杉内俊哉投手の自己察知力に学ぶ
杉内俊哉投手の『自己察知力』に学ぶ2013年02月25日
自己察知力とは何か?
▲自己察知力はセルフコントロールの強さにつながる
『僕はその時に投げやすいと感じるフォームがベストなフォームだと考えています』
これは、3大会連続でWBC日本代表に選出され、投手キャプテンに任命された巨人・杉内俊哉投手が自分の投球フォームについて答えた一言である。杉内投手は外向的な性格ではないと言われている。しかし、それを補って、余りある素晴らしい『自己察知力』を持っている。杉内には、“その時に投げやすいフォーム”を感じる察知力があるのだ。
杉内は、あまり立ち上がりが良くない場合がある。これも杉内自身にとっては『初回なんて何も考えていない・・・。自分の調子がまだわからないから』と気にしていないのだ。というのも、得意の自己察知力を駆使した情報がまだ集まっていないからだ。
逆にいえば、『試合の終盤には、絶対の自信を持っている』のである。多少いつもと違っても、その日の自分の投げやすいフォームを察知できれば、それによって試合を作り、終盤の厳しい状況になっても臨機応変に対応できるのだ。
この自己察知力は、セルフコントロールの強さにつながっていく。人は自身を察知し、意識出来たことしかコントロールできないし、練習もできない。性格を変えることはできない。しかし、杉内のような察知力をつけることにより意識でき、コントロールすることが可能になる。コントロールできるようになることにより成熟し、自信や対処能力につながる。これはメンタルマネジメントの重要なポイントである。
自己察知力を自分のものとしようとする姿勢が大切!
では、なぜイメージトレーニングに効果があるのか。
それは言葉による情報をイメージ化することにより、大量の情報を同時に、しかも高速で処理することが可能になり、身体に素早く信号を送れるようになるからだ。
▲自己察知力を高めてベストコンディションへ
だから今回、投手キャプテンに任命されても『僕はチームを(通常のキャプテンのようには)引っ張れない』と察知しているので、他のキャプテンとは違う自分のコントロールできる方法でチームを引っ張るべく行動に移る。
杉内は自分の性格について、『自分で言うのも変ですが、僕はかなり厄介な性格』と述べている。例えそれが反省し出すと悪いことを考えすぎて、結局何が正しいかが分からなくなるようなものでも、自身が察知できているのでコントロールすることが出来るということだ。
杉内選手はこの自己察知力があるので、ルーティンはあまり作っていない。自分の強みである自己察知力を発揮するために、フレキシビリティ(柔軟性)を失いたくないのだ。こう思えること自体が杉内の自己察知力の強さをうかがわせる。
だから試合中厳しい場面でも、意識を相手に向けるのではなく『ベストピッチ、自分の持っている力をすべて出せることのほうに気持ちを持っていく』ようにしているのである。
選手として成長する為に、WBCで杉内選手の自己察知力に注目しよう。そして、それを自分のものとしようとする姿勢が大切である。
参考文献
(サウスポー論 和田毅 杉内俊哉 KKベストセラーズ)
(文・布施努)