僕らの熱い夏

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第64回 【三年生座談会】県立松山商業高等学校(愛媛)2012年08月23日

【目次】
[1] 最後の夏を振り返って
[2] 松商野球部での2年半、そして冬合宿の思い出/重澤和史監督とのかかわり、チームのまとまり
[3] 後輩たちへのメッセージ
    重澤和史監督から贈る言葉
    新主将:金子将貴(2年・一塁手)





▲前列右から重澤、山中、矢野 後列右から越智、髙木、山﨑

 高校野球では名門中の名門・愛媛県立松山商高校。今季は春には県大会準優勝で四国大会にも出場。11年ぶりの甲子園を目指して挑んだ愛媛大会は準々決勝敗退に終わりましたが、「夏将軍」復活の息吹は確かに感じられました。では、学校、地域、ファン・・・。様々な立場の皆さんから期待を受けて過ごしてきた2年半を20人は3年生はどう過ごしてきたのか?代表して、この6人に語ってもらいました。
 さらに重澤和史監督の「3年生へ贈る言葉」、新キャプテン・金子将貴(一塁手・2年)の意気込みも文末には掲載。それぞれの立場での「熱情」を感じていただければ幸いです。

◎座談会メンバー
髙木 ちから(中堅手):3番・主将として69人の部員を統率した。
越智 洸貴(投手):貴重な左腕として愛媛大会では全3試合に先発。
山﨑 翔太(三塁手・投手):松山商業3本の矢の1人。無失点で堀田晃(3年)へバトンを渡した。
矢野 慎太郎(一塁手):2年次から3塁コーチャーとして、走者をホームに導いた。
山中 雄太(遊撃手):この一年間は唯一の男子マネジャーとして、ベンチからチームを鼓舞した。
重澤 直道(三塁手):監督の長男。学生コーチとして、分析班の一員としてスタンドからチームを支えた。

(インタビュー : 寺下 友徳

最後の夏を振り返って

▲手前から重澤、髙木、越智(県立松山商業野球部)

――愛媛大会も終わって8月になりましたが、今の状況や心境はいかがですか?

髙木  まだ自分自身、練習会参加とかもあるので気を抜くことはできませんが、。

矢野  自分は今、野球とは離れているので、やや目標がなくなったような感じがします。

越智洸  まだ大学でも野球をするので、そこに向けて練習をしています。

山﨑  自分も大学で野球をするので、そこに向けての練習や後輩たちの指導を行っています。

重澤  監督さんから『後輩の練習を手伝うように』言われているので、そこに取り組んでいますが、やはり愛媛大会中までとは違った感じを受けています。

山中  自分も一回区切りは迎えたのですが、1・2年生が僕らをどう見ているかということは常に気をつけて行動はしています。

▲マウンドに集う県立松山商業野球部ナイン

――さて、一言で表すのは難しいですが、この夏の愛媛大会はみなさん、どのようなことを考えて闘っていたのですか?まずはマネジャーから。

山中  このチームにかんしては終わるのが早かったです。このチームは自信を持って勝てると言えるくらい最後の作り方はよかったので。

髙木  準々決勝(済美戦1-3)は、先制して逆転されてからは早かったです。あっという間に、安樂(智大・1年)君から手も足も出ずに負けてしまってあっけなく終わってしまいました。

越智洸  もちろん負けるつもりはなかったですし、立ち上がりも緊張はしなかったんですが…。

山﨑  準々決勝で一番印象に残っているのは、僕が(越智)洸貴に替わってマウンドに上がることになったときのことですね。僕にボールを渡す際、言葉にして悔しさをあらわにしたんです。普段は悔しそうな表情もほとんどみせないのに・・・。それを見て『後をしっかり投げないと』と思ったことが一番印象に残っていますね。

越智洸  確かに『悪い』とはいいましたね。正直悔しかったし、申し訳ないとは感じていました。

矢野  僕は三塁コーチでしたが、初回先制して流れがきていると思っていたんですが、それ以降は思った以上にヒットが出ず。色々とアドバイスをしても打てず、仕事もなかなかないままでした。

重澤  僕は1年生のときからネット裏でビデオを撮ることが多かったんですが、ウチが得点する場合はだいたい1番の西森(大騎・3年)が出て、そこからつないでいくことが多かったんです。ただ、済美との試合では初回にそれができた後は、なかなか安樂君からそれができませんでした。7・8回に点が取れなかったとき、僕は何十試合・何百試合もビデオを撮ってきて客観的に見れるようになっているので、『これはやばい』というのを感じたのですが、どうすることもできなかったです。でもあきらめたくなくて、試合を見ていました。

▲球際にも必死に飛びついて捕球

――1年生に抑えられたことは悔しかったと思うんです。では、何が足りなかったんでしょうか?

山中  松商野球部のモットーは『目標は全国制覇・目的は人間形成』です。今振り返れば、人間形成の部分では他校に勝っていましたが、試合で勝つ部分では残念ですが済美が勝っていました。

髙木  安樂君はいままで当たってきた中で一番速い(145キロ)投手でした。打席で何もできなかったのは悔しいですが、やるべきことはやってきたので後悔はないですが、彼には頑張ってほしい気持ちが強いです。

矢野  野球は実力の世界なので、グラウンドに入ったら3年や1年は関係なくいいものはいいし、ダメなものはダメだと思っています。ですから、やってきたことは間違っているとは思っていないし、何が足りないとも思っていません。悔しいですけど完全に力負けでした。

山﨑  ここで何が足りないのか振り返ると、これまで自分たちがやってきたことが間違いのような気がするので、認めたくない。やるだけのことはやってきたし、過去を振り返って反省するよりも、これから新しいことを見つけて、これをそのきっかけにしていきたい気持ちが大きいです。

重澤  自分もこれまでやってきたことに迷いや後悔はありません。自分の人生はここで終わりでないので、あの試合で得たとこをここから先の人生に活かしていきたいです。

越智洸  自分が点を取られたのは自滅の要素が強かった。自分が落ち着いてできず、四球や死球を出してしまいました。

――でも、打たなくても得点は取れる。勝つためには色々な方法はある。人間形成に何を加えるかはみなさんでもう一度考えてほしい。そこはこれからの人生でも活きることだと思います。

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松山商 【高校別データ】

プロフィール

寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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