NPBコーチ経験20年の風岡尚幸(オリックス1軍内野守備・走塁コーチ)が語る「プロで活躍できる内野手の条件」と「捕球の基本」
近年、野球界では投球、打撃、走塁、守備の水準は非常に高くなっている。高校、大学・社会人、そしてプロではどのレベルに達すれば通用する選手なのか?と日々、悩んでいる選手が多いはずだ。
今回そのテーマで取材のご協力をいただいたのはオリックス・バファローズの風岡尚幸一軍・内野守備・走塁コーチ。風岡コーチは中部大春日丘高校から1986年にプロ入りし、オリックス・阪神の2球団でプレーし、計247試合に出場。2000年に現役引退し、2001年ら現在までプロの内野・守備走塁コーチとして手腕を発揮してきた。
風岡コーチが語るプロで活躍できる内野手の条件、構え方から捕球、そしてステップの踏み方などを解説していただいた。
打球に対する距離の詰め方に明暗が分かれる
風岡尚幸コーチ
——— まず、プロで活躍できる内野手の条件みたいなものはありますか?
風岡尚幸コーチ(以下、風岡コーチ) 距離の詰め方だと思います。細かなところまで言うともう少しあるのですが、バウンドが増えれば増えるほど打球が難しくなります。ですので、数少ないバウンド、どれだけ優しいバウンドで捕球ができるのかが大事です。
——— 風岡コーチが考える、理想的な打球との距離の詰め方はありますか?
風岡コーチ 肩幅を保ったまま動くのではなく、体の内側に足を踏み出しながら動けることですね。肩幅のままですとスタンスが広くなってしまい上半身がバラけてしまいますので、捕球も難しければ距離も詰められません。
逆に体の内側に足を踏み出すことが出来れば、体の内側に力が自然と集約されますし、自然と手も出せます。
——— 実際にはどういった足の運び方が風岡コーチにとって理想なんでしょうか。
風岡コーチ 簡単に言うと、最初は大股で距離を詰めて最後は小股にする。とにかく打球が来たら流れるように動くことですね。
ウチの選手たちに「捕ったら歩いてから投げろ」と言っています。これで動作1つ1つ速くなるから速く見えるだけで、これが一番無駄のない動きですね。
——— 距離を詰めてからですが、捕球からステップするまでの動き方について教えてください
風岡コーチ グラブは、「前ならえ」をした状態で見える位置に出すこと。そこからステップする時は、捕球したところに足を運んであげれば自然と足を入れ替えることが出来るので、ステップができます。
強いバウンドに対しての捕球の仕方は?
風岡尚幸コーチ
——— 基本的な動きを見せて欲しいです。
風岡コーチ 肩幅のまま出るとスタンスが広くなるので、上体がばらけてしまいます。そうなるとボールを捕れませんし、近づいていっていないように周りからも見えてしまいます。ボールまで寄るのに中に踏み込んで詰めて行ける選手は、肩幅のままで出ていかないんです。内側に踏み込むことで力も集約され、自然と手が出て捕れるようになります。
——— 捕球する際にグラブを引いたりすることもあると思うのですが、これはどうしてでしょうか?
風岡コーチ いや、実際にはグラブを引いていないんです。ステップをする際におへそが勝手に近づくので引いたように見えるだけなんです。送球を捕るときも同じで、捕ったところに足を運んであげると勝手に引くことが出来るんです。ですので、実際に引くことはないです。
ただ、イレギュラーやスピンの利いたボールに対してはハーフバウンドで抑えつけないといけないです。この時はグラブをある程度立てて、ボールに衝突するような感じで出さないと打球そのものが強いので、結果としてはじいてしまいます。この捕り方も覚えておかないといけないですね。
今回はここまで。次回はアマチュア時代に守備に定評ある選手がなぜプロで苦戦するのか?その理由について風岡コーチが解き明かしていただきました!お楽しみに!
(取材・編集部 構成・編集=河嶋 宗一)
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