新入部員必見!野球用具の手入れ法 ~グラブ編~
新入部員必見!野球用具の手入れ法 ~グラブ編~2013年05月08日
この春から硬式を始めた高校球児の皆さんや、これまで道具の手入れを自己流で行ってきた球児の皆さん、必見です!
道具を大切にすることで、プレーの上達にもつながります。ぜひ、今日から野球用具を扱うスペシャリストや、プロ野球選手たちからのアドバイスをもとに、日々の道具のお手入れを見直してみましょう。
今回、みなさんに野球用具のお手入れ法を教えてくださったのは、この方々です!
サンデースポーツ(東京都/用具のスペシャリスト 坂詰さん)
ササキスポーツ (東京都/用具のスペシャリスト 星野さん)
井端弘和選手 (スペシャルメッセージ)
皮の保湿ケアを見直そう!
今回は東京都・恵比寿にあるサンデースポーツの坂詰さんから、グラブの手入れのポイントを教えていただきました。
まずグラブの磨き方から。取り出したのはクリーナー。グラブは“磨く”のではなく、グラブについた泥を“落とす”ことから始めます。これを毎日続けることが大切です。
次にグラブオイルでグラブを塗る作業。長く使うためにはグラブで保たなければならないのは保湿です。なぜ保湿しなければならないのか。
「グラブを見てください。乾燥してしまうとグラブの紐が切れやすくなったり、一番ボールが当たる皮が薄くなってきて破けてしまって使い物にならないんです。だからグラブの保湿を保つ事が大切です」
グラブは革でできている。乾燥しすぎてパリパリとなり、もろい状態となる。そしてスピンのかかったボールを何度も受け続ければ、もろい革は破けるのはごく自然なこと。だからこそ、保湿を保つためにグラブオイルやレザーオイルを塗るのです。
▲ササキスポーツ
ただ1つ、注意事項がある。
「泥汚れは毎日やってほしいですが、グローブオイルを毎日塗る必要はありません」
毎日グラブ磨きをしろといわれれば、グローブオイルを塗ることだと思いがち。だが、それは逆効果になってしまうという。
「グローブオイルを塗り過ぎたり、毎日やってしまうと重くなってしまいますし、柔らかくなりすぎてしまい、逆に使いにくくなってしまいます。また、グラブの寿命も短くさせてしまうもの。だから毎日ではなく、ちょっと乾燥しているなと思ったらやることが大切です。案外、勘違いしてしまう人が多いんですよね。僕も現役時代はそうだと思っていましたから」
ササキスポーツの星野さんもまた、お客さんに口頭で必ず伝えていることは「グラブは手入れが命」ということだ。
「手も汚れがあれば、洗うように、グラブも汚れがあれば、落とします。グラブにオイルを塗るのは保湿を保つためですが、泥汚れは毎日やってほしいですね」
用具のケア用品として、グラブに保湿だけを与えるレザーコンディショナー(ミズノ)という商品も発売されている。ぜひ活用してみてほしい。
▲レザーコンディショナー
また、グラブを使う上で一番切れるのは紐の部分だ。ただ毎日練習をしている球児だからこそ、紐が切れやすくなるのは仕方ないことだ。切れたら交換するのが一番。しかし、その前に、切れそうになる前にいかにケア出来るかが大事なのだ。
グラブで手入れする上で、まずプレーに影響が出るところは必ず毎日チェックを行ってほしい。紐も、切れやすくなる一番の原因は乾燥だ。乾燥するとどうなるかというと衝撃が重なると亀裂が入り、破れやすくなるのだ。
グラブが乾燥する時期といえば、冬場の練習。冬場の練習後は、グラブがパサついたと思ったら、オイルを塗ってほしい。
これを怠ってしまうと、分かりやすい例で言えば、体育館倉庫にあるグラブのようになってしまう。体育館倉庫にあるグラブは使う頻度が滅多にない。乾燥した場所に放置しているため革自体が固まってしまい非常に使いにくいグラブとなっている。そう感じたことがある球児の皆さんも多いはずだ。
さらに、革のヒビというのは、人間の皮のように再生するわけではない。だからこそ、毎日の手入れが大事なのである。
キャッチャーミットの手入れの留意点
続いてキャッチャーミットについて。捕手ほど強烈な衝撃を受け続けるポジションはないだろう。
まず、キャッチャーミットで一番気をつけなければならない点は、ミットの紐と網の部分だ。網の部分をウェブというが、ウェブの部分はボール自体が持っていかれるので、紐が解けそうになったり、強烈な衝撃を受けるので、擦り切れやすい。とくに乾燥すると、紐が切れやすく、亀裂が生じやすいので注意したい。
「万が一、切れてしまったら交換してください。ミットの切れやすい部分は網だけではないのです」
とササキスポーツの星野さんは言う。
キャッチャーミットをはめて、手首を返した時に裏側に溝ができる部分があるだろう。その部分こそ見落としやすく切れやすいという。
「ここが硬くなって切れやすいんですよ。今はスリット入れてそうならないように各社も工夫しているのですが、やはり人それぞれで手の癖がありますから。やっぱり切れちゃったりするんです。ここを気づかないと紐が切れやすくなったり、伸びやすくなったりする。紐は伸びるので、締めてほしいですね。紐の締め方は簡単です。分からない場合はお店に持って行って下さい」
個人でのケアとしては、切れやすいところにオイルを塗る。そして紐が伸びたらしっかりと締める。常に気配りを行なって使える状態にすることが大切だ。
スペシャルメッセージ:井端弘和選手から学ぶグラブの手入れ法
▲中日ドラゴンズ 井端弘和選手
僕は普段のグラブの手入れは、試合が終わると、オイル(保革油)が染み込んだ布で乾拭きしています。オイルを塗るのは週に1回ほどですね。革の状態を見て、かさつき始めたときに塗ります。というのも、オイルの塗りすぎは、グラブの形が崩れやすくなったり、重たくなって、かえってグラブに良くないということをぜひ覚えておいて欲しいです。
また、僕はグラブの場所によって、固形と液体のオイルを使い分けています。最初に固形のオイルをポケットのところに薄く塗ります。ポケットはボールを受けているうちに革が伸びて、シワもできやすいところです。ポケットには、人差し指にタオルを巻きつけて、ポケットの真ん中に向けて拭くようにして塗っています。
グラブの周り(外側)は、固形オイルを薄く塗った後で、その上から液体オイルを薄く伸ばすようにつけています。紐のところは擦れてカサカサになりやすいので、ここだけは手に直接オイルをつけて塗りこむようにしています
磨くときは、絶対にグラブに手を入れてこすること。そうすれば形が崩れないし、自分の手の形になじんでいきます。オイルを塗って手入れをした後は、風通しのいいところにしばらく置くようにしています。
グラブの選び方&型付けの方法
続いてグラブ選びについてである。ササキスポーツの星野さんはこう語る。
「グラブを選ぶときは、本人のフィット感にまかせているのもありますが、現在は ポジションごとにグラブが違います。それでもどこでも守れるオールラウンダーを求めてくる選手は多いんですけど、内野になったら大きいと感じますし、外野は小さく感じてしまうんですよね。ですから手にあったものを選んで欲しいですね。なるべく大き過ぎないものをおすすめします。もし、どこでも守れるようにしたいという選手は、内野のちょっと大きいぐらいグラブがちょうどいいと思います」
新品のグラブを購入したあとは、時間をかけて型を作ろう。すぐに使いたい選手は湯もみがおすすめだ。
「湯もみは昔ながらの手法で、お湯の中に入れてもんで叩いて、乾かしながら叩く作業を1週間やるのです。そうするとすぐ使えるグラブになります」
ただ、親や他の人に行ってもらうのではなく、自分で型付けを行なうことが大事だ。
「理想は全部自分でやることです。硬いグラブにオイルを塗って柔らかくして、そしてプレーを重ねていけば、自分の手に合わせた型が出来て、取りやすい型が出来上がります。即効性のある湯もみよりも、時間はかかりますが、自分で型付けしたほうが使いやすいグラブが出来上がると思いますよ」
現在は、機能的な野球用具が増えている。それを無駄にしないためには日頃の手入れを怠らないこと。即効性のある手入れ方法というのはない。井端選手をはじめ、プロ野球選手も、日々のケアを大事にしているのだ。地道な手入れを行なってこそ、自分だけのグラブを作り上げることができる。そのグラブが、キミのプレーを後押ししてくれるのだ。