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重心移動~下半身編~(10)

2012.10.10

久保田正一本気の心技体

【久保田正一の本気の心技体 下半身の重心移動 バックナンバー】

第17回 (9) 股関節を曲げることの重要性

第16回 (8) 投球動作に繋がるスクワット


第15回 (7) 重心移動のエクササイズ


第14回 (6) 『歩幅』について


第13回 (5) 膝の内側への入り方、軸足の傾き


第12回 (4) 軸脚の支持の仕方


第11回 (3) つま先が正面に向く投手のエクササイズ


第10回 (2) 踏み出した足の向き


第09回 (1) 運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム

 

 秋季大会も大詰め、選抜甲子園出場へ向けての戦いが各地で繰り広げられています。私事で申し訳ありませんが、今秋はまだ1試合も高校野球を観戦していません…(笑)。先日大学野球で投手を分析しただけで全然見られておらず欲求不満です。しかし日本整形外科スポーツ医学会でパネリストとして呼ばれたり、肩の運動機能研究会で発表したりと、学術的な面では忙しく、私がここで伝えている投球フォームに関しても、医学会で承認して頂くよう努めております。

 今回は短い話になりますが、『クイック』について説明させて頂きます。

『クイック』とは何か?

 今までの説明で正しい重心移動がどのようなものかお分かり頂いたと思います。重要なポイントは、

・軸脚の傾きは45度まで股関節、膝関節、足関節が一直線に傾いているか
・それによって歩幅の広さが決まる

 ということです。これがまずできているかどうか、それでクイックの行い方も違ってきます。そもそも『クイック』とはランナーに盗塁されないように、始動からリリースまでの動きを『早く』するのが『クイック』です。

 しかしほとんどの選手が『何をクイックすればいいのか?』分かっていません。とりあえず早く投げようとしています。ただやみくもに早く投げれば良い訳ではないのです。正しい重心移動を行いながら『早く』投げる、ということをできないと、ただ早く投げているだけで、全然下半身を使えていない、というフォームになってしまうのです。

 ではまずどこまでを早くするのか?それは『始動から踏み出し足を着地させるまで』、これを早くすることが『クイック』の本当の意味なのです。

[page_break:ランナーが出るとコントロールが悪くなる原因]

ランナーが出るとコントロールが悪くなる原因

[pc]



▲写真(1)クイック歩幅



▲写真(2)ワインドアップ-クイック歩幅
[/pc]

 そしてそこで重要になるのが、上記のポイントです。これを変えずに踏み出し足の着地までを早くするのが『クイック』なのです。でなければしっかり下半身を使った状態での『クイック』にはならないのです。

 ここである投手のクイックに対する工夫を紹介します。いかにクイックを早くするのか?

 写真(1)を見て、何が違うか分かりますか?

[mobile]

詳しい画像はPCサイトからチェック!

[/mobile]

 そうです、歩幅が違うのです。歩幅を広くすることで、早く踏み出し足を着地させることができるのです。そしてこの投手の素晴らしいところは、ワインドアップとセットポジションでの踏み出し足が着地した状態がほとんど同じなのです。

 前へ進む力はどうしてもセットポジションからのクイックの方が小さくなりますが、可能な限りワインドアップと同じような重心移動で投げられているのです。
ランナーが出るとコントロールが悪くなる投手がいますよね?そういう投手はワインドアップとクイックで軸脚の支え方が変わっているんです。

 

(文・写真:久保田 正一) 

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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