標と目的の達成へ]

選手それぞれの良さを見つけ、目標と目的の達成へ

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3年生との面談後・全選手を前に話しかける松山商・大野康哉監督

 そして翌日26日(火)・松山商は全部員61名(3年生選手14名・2年生選手20名・1年生選手24名・3年生男児マネージャー1名・2年生女子マネージャー1名・1年生女子マネージャー1名)が同じグラウンドに集い、ミーティング時は全員がマスク着用。

 着替えは学年別に分けるなど「三密」回避などに最大限の配慮を払いながら、2020年度初の全体練習を約2時間半行なうことに。

 練習内容は全員での補強運動の後、内野手・外野手はスイング・打球・捕球・送球といった様々な野球感覚を取り戻すためのティーノック。一方、バッテリーは最速142キロ左腕の松﨑 来雅(2年・投手・左投左打・168センチ62キロ・ヤング倉敷ピーチジャックス<岡山>出身)をはじめ全員がブルペン入り。2・3年生は40球、1年生は20球の立ち投げで高めいっぱいにストライクを入れる感覚を養った。

 その間、松山商のユニフォームをはじめてまとった大野監督は精力的にグラウンドを走り回り、自らがお手本となって侍ジャパンU-18代表コーチも務めた技術論・精神論を丁寧に惜しみなく伝授。「なぜ必要なのか、そうするのか、しなければならないのか納得して練習をもらう」方針と「松山商の大野として、仲間に加えてもらう」決意を自らの行動で示している。

 今後しばらくは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点も含めて平日は2学年ごとの練習、休日はポジションごとに時間を分けての2時間程度練習で徐々に練習強度を上げつつ、「今日という日は常に明日への準備の日」を積み重ねて、夏以降の舞台で躍動する準備を整えていく松山商

 「1人1人のいいところを早く見つけてやりたい」指揮官の想いに選手たちが反応し自ら成長していく状況が整えば、2001年夏のベスト4以来遠ざかっている甲子園到達。その先にある「目標は全国制覇!目的は人間形成」という松山商野球部の部訓は、さほど遠くない日に実現性のある形となりそうだ。

(取材=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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