明治神宮大会が開催されている神宮球場

 西洋のことわざに「習慣は第二の天性」というのがあるそうだ。

 足が速いなどの生まれ持っての天性は変えられないかもしれないが、習慣は変えられる。日ごろから習慣で培った力は、人間力として生きてくる。日ごろから波を作らない生活を送っていれば、試合で生かされるはずなのだ。この言葉の意味はそうであると、僕は捉えている。人間力は変えられる。

 話を榊原に戻すと、今季、榊原の登板で多かったのは緊急登板である。最初の二勝は、なんと、先発投手のアクシデントから急きょマウンドに登り、きっちりと抑えて、勝利投手をもぎ取ったものだった。

ウオーミングアップに擁した球数は10球に満たなかったというほどだというから、驚きである。

 性格に波のある人間だったら、おそらく力を発揮できなかったであろう。どんな状況下でも持っている力を発揮した榊原には、そうした人間力を感じた。

 彼の「波のない」性格が、途中登板から10勝を挙げるという大きな勲章を与えた。

 僕はそう思っている。

 「いつものプレーができなかった」理由を、もう一度、日常の生活から見直していくべきだろう。できると思っていただけなのかもしれないし、言いかえれば「いつものプレーができない」ということが今の力なのだ。

 秋季大会があと神宮大会を残すのみとなり、これからは秋の反省と夏に向けての課題を克服する冬に入っていくと思う。技術習得も大事なことだが、それと並行して日ごろの生活を見直すことも、最後の夏、最高の舞台でいつも通りのプレーができる力になる。

(文=氏原 英明)