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野球は目で行うスポーツ 目のコンディションも整えよう

2011.04.15

保田貴史の「年間トレーニング計画」

野球は目で行うスポーツ

目のコンディションも整えよう2011年04月15日

目のコンディションは、体の動きを左右します。目をつぶってボールを捕ったり打ったりするのは非常に困難です。目は身体にとって情報の獲得源です。物や目標物を見て映し出された情報により脳が距離感や大きさ、位置、スピード等を確認しています。その情報を脳が処理し手や足に情報を送ることにより身体が動くのです。このスピードが速いと反応が速くなります。このことを運動神経が良いと表現します。

それでは、運動神経をよくするためにはどのようにすればいいのか。

(1)目の状態をよくする

(2)身体のコンディションを上げる

(3)経験値を上げる。レベルの高い「やったことのないこと」状況を経験させる

(4)成長時期にトレーニングを積む

などが挙げられます。

目とコンディション

(1)目の状態をよくする

目の状態をチェックする指標には、静視力と動体視力があります。静態視力は静物を観察する視力で、動体視力は動いている物に対して見える度合いを表す。

野球ではボールや人など動いているものを見て判断する動体視力を上げる必要があります。動体視力を上げるためには条件があり、静態視力(身体測定時の視力検査で出る数値)が0.9以上あることが最低条件となります。

多方向から情報を得るためには、目を動かす必要があります。

しかし目を動かすにも筋が関与しており、この筋の働きも重要となります。

例えば右投手より、左投手が得意な右バッターは左目が内側に寄ってくるのが遅いため、あまり動かなくてもボールを追うことができます。そのため、左投手のほうが得意になりやすいのです。

【目のコンディションを上げるストレッチ】

まず相手の指にあわせて上下左右目で追う。

次に目を真ん中に寄せるエクササイズ。
右打者の場合は左目の真ん中によるスピードが遅い人は右投手よりも左投手に相性が良い打者です。

最後におてだまエクササイズ。ボールを目で追いながら同時に手もつかうエクササイズ。
動いているものにピントをあわせ動かす神経のトレーニングです。

[pc]

手の指にあわせて上下左右目で追うストレッチ

目を真ん中に寄せるエクササイズ

おてだまエクササイズ

[/pc]

また、目にも休息を与えなければなりません。目の休憩とは、光が入ってこないことですから、寝るときは部屋を暗くして寝るのも目を整えるのによいでしょう

(2)身体のコンディションを上げる

目で見て脳で処理した情報は、手や足に伝わりますが筋が張っていると、情報の伝達や動きが遅くなってしまいます。しかし柔軟なだけではいけません。筋力も大きく左右します。情報がきても動くときにはパワーが必要になります。だからトレーニングも大切なのです。


神経機能を上げるトレーニング

(3)自分が経験したことのないレベルの速さなどを経験し経験情報を沢山残しておく

見たことのない変化球や速いボールに対して反応ができなかったり遅れてしまうのはそのボールに対する情報が脳になく、過去の経験と照合できないから情報処理に時間がかかり、振り遅れてしまうのです。

だから、ボールを見て反応して手を出すということは非常に大切なことです。キューバの選手がストレートに強いのも18.44mより近い距離でボールを投げてもらい、バッティングをしているから速いボールを見慣れているのです。

つまり、自分が経験したことのないレベルの速さなどを経験し経験情報を沢山残しておくことにより反応があがり素早い動きへとなるのです。

・ノック
 

・ミニボール回し
 

・ピン球打ち
 

・アメリカンノック
 

・切り返し走など
  ・ボールランニング

上記は目のトレーニングを目的に行います。これらをアップやトレーニングに組み込み行っていきます。

(4)成長時期にトレーニングを積む

成長の段階をあらわすスキャモンの発育グラフというものがあります。高校生の時期は心肺機能と神経系の発達が非常に盛んな時です。

だから、この時期のに多くの神経系のトレーニングをし神経系の発達させましょう。イチロー選手が速いボールを少年期に打っていたのも神経系の発達期だったから。今でも反応がよいバッティングができる1つの要因ともなっています。

では、実際にトレーニングではどのようなことをすればいいのか?神経系のトレーニングによく用いられるラダーやイレギュラーボールなどを例に説明します。

【ラダートレーニング】

ラダーは速く正確に動かすことができることが重要です。速く動くこともできますがそれをみて正確に動かすというのもトレーニングできます。目で枠の大きさや距離を確認して速く正確に動かせるようにします。この習慣はバッティングにもつながるものがあり、身体がボールに対して正確に動かすという動きに繋がってくるのです。

また速く正確な動きができている人の重心・軸はどのようになっていますか。

色々やってみて探ってみてください。色々な活用法がありますが、このようにアジリティ種目はより速く正確に動かす身体の動かし方などが分かるのです。だからウォーミングアップ等で取れ入れるといいでしょう。

これらを行ってすぐの急成長は難しいですが、今自分が持っているもののコンディションを上げることもパフォーマンス向上の一つになります。身体、技術のトレーニングにプラスして、目のコンディショニングも行ってベストな状態で試合に臨んでほしいと考えています。

(文=保田 貴史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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