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内海投手の専属トレーナーが伝授!体を大きくする方法

2011.11.15

保田貴史の「年間トレーニング計画」

内海投手の専属トレーナーが伝授!体を大きくする方法2011年11月15日

内海投手が体を大きくした理由

【出力を上げることとそれに耐えられる体を作ること】

 速いボールを投げるということは大きな力がボールに伝わるということです。大きな力を出すには効率よい動きで力のロスをなくす、自分自身が持っている出力(筋肉や身体の動きから出る元々持っている力)を上げること、そして出力に耐えうる身体が必要になってきます。

 内海哲也選手はオフの課題として「球速を上げること」をテーマの一つとしておいていました。そのため、体力強化に重点をおくオフシーズンの期間を使い、「身体を大きくすること」も同時に取り組みました。結果、まだまだ途中ですが、前よりスピードが上がりました。
 

 球速を上げるために、なぜ身体を大きくするのかには意味があります。

 力は筋肉が太いほうが大きな力を生みます。太くすれば出力が上がります。しかしそれだけではダメで出力が上がりすぎるとブレーキをかける筋肉(身体後面)、つまり身体が出力に耐えうる力がないと身体がつぶれてしまいます。人間の動きには、防衛反応があるので力が出切らないのです。
 しかし、「身体だけは大きいねんけどな」という選手はいませんか?これは力を出すのにロスがあるということです。

 それでは、プロの世界でも活躍していた内海投手が、どうして「さらに身体を大きくしよう」というテーマにたどりついたかを紹介していきます。

 オフシーズンを前に、内海投手とその年のピッチングについて話し合った結果、ストレートのスピードとキレをアップさせる課題が浮かんできました。その為に、まずフォームを見直しました。力がきちんと出ているか?力を出すのに無駄はないか?をチェックしていったのです。


オフシーズンの間に内海投手が重視したポイント

 力を出すには『始まり』が大切です。その当時、内海投手は始まり(足を上げて立った時)から乱れていたので、

(1)その立ち姿勢をいつ、いかなる状況でも出来るようにすること
(2)体重移動が行われる場面での力の溜めを安定させること
(3)そして、ロスなくすべての力を伝えること

 これらの3ポイントを見直していきました。そのために、必要な力となるのが以下4つです。

(1)下半身の片足で耐える安定感・粘り
(2)体幹を固定する力
(3)そして、出力に対して耐える筋力
(4)最後に、出力自体を上げること

 そこで、内海選手はこの年のオフシーズンは、これらの力を鍛えるためのトレーニングを積んでいったのです。

[pc]

◎良い例 立った姿勢

×悪い例 胸を張ってまっすぐ立っていると感じている

◎良い例 後ろにあるへそと頭を結ぶ軸が後ろにある

×悪い例 前に身体を倒してへそと頭を結んだ軸が真ん中

[/pc]

実際に実施したトレーニングの一例

 それでは実際に、当時実施したトレーニング内容を紹介します。以下はあくまでも一例ですので、同メニューをこなしたからといって、同じ効果は出ません。個々の体力・筋肉量に合わせてトレーニングを積みましょう。

■下半身トレーニングは、週3回を約2カ月間(例:高重量で12回×3セット)
■体幹トレーニングはフルシーズン実施
■上半身トレーニングを週2回で1カ月間

 内海選手の場合は、基本的には重力を考え、立位でトレーニングを行い、耐える筋(身体後面)に注目しトレーニングしていました。これらを取り組んだ結果、内海選手は、

効率よく力が体に伝わるようになり

かつ身体を大きくしたことで出力が上がり

同時に、出力に耐える力も上がり

体のパワーもつきました

その結果、常に大きな力が出せるようになったことでスピードが増したのです。

 オフ期間に身体を大きくするトレーニングに取り組んだ結果、トレーニングで積み重ねた筋力や筋肉の貯金ができ、シーズン中は常にコンディションを維持することができ、高いパフォーマンスをみせることができました。今回は内海選手での一例でしたが、高校球児たちも目先の試合というよりも、夏の大会に向けてオフのこの機会に身体を大きくし出力をあげること大切です。

 トレーニングは、時期に見合った形で継続することが大切です。ただ重いものを無理やり上げたら、体が大きくなるのではなく、姿勢(軸・重心・力)や休養・回数・内容・栄養などすべてを踏まえ行っていくことが大切です。
また身体が大きくなったからといって遠くに飛ばせたり・速い球が投げられるわけではありません。大きくなった身体に野球を浸みこませていくと、シーズンが始まった際に野球に対する効果が昨シーズンよりもさらにアップしていくでしょう。

(文=保田 貴史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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