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プロの舞台では高い打撃技術に対応する捕球技術と練習法が必須!風岡尚幸コーチが語る「捕球メソッド」【中編】

2020.06.14

 よくアマチュア選手を評するときに「この選手の守備はプロで苦労する」という表現があったり、また凄い守備が上手かった選手がプロで苦労することがある。ただ論調は、抽象的で、本質をとらえた解説がなかなかない。このもどかしい現状を脱しなければ、高校野球のレベルアップにつながらない。今回は内野守備走塁コーチとして20年も歴任しているオリックス・バファローズの風岡尚幸一軍・内野守備・走塁コーチにお話を伺った。

前編はこちらから!
NPBコーチ経験20年の風岡尚幸(オリックス1軍内野守備・走塁コーチ)が語る「プロで活躍できる内野手の条件」と「捕球の基本」

あまり低く構えるな!

——— アマチュア時代に守備に定評ある選手が、プロの世界では苦戦することが多いです。それはどこに原因があるんでしょうか?
風岡コーチ 打者の技術が違うんです。プロは打ち損じても多くのスピンが利いていますので、いきなり差し込まれることでエラーに繋がっています。ですので、しっかりスピン、勢いを抑えることができるかが課題になります。

——— では、そのスピン、勢いを抑えるためにはどのように捕球すれば可能になるのでしょうか?
風岡コーチ 速いライナーやフライ、送球であればグラブの芯で捕球して大丈夫です。ただ、そういった勢い、スピンの利いた打球に対しては薬指の根本あたりに打球を当てて勢いやスピンを殺して握り替えをするんです。
よく板のようなグラブで練習をしているのはそういった理由ですが、これができないとグラブの中でボールが遊んでしまってジャックルに繋がる。そうすると、プロの選手は足が速いので内野安打、もしくはエラーに繋がってしまうんです。

——— さきほど板のようなグラブが出てきましたが、そういったモノがなければ素手などでも良いのでしょうか。
風岡コーチ そうですね。あとはスリッパなんかも良いと思います。そういったモノを使って、緩いゴロを止める練習をすればいいと思います。

——— よく「腰を落とせ」という言葉あると思いますが、どのやって落とせばいいのでしょうか
風岡コーチ 我々の時代も腰を落とせとありましたが、低すぎるんです。足や手、背の高さは人それぞれですが、低く見ようとした際に打球が上がって一緒に上がると逆効果なんです。
それであれば高く構えて低くする。低く構えるのは打球が来た時に体を内側に寄せられるためなんです。
極端な話、低くしたままだと動きにくいです。また目線が前後するので、ゴロもそのように見える。僕は帽子のつばで高さを設定してそれ以上を上げないようにしてそのまま構えると高さをキープできる。
最後捕球する時はボールに近寄るので、動きはスムーズになると考えています。

——— つまり一歩目を踏み出しやすい構えが良いんでしょうか?
風岡コーチ そうですね。それは僕らは力や身長が違うので、一番反応がしやすいのはどこか見つけてあげることです。それが守備が一番上手くなる秘訣だと思います。そうするとグラブが自然と合うんです。詳しくグラブの見せ方を考えると、前ならえした状態で肩幅のところに置く。肩を真っすぐというとそこかなと。そして見えるところに出します。
見えないと頭が突っ込んでしまいますので。そこから捕球したときにステップして自然に入れ替えて投げる。1番目に構えて、捕ったところにステップすることが大切です。

——— では守備を鍛えるのはどういった練習をするのが一番良いでしょうか
風岡コーチ ノックはある程度数を受ければ上達するかと思います。ただ、構え方が合っていないと一歩目も上手くいかず、自然とエラーしやすいと経験で感じています。
一番はフリーバッティングですね。捕球しなくても良いので、一歩目のスタートだけでも切る。そうやって訓練してあげることでベストな構え、一歩目の出し方がわかってからノックで数を受ければ上達していくと思います。

 今回はここまで。次回はダルビッシュ有、大谷翔平らを見てきた中垣征一郎トレーナーが考えた、スローイング向上のための練習メニューを大公開!お楽しみに!

(記事=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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