100日でもう1段階上に行くためのトレーニング方法
第2回 100日でもう1段階上に行くためのトレーニング方法2012年03月12日
皆さんこんにちは。トレーナーの田口です。
長い冬のシーズンも終わりいよいよ本番に入ってきました。ここで今回皆さんにお送りするのは「残り100日でもう一段回上に行くためのトレーニング方法」です。
このオフシーズン、皆さんは身体づくりに励んできたことと思います。そしてその効果を発揮するべく春の大会に臨もうとしているはずです。冬に鍛えた体力を基に春に戦う。確かに合理的だとは思いますが果たして身体づくりはオフシーズンで終わりなのでしょうか?
そもそも、高校生というのは身体の面で言うならば発展途上の段階です。大学、社会人、プロと進むにつれて身体も完成形へと近づいてきます。そして基礎体力も高校生のうちが一番伸びるといわれています。
そんな高校生の伸び盛りの時期にオフシーズンが終了したからといって身体作りを止めてしまうのは非常にもったいないです。オフシーズンは約3カ月間ほどですが、今から夏の大会が始まるまではオフシーズンと同じく3ヶ月間あります。すなわちオフシーズンと同様、もう一段階レベルアップが可能となるのです。
そこで今回は夏までにもう一段階レベルアップするための具体的なトレーニング方法をお伝えします。
[page_break:鍛えた身体を野球の動きと結びつけて]鍛えた身体を野球の動きと結びつけて
“野球部訪問:開成高校より”
まず鍛える項目としては、
1:筋力
2:筋持久力
3:心肺(しんぱい)持久力
4:瞬発力
以上の4点は、引き続き維持ではなく向上させていきましょう。技術面の練習も多くなり体力的にきつい面もあると思いますがしっかりと行っていきましょう。
その際、睡眠時間に関してですが、必ず22時から2時の間に寝ることを心がけましょう。そうすると「成長ホルモン」の分泌が盛んになり充分な身体の回復が見込めます。
そして上記の4点に加え、行ってほしいものは鍛えた身体(フィジカル)と野球の動きを結び付けるトレーニングです。
具体的には実際の打つ動作や走る動作などにダンベルやバーベルなどではなく、チューブを付けたりして出来るだけ実際に動作に近づけてトレーニングをします。
【例】
・スイングの際にグリップや腰にチューブを巻き、反対方向に負荷をかけながらスイング
・メディシンボールを使いスイングと同じ動作でスローイング
・ダッシュの際に腰にひもで2~3キロほどの軽い重りをつけてのダッシュ
・腰にチューブを付けてのピッチング など
→これらのトレーニングは、早い動き×負荷なので動作スピードの向上と動作時の筋力、そしてパワーがつきます。
(パワーとは、スピード×筋力のこと。いかに速いスピードで大きな力を出せるかということです)
上記のトレーニングは、かなり軽い負荷を使い、できるだけ本物の動きと同様の条件下で行うことがポイントです。その際に、引き続き基礎体力の向上を行っていけば、この動作トレーニングも強い負荷で行うことが出来ます。しかし基礎体力向上を怠ってしまうと、比例して動作トレーニングの負荷も下がってしまいます。
動作トレーニングは考えればたくさん作ることが出来ます。上記の例はほんの一部に過ぎません。動作に関するポイントは過去の私のコラムでも述べていますので、そちらを参考にしながら出来るだけ実際の動作に近いトレーニングを自分で考え作り出してみてください。
【参考 (田口亮の動きの基本)】
第3回 力は出せている?
第6回 力の方向
第7回 拇指球で蹴る?
第8回 腕はどこから?
第9回 捻じる?捻じらない?
第12回 グラブはどう使う?
第13回 骨盤と背骨
これらのトレーニングのイメージとしては、動作をウエイトトレーニングに近づけたものです。動作7:ウエイト3くらいの感覚です。※7:3とは、動作が崩れないレベルの負荷設定になるため、動作の質が優先的になります。
[page_break:動きの連動]動きの連動
“野球部訪問:県立松陽高校より”
それに加えてほしいのが動きの連動です。
ウエイトトレーニングなどを行う際様々なトレーニング方法があります。ベンチプレス、スクワット、ランジなど。
これらの種目をしっかりと行い基礎体力の底上げを図ってきたと思います。しかしこれだけでは不十分です。それは一つ一つの種目に連動性がないからです。
例えばスクワットなどで言うと、トレーニングで鍛える部分は大腿部(太もも)になります。しかし、野球動作の中で大腿部のみを使う動きはありません。走るという動作でも脚に加え両手、体幹部、さらにはスクワットでは鍛えられない下腿(ふくらはぎ)等も使います。
したがって、走る動作のみにフォーカスした場合でも、スクワットだけでは不十分となってしまいます。では、スクワットとカーフレイズを別々に行えばいいかというと、それも不十分です。
そこで行うのがウエイトトレーニングを数種類組み合わせるトレーニングです。
【例】
・スクワット + ショルダープレス
スクワットで立ちあがった際にタイミングを合わせてバーベルを持ち上げる
・ベンチプレス + ニーレイズ
ベンチプレスでバーベルを持ち上げた際タイミングを合わせ両膝を胸に近づける
・スクワット + カーフレイズ
スクワットで立ちあがった際にタイミングを合わせて踵をあげる など
このトレーニングも組み合わせ次第では何パターンも作ることが出来ます。
最初に述べたトレーニングよりは実際の動作からは遠いですが、これはウエイトトレーニングを動作に近づけたものになります。ウエイト7:動作3くらいの感覚です。
※このトレーニングは、筋力アップをメインにしたうえで極力動作に近付けるため、ウエイト7:動作が3になります。
以上の2点が残り100日でもう一段階レベルアップするためのトレーニング方法になります。
どちらをメインに行うかということですがそれは人によって別々です。
まだまだ筋力不足を感じる選手は後述の方をメインで行えばいいでしょうし、筋力は十分にアップしたがどうも動きとマッチしないという選手は先述のほうを行えばいいと思います。
“野球部訪問:札幌琴似工業高校より”
自己診断の方法を1つ紹介します。ただし、これはあくまで目安となります。
筋力の目安は、スクワットが体重の1.5倍、ベンチプレスが体重の1倍を一回挙げられるくらいを目安に。ただ、あくまで目安に過ぎません。求めるプレーヤー像によっても違いが出ます。それぞれの求めるプレーヤー像に関しての数値の目安はありませんので、こちらは参考程度に。
重要なのは今の自分に何があって何が足りないのかをしっかりと把握することです。
ただ、闇雲に練習しても絶対にうまくはなりません。これはチームによって考え方が変わるかもしれませんが、いいところを伸ばしていく方法と不安な点を一つ一つ潰していく方法があります。
今の自分にはどちらが必要かをしっかりと考えてトレーニングをしましょう。
まだ100日あると考えるか、もう100日しかないと考えるかで大きな差が出ます。
一日一日を大切に取り組んでいきましょう。
(文=田口 亮)
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