Column

問題は技術でなく、身体にある

2012.04.28

田中典の5L理論

第1回 問題は技術ではなく身体にある

2012年04月28日

 こんにちは、田中典と申します。普段は様々なスポーツ選手や一般の方々への個人トレーニングや教室での指導をしつつ、専門学校の講師や指導者向けの勉強会を開くことで、次の指導者の育成活動などをしています。今回の連載では、そんな活動のなかでたどり着いた、独自のバランス・動作改善の方法を解説します。練習しても思うように上手くならなかった人、どうしてもケガばかりしてしまう人、そして、これからどんどん上達したい新入生。そんな人たちにぜひ、取り入れてもらいたいお話です。

肘が下がる原因、アウトコースが打てない原因とは?

 野球選手を見ていると、様々な“欠点”に出くわします。例えば、体が開いてアウトコースが打てない、投げるときに肘が下がってしまっている、守備の1歩目が遅い…など、挙げればきりがないほどです。そして、これらの原因は技術的なものにあると思われています。「肘が下がっている、もっと上げろ!」と、指導者に注意されている様子が想像されるでしょう。ただ、本当の原因は、実はそこ(技術)にないことが多いのです。もちろん、基本ができていない選手であれば、技術面の補強も大切でしょう。しかし私がもっと気にしてほしい、見てほしいと思っているのは「身体」の方にあるのです。

 では、「肘の下がり」という例でお話しましょう。先ほどの指導者のように、見た目の結果だけを見て肘を上げさせていたら、近い将来、肩や肘を痛めてしまうでしょう。個人差があるという前置きをさせてもらったうえでお話すると、肘が下がる原因の多くは、伸展運動(身体を上に伸ばす動き)がうまくできていないことにあります。そもそも手を上げる動きが苦手なため、どうしても肘が下がって出てくるのです。そうなってくると、バランスを取ろうと無理に身体を傾けて投げる動きになってしまいます。動かないところを、動くところで補って投げるので、それなりのひずみが出てしまうわけです。そのひずみが肩に出れば…これが故障のメカニズムとなるのです。

このページのトップへ


ポイントは“思ったよりできていない”

 特定のコースが打てないのも、身体のクセが原因だということがあります。あるゾーンに投げられるとボールが「消える」ように、見づらくなってしまった経験はないでしょうか。自分ではしっかりと体重移動をしているつもりでも軸足に体重が乗りきっていないため、思ったより身体が突っ込んだり開いたりします。これがアウトコースのスライダーが見えなくなる、インコースに押し負けるなどの結果を招く一因になっているのです。ポイントは“思ったよりできていない”というところです。自分の感覚と客観的な視点にズレがあるので「おかしい、どうして打てないんだろう」と、なるわけです。

 これはトレーニングでも一緒です。足を速くする効果があるというトレーニングを行ってきたのに逆に遅くなった。球速が上がるといわれるトレーニングを行ったのに、ボールに伸びがなくなって三振が取れなくなってきた。一生懸命トレーニングを行ったのに筋肉がついただけで結果が出ない、故障が増えたなど、そんな選手たちの話をたくさん聞いてきました。正しいトレーニングは必要ですが、偏ったトレーニングや計画性のないトレーニングでは悪いクセしか生み出しません。まずはきちんと自分の身体のクセを知り、クセを取り除くことが第一歩となります。そのうえで、しっかりと練習を重ねていけば、ぐんぐん上達し、自分の思い描くような成長を遂げられるはず。せっかく練習をするのですから、100%以上の成果を収めてほしいのです。

次回はクセを知るためのチェック法と、取り除くための体操を伝授したいと思います。「5L理論」という、これまでにはあまり聞いたことのないような、新しい視点で野球を斬っていきます。

[mobile]

こちらのコラムの動画はWEBからアクセス!

[/mobile]

[pc]

[/pc]

【ジャパンライム野球ページURL】
http://www.japanlaim.co.jp/fs/jplm/c/baseball

(文・田中典

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.03.28

大阪桐蔭、大会NO.1右腕に封じ込まれ、準々決勝敗退!2失策が失点に響く

2024.03.28

中央学院が春夏通じて初4強入り、青森山田の木製バットコンビ猛打賞も届かず

2024.03.28

【センバツ準々決勝】4強決定!星稜が春初、健大高崎は12年ぶり、中央学院は春夏通じて初、報徳学園は2年連続

2024.03.28

健大高崎が「機動破壊」以来、12年ぶり4強、山梨学院は連覇の夢ならず

2024.03.28

星稜・戸田が2安打無四球完封で初4強、阿南光・吉岡はリリーフ好投も無念

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード

2024.03.24

【神奈川】桐光学園、慶應義塾、横浜、東海大相模らが初戦白星<春季県大会地区予選の結果>

2024.03.23

【東京】日本学園、堀越などが都大会に進出<春季都大会1次予選>

2024.03.27

報徳学園が投打で常総学院に圧倒し、出場3大会連続の8強入り

2024.03.25

異例の「社会人野球→大学野球」を選んだ富士大の強打者・高山遼太郎 教員志望も「野球をやっているうちはプロを狙う!」父は広島スカウト

2024.03.08

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.03.11

立教大が卒業生の進路を発表!智弁和歌山出身のエースは三菱重工Eastへ、明石商出身のスラッガーは証券マンに!

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード

2024.03.01

今年も強力な新人が続々入社!【社会人野球部新人一覧】