構えの重要性 ~しっかり立つということ~
第11回 構えの重要性 ~しっかり立つということ~2012年02月16日
【廣戸道場 廣戸聡一先生】
武道など、格闘技では構えの大切さを教えられます。きちんとした構えを取らないと、攻撃でも防御でも力を発揮することができないからです。
攻めるのはイメージしやすいですが、守るのも構えは重要です。相手はとにかく思い切り攻撃してくるわけですから、それなりの準備をして、正しい体の使い方をしなければ簡単に打ち負かされてしまいます。
正しい構えができないと正しく動けない、すなわち勝つことができない。そんな風に考えられているのです。
この考え方は、そっくりそのまま野球にも当てはまります。投げる、打つ、守る、そして走る。どれをとっても構えは重要になってきます。ところが、意外と構えについてしっかり教えられている選手は少ないものです。そこで今回は正しく「構える」ということについてお話ししたいと思います。
まずは守備を例に考えてみましょう。足をどかっと開いて「さあ来い、バッチ来い」とばかりに両手を挙げている様子。私はこれを構えとは呼びません。むしろお手上げ状態であり、次の動きなんてできるはずがないと思っています。構えとは重心をしかるべきとことに収め、軸をきちんとつくった状態のことです。上手い選手はバッターの動きに合わせて重心を移動させています。また、軽く足踏みをすることもあります。“守りに備える”と書くように、捕球をする以前の準備の段階が、守備おいてはとても大切なのです。
【バッティング練習(野球部訪問より)】
バッティングでも一緒です。ここでカギとなるのが“見た目”です。いいバッターというのは周りから見ても打ちそうな雰囲気があるでしょう。逆に打てない選手はどことなく不格好でぎこちない。私たちは無意識のうちに構えの良し悪しで「打ちそう」だとか「打てないだろう」などとイメージしているわけです。
しかもその予想はほとんどのケースで間違うことがありません。要するに、格好いい構えというのは軸があって重心が安定しているからいいスイングができるのです。まずは見た目から整えていくというのも大切なことだといえるでしょう。
その上で、ひとつ心掛けてほしいことがあります。それはきちんと「立つ」ことです。なぜスパイクをはいているのか、なぜ氷の上では人は力が出せないのか、考えてみてください。地面を足全体で踏み、地面に根を張るような意識を持つだけで、なんだか力が出そうな感じがしてくるはずです。それだけ安定した状態で立つことは重要であり、スポーツには欠かせない条件になってきます。
少々話は逸れますが、「立つ」というのは寝ていても考え方は一緒です。リュージュやスケルトンといった寝た状態で行う競技も、ただ寝ているわけではないのです。きちんと肩甲骨や骨盤を立て、軸をつくり、力が出やすい形で構えています。もし単に寝ているだけだったらとんでもない方向へ体が投げ出されてしまうでしょう。
少し細かいことをお話しすると、立った状態では骨盤と肩甲骨は地面に対して垂直になっています。そして足の土ふまずが地面に対して水平です。このうえで野球の動きはもちろん、トレーニングも行っていかないと、間違った動きを体に覚えさせることにつながります。練習のときだけでなく、普段からきちんと立つ。よく注意されている選手は、今一度振り返ってみてほしいと思います。
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■次回の廣戸聡一の4スタンス理論の公開は2012年02月23日予定です。お楽しみに!